日本推理作家協会賞受賞作家が新境地を切り開く、慟哭と郷愁のミステリ。宇佐美まこと『その時鐘は鳴り響く』
『愚者の毒』が第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞し、『展望塔のラプンツェル』が第33回山本周五郎賞候補に、『ボニン浄土』が第23回大藪春彦賞候補にノミネートと、要注目の作家・宇佐美まことさん。そしてこの度刊行される新刊『その時鐘は鳴り響く』は、そんな宇佐美さんが新境地を切り開く、傑作長編ミステリです!
本書では、1994年に愛媛で起きた学生の事故死の謎を調べるパートと、2024年に東京で起きた資産家殺人の捜査パートが、交互に描かれていきます。二つの事件が徐々に繋がっていく展開と、過去と現在が交錯する時に明かされる、意外な犯人と真相には驚くこと間違いなしです!
そして何より、宇佐美さん初の本格的な警察小説として楽しめるほか、二度と戻らない青春のきらめきと郷愁や(1994年の情景も描かれているので、当時青春を送った方は特に刺さると思います)、後悔や悲しみに満ちた過去からの再生を描く人間ドラマも、読み応え抜群です。
カバーイラスト&デザインは、わじまやさほさんとnext door design長﨑綾さん。物語の中で特に印象的なふたり・高木圭一郎と篠塚瞳が過ごした、青春時代の美しい一瞬を捉えたカバーは必見です。
忘れがたい余韻を残す傑作ミステリを、どうぞお見逃しなく!
■宇佐美まこと(うさみ・まこと)
1957年愛媛県生まれ。2006年「るんびにの子供」で第1回『幽』怪談文学賞〈短編部門〉大賞を受賞し、07年に同作を表題作とした短編集でデビュー。17年『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編及び連作短編集部門〉を受賞。19年刊行の『展望塔のラプンツェル』が「本の雑誌が選ぶ2019年度ベスト10」第1位になり、第33回山本周五郎賞候補に選ばれる。20年には『ボニン浄土』が第23回大藪春彦賞候補になる。主な著書に『羊は安らかに草を食み』『子供は怖い夢を見る』『月の光の届く距離』『逆転のバラッド』『鳥啼き魚の目は泪』『誰かがジョーカーをひく』などがある。
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