裏庭の泉源
この日、僕は若草温泉の外観を先に撮影するためにモデルの田多さんとの約束の時間よりも1時間早く温泉に到着した。温泉前にはすでに組合長の長井さんがいらっしゃって、初めましてと名刺を渡したり、一通りの挨拶を終えて撮影を始めようかと準備をしていた。
そこへ現れたのは温泉の管理をやっているという温泉のすぐ近くに住んでいる菅さんだ。企画の説明などを長井さんと菅さんにしていると、僕も二人も別府人の血が騒いだのか、井戸端会議さながら話が止まらなくなってしまった。別府あるあるなのだが、初対面だろうが一度意気投合してしまうと、とにかくよく喋る。そこへ菅さんの奥様も合流して、楽しくお喋りしていたら田多さんがバイクに乗って現れた。外観の写真はまだ1枚も撮っていない。
お話は田多さんにバトンタッチして、外観を撮影していると「こっちからの方がよく撮れるんじゃないですか」と菅さんが家の2階に上がっていいよと言ってくれた。遠慮なくお家に上がらせてもらうと奥からお婆様が「どうも、こんにちは」と顔を出してくれた。これも別府人の人懐っこさゆえだろう。お家もとても味があって素敵で、家族全員が気兼ねなく接してくれて、取材する側としてはとてもやりやすくありがたかった。
その後、温泉の撮影を終わらせて次の撮影場所へ移動する準備をしていると、長井さんが「うちの裏に若草温泉の泉源があるんですが、見ていきますか?」とお薦めしてくれたので、泉源を撮影させていただくことに。
温泉の撮影をしていても個人宅にある泉源を見せてもらえることはなかなかないので、とても貴重な機会を頂けて嬉しかった。(本インタビューでは泉源の中も撮影させてもらいました)
今回のインタビューでも田多さんと話したのが、とにかく別府の人は「いいよ、いいよ」となんでもOKしてくれる。もちろん全ての人がそうではないけれど、とにかく優しいし、世話好きだ。モデルになってくれた田多さんと二人で「別府っていいよねー」とずっと言い合いながら撮影していた(笑)
別府の優しさに改めて触れた撮影の様子は以下ページから。是非、ご覧ください。
2023.11.26 東京神父
若草温泉「Loosen up! It’s going to be OK.」
東京神父 写真家。1978年4月20日生まれ。 別府出身、自由が丘在住。