見出し画像

【取材インタビュー】子育て教育コミュニティ「つみき」代表:古内しんごさん

人生と〇〇は切り離せない。

あなたなら、この〇〇に何を入れますか。
まず、「あなたの人生なのか」「世間一般の人生なのか」から考えてみましょう。
「あなたの」だったら「私の人生と彼氏は切り離せない」かもしれません。
「私の人生と仕事は切り離せない」という人もいるでしょう。
しかし「世間一般の人生でも、自分の人生でも」
人生と教育は切り離せないと断言する方がいらっしゃいます。
子育て教育コミュニティ「つみき」を運営なさっている「古内しんご」さんです。
https://mama-papa-sensei-nakama.com/

様々な教育コミュニティが存在する中、子育て教育コミュニティ「つみき」は、職業/立場/領域…垣根を越えて、子育て教育について考え合うコミュニティです。
親や先生、学生から60代まで、様々な大人がオンラインをベースに関わり合っています。
「つみき」誕生の裏側から紐解き、その活動を紹介することで、古内さんがなぜ「子育て教育コミュニティ」を運営なさっているのか、探っていきます。

古内さんは東京都出身の30代、これからの教育界を担うエースの一人です。
高校時代に小学校のボランティアを経験したことから、保育の重要性を感じ、大学進学後、保育士、幼稚園一種、小学校一種の免許を取得。公立小学校で教員を6年務め、2校経験しました。

古内さんは、教師としての目標と意欲を持って務めた6年間に後悔はないし、精一杯、子ども達を愛し、今なお、その気持ちは変わらないと言います。
しかしその一方で、愛する子どもたちが本来持つ「光」を見えなくしてしまう「闇」も見つけることになったそうです。
それは「受験制度」です。
学びは本来楽しくて、やりたくて仕方ないことです。本来、人間は誰しも学習意欲を持っています。
それを奪っているのが今の受験制度かもしれません。
『出る杭は打たれる』とは良くいったもので、子どもを一様に並べる画一的な風潮が、現代の親子を追い詰めているのではないでしょうか。
親はわが子が産まれた時を思い出し、『この子の存在そのものが尊い』ということを思い出してほしいです
教育虐待という言葉が聞かれ始めたこととも無関係とは言えません。深い闇です。
これら全てが、「受験制度」によるものとは言い切れませんが、振り回された結果の大きな要因であることは否めません。
そこで古内さんは考えるのです。

自分軸を持てば、変わりゆく今と先の見えない未来に振り回されることもない。

自分軸を持つとは、この場では「自分で考える」と定義します。
この「自分軸」があれば、受験制度に振り回されることもないと、古内さんは考えたのです。
その為に、古内さんは大きな決断をします。
大好きな教員を退職したのです。
そして形を変えて「生きる力」を育む塾を起業しようとします。
しかし、そこにはすでに先駆者がいました。
その人達は、メディアでも取り沙汰されている影響力のある人達でした。
「自分は身近な存在として、大人を変えていこう」と、考えを改めた古内さんは、次の手を考えます。
どうすれば、子ども達が自分軸をもつことができるのか・・・。
子どもに「自分軸の大切さ」を伝える事は可能です。
しかしそれを実際に「体感」するにはどうしたらいいのだろう。
誰かが「魅せる」しかないと、古内さんは考えました。
誰かとは「大人」です。親です。地域の人々です。
まずは、大人が学び、輝くことで、子どもに再び笑顔を取り戻させようと考えたのです。大人が自分を知り、価値を再発見すれば、子どもも輝きます。
子どもに何かを施すのではなく、大人と学び直しの場を作ろうと、古内さんは再び大きな決断をします。
自分は身近な存在として、いつでも各人のペースで視聴できるyoutubeでやっていこうと決意しました。
そして「子どもにとって親が笑顔でいること以上の栄養素はないですよ」と、伝え続けました。
多くの人に、このことを強く提言しているうちに、彼は視聴者の相談に乗るようになりました。
身近な存在としてです。相談者からお金を取るようなことはしません。
無料にこだわって、まさに寝る間も惜しんで、真摯に向き合いました。
そして、想像していなかったことが起こります。

