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【創立70周年記念企画】エッセイ「わたしと東京創元社」その7:東川篤哉

東京創元社では創立70周年を記念し、文芸誌『紙魚の手帖』にて豪華執筆陣による特別エッセイ「わたしと東京創元社」を掲載しています。

第7回は、『紙魚の手帖』vol.17(2024年6月号)に掲載されたエッセイ(その3)をご紹介いたします。



東川篤哉 Tokuya Higashigawa

 読者として東京創元社と出会ったのは一九八〇年、私が中学一年生のとき。ディクスン・カー『連続殺人事件』がキッカケの一冊でした。一方、作家として東京創元社で初めて刊行した本は『館島』で、これが二〇〇五年のこと。私はデビュー四年目でした。両者には二十五年の隔たりがありますが、ではその間、私と東京創元社との間に何もなかったかというと、いや、実はもうひとつ忘れがたい記憶が! それは九〇年代後半のこと。私はアマチュア作家として当時の創元推理短編賞に何度か応募しています。で、すべて一次選考で落ちています。お陰でこの賞には「もう応募しねえ……」となりました。まさに黒歴史ですね。そんな超難関だった創元推理短編賞はミステリーズ!新人賞を経て創元ミステリ短編賞へと名称が変わり、『連続殺人事件』『連続自殺事件』に題名が変わり、そして東京創元社は今年で七十周年を迎えるとのこと。何はともあれ、おめでとうございます!

1968年広島県生まれ。岡山大学法学部卒。鮎川哲也編集長による公募アンソロジー『本格推理』への投稿・入選を経て、2002年〈KAPPA-ONE〉第一期生として『密室の鍵貸します』でデビュー。『謎解きはディナーのあとで』が2011年本屋大賞を受賞する。主な著書に〈烏賊川市〉シリーズのほか『館島』『放課後はミステリーとともに』『魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?』『純喫茶「一服堂」の四季』『探偵少女アリサの事件簿 溝ノ口より愛をこめて』『伊勢佐木町探偵ブルース』『うまたん ウマ探偵ルイスの大穴推理』がある。


本記事は『紙魚の手帖』vol.17(2024年6月号)に掲載された記事「わたしと東京創元社」の一部を転載したものです。