人とまちと商いと。VOL.004『無印良品・みのおキューズモール』
まちで見かけた新しいデザインや業態、面白い挑戦など東京オデッセイ代表が日々の暮らしの中で出会ったコトを読み解いていくビジュアルエッセイ。
1980年、バブルとともに産声をあげた良品計画から現在の無印良品まで、42年の紆余曲折の歴史がある。
西日本最大級の店舗ができたということで早速行ってきた。
要塞のようなキューズモールの外壁を抜けていくとインナーガーデンが左右に広がっている。
その一本橋を渡ると無印良品だ。
無印良品500(無印らしい500円以下ショップ)でも話題になっている、次の仕掛けが見られるか楽しみに来訪。
要塞のようなキューズモール外観を見ながら中へ
すると、広がる緑が目に優しい。周辺環境は寂しい工場地帯のようだったので、その印象は深く強い。
23年には千里中央駅から北大阪急行が延伸、箕面萱野駅ができる。また街は変わっていくのだろう。
キューズモール環境も含め、なんとなく自由が丘辺りの匂いを感じたのは私だけだろうか。やっぱりデベロッパーの個性が出るのか。
さあいよいよ店内へ。最近は地域一体型まちづくりを表明している無印良品。
地域との連携も忘れない、地域共感型発信コアもある。
衣料品、生活雑貨、食品と大きく3部門。その中にキャンプや小屋などもある。
1089坪で展開。(通常のホームセンター並の大きさである)
フロアセンター部の食ゾーン。
かなりの充実ぶり。
天井にも装飾デザインがされており、力が入っていることをうかがえる。
キャンプ用品と小屋ゾーン。
商品アイテムと商品展示スペースが狭い印象。わざわざ無印で買うか?疑問。
あとはお馴染みのコーナーが並ぶ。
通路幅が広い。メインは外部で使うカラーゴムチップ(リサイクル材料、幼稚園の園庭などに使用)を使っており、高齢者、ペット同伴時の汚れ対策、足触りの良さなど従来の店舗には無い素材が光っている。
そしてうまく共用部を作っている。
天井はスケルトンで高い天井が印象的。天井装飾は食品エリアのみでコスト的にメリハリをつける計画のよう。レストコーナーにはセルフ100円コーヒー。無人レジもある。
見るべきデザインはそう多くない。
西日本最大級のインパクトも少ない。
明日のマーケティング感も乏しい。
どうしたものか。
だったら無印良品500の方が気が利いている。
と、つい思ってしまう。
しかしこの店舗を見ていて私の想像が膨らんだ。
無印良品のブランディングでホームセンターがやれたら最強だ。
釘一本から、木材1枚から、知恵が詰まった商品が並ぶ。
そんなこだわった無印良品のホームセンターがあったなら、爆発的に流行るだろうと思った!
ぜひ期待しています。
そういった視点で見るとこの店舗は広く浅くの売り場構成に見えてちょっと残念。
無印良品の鮮やかさに欠けていたように思って店舗を後にしました。
業界のトップリーダーは常に新しい展開を求められ、それに答える展開力が必須。
とても大切で難しいことだと改めて感じた。
40年前に登場した無印、その頃のデザインは杉本貴志さんの重厚で存在感のあるものでしたが、時代の変遷をへて品がよく軽やかに、クオリティは維持しながら変貌したのがよく分かる。
デザインは40年という時の流れに埋没せずに存在感を維持したのは驚きだ。