人生で初めてベッドから起き上がれなかった朝

古内さんのおかげで、きっかけを得た人もいる一方で、
古内さんが消費されるだけで終わってしまう側面も出てきました。
次から次へと来る相談は尽きることがありません。
やがて限界が訪れ、笑って応えられなくなっていきました。
そんなある日の朝、彼はベッドから起き上がることができませんでした。
そのようなことは人生で初めてであったそうです。
それでも古内さんは立ち上がりました。
その根底にあったのは「今より更に子どもが光を放てるようにしたい」その一点でした。
次に彼が考えたのが、オンラインでの「子育て教育コミュニティ」の立ち上げでした。
教育が自分ごとになるきっかけを作るにはどうしたらいいか、深く考察した結果、大人が学べる場を自ら立ち上げたのです。結果的に、17歳から65歳、海外からアクセスする人もいます。
(年に数回、講演などリアルイベントも行います)

教育を自分ごとにするために「つみき」が大人に提供していること

「人類は皆、アーティストです」と古内さんは言います。
例えば音楽であれば、どうしてその音楽が好きなのか、歌詞のどこに共感するのか、突き詰めていけば個人の美学や哲学に行き着きます。

自分はどうありたいか、どう生きたいか、それを子ども達にどんな形で見せたいか。
それぞれの人が自分の美学や哲学と教育を掛け算する機会を作ろうとしたのです。
こうして、大人のための有料会員制子育て教育コミュニティとして、「つみき」は生まれました。
古内さんはzoomを使って対話会や日々に使える子育てのヒントを考える機会をたくさん作っています。
誰かの考えを聞いたり、感情のシェアをしたり、自分自身を見つめたりする場を通して、大人が子育てに笑顔で関わることができる。そのようなきっかけ作りになっているのです。

打ち上げ花火を上げよう!

こうして3年半が経ち、「つみき」の基盤が出来上がってきました。皆で築きあげてきた情熱、その火を絶やさない日常が維持できるようになってきたのです。そのタイミングで、あるイベントを企画しました。
それが、映画『夢見る小学校(完結編)』上映会(2024年8月25日トキワ松学園ホールにて)です。
この映画は、一人の教師が掲げた理想を実現した「夢の学び舎」で過ごす子どもたちを追ったドキュメンタリーです。この学校には、校則もテストもありません。生徒たちは一見、遊びにしか見えない活動を通して、今後生きていく上で必要な知識や思考力を養います。今回上映した完結編では「自分軸」を持って社会で活躍する卒業生が登場しました。

2024年8月25日に映画『夢見る小学校(完結編)』上映会をトキワ松学園ホールで行ったした子育て教育コミュニティ「つみき」代表:古内しんごさん
熱い思いを訴える古内さん

なぜ古内さんは今回、「夢見る小学校」を選んだのでしょうか。
この映画に、いわゆる正解はありません。なぜ自分の周りには、このような学校がないのだろうと、不安を抱く方もいるかもしれません。

古内さんは言いました。
「あの学校を知った上で、今の教育をもう一度考えて欲しかったんです。あの学校の取り組みで活かせることはなんだろうと、具体的に考えてほしかったのです。なぜなら『教育を自分ごとに』が僕の根幹にあるからです。
より良い未来を信じて行動に移していく、その姿を子どもに見せることが大切ではないでしょうか」

古内さんはこの日、入場者に小さなカードを渡していました。
上映後、彼は「今日から自分にできることをこのカードに書いてください」と言いました。

時が経っても映画の内容を思い起こしてもらうためのカードだったのかもしれません。
視聴後はアツい思いになっても、日常に戻ると、中々、実行に移せないのが現実です。
「あの映画には自分の学校や日常生活に落とし込めるヒントがあったはずだと思い出してほしいのです」

YouTuberをしていた頃、思いが届いても行動に移さないと問題は解決しないということを学んだ古内さんだからこそ、思いついた宣言カードなのでしょう。

今後の「つみき」と仲間達

古内さんは会員のことを