
【Tokyo Saikai Edition 005】 カワイハルナさん <前編>
東京西海noteの連載「Tokyo Saikai Edition」第五回目。アーティストのカワイハルナさんをTokyo Saikai Showcaseにお招きしました。
今回お話をお聞きしたShowcaseスタッフは、ハサミポーセリン「アートマグ」プロジェクトをきっかけに、カワイさんの作品と出会い、様々な作品に触れるたび、唯一無二の世界観にわくわくしています。カワイさんと同い年ということもあり、ゆっくりお話ししてみたいなと思っていました。
まずは幼少期の頃、絵を描くようになったきっかけをお聞きしました。

「私は子どもの頃から話すのが得意な方ではなく、人見知りでした。小学生の頃は転校を重ねていたので、一年間クラスで誰とも話せなかったこともありました(笑)。そのため、人がやっていることをじっと観察し、ビジュアルで理解することが多くて。どちらかというと言葉にすることよりも、絵を描いて理解することの方が得意でした。想像の世界や欲しいものを、絵で描いたりもしていました。机の引き出しを人形の部屋に見立てて、そこに窓やベッドを描いて遊んだり。小学校の高学年になると、海外の家具のブランドのカタログを見ながら、自分の理想の部屋を想像して三面図をつくったり。きっかけが明確にあるわけではないんですが、自然に絵を描くようになっていたと思います」

根っからの芸術家肌のカワイさん。インドアな子ども時代かと思いきや、外で体を動かすことも好きだったそうです。なかでも夢中になったのがソフトボール。中学卒業まで続けました。ご両親はカワイさんのやりたいことには干渉せず、「できるだけ本物に触れるように」と、美術や落語の鑑賞などさまざまな体験をさせてくれたそうです。お母さんの影響で絵画教室に通うようになると、カワイさんは早い段階から将来を見据えるようになりました。
「早いうちから専門的に学んでみたいという思いがあり、高校は美術系に進みました。高校は1学年で2クラスしかなく、2年生からデザイン科に進みました。当時、都内では専門的な美術教育をしている学校は少なく、私が通っていた高校は、生徒1人あたりに先生が3〜4人ついてくださり、今思えばとても恵まれた環境でしたね」

「高校卒業後は設計、インテリアデザイン、空間にまつわることを学びたくて、桑沢デザイン研究所のスペースデザイン科に進学しました。当時影響を受けていたのは、ル・コルビュジエ、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ、谷口吉生などのモダニズムの建築家たち。でも、学んでみると、クライアントワークが苦手なことがわかりました。コンセプトを作って、プレゼンをするまでの流れが自分には難しかったんです。正直、この業界では自分がいる未来が見えませんでしたね…さらに体調も崩してしまい、学校も辞めてしまったんです」
順風満帆に思えた進路でしたが、いろんなことが重なって設計者の道を諦めたカワイさん。その後は、民放番組のセットを作る会社に就職しました。そこでは主に塗装や書割を担当。木目やレンガを塗装で表現したり、立体物にエイジング加工を施したり。元々手を動かすのが好きだったので楽しく働きながら、3年ほど経った頃、心境に変化が現れます。
「仕事をしながら、休日には展示を見に行く日々を過ごしていました。一人暮らしにも少し余裕が出てきて、この先どうしようかと考えるようになって。同年代のアーティストの活躍を目にする機会も増え、このままではいけないという危機感も芽生えてきました。ちょうどその頃、友人からインスタグラムの存在を教えてもらったんです。せっかくの機会だし、この場に絵を載せてみようかなと。それで実際描いていくと、やっぱり絵を仕事にしたいと思い始めて。24歳のときですね」
転機を迎えたカワイさん。後編では、ここからどのようにアーティスト活動を歩んできたのか、また作品づくりのプロセスについても、じっくりお聞きします。

カワイ ハルナ / アーティスト
東京在住。幾何形体を組み合わせた独自の構成物を描いている。物体と物体が形を保っている関係性に興味がある。展示の他にも立体、壁画、書籍の装画も手がけている。
主な展示
KNS 展示会「Encounters」 粟津邸 2023
個展「はさんで固定する」guardian garden ( 銀座 ) 2023
主なクライアント
講談社、新潮社、マガジンハウス、三井不動産
https://www.instagram.com/haruna_kawai/
カワイハルナ個展「重ね合わせ」
Haruna Kawai 「superposition 」
2024.09.21-10.06
【e2gallery】 @e2_gallery
東京都世田谷区駒沢4-14-13 2F (年中無休)
平日/ weekday 13:00-19:00
土日祝/ weekend & holiday 10:00-18:00
Tokyo Saikai Showcase 東京西海株式会社
東京都世田谷区瀬田4-29-11 1F(環八沿いのレンガとブルーの建物です)
■ギャラリースペース:平日10時〜17時(12時〜13時クローズ)
予約不要。一般のお客様も自由にご覧いただけます。
在庫がある商品はご購入いただけます。
(現金不可。クレジットカード / 交通ICカード/PayPay利用可能)
公式Instagram:https://www.instagram.com/tokyosaikaishowcase/
臨時閉館やイベント情報は、公式Instagramでご案内します。
法人のお客様は、事前にお問い合わせください。info@tokyosaikai.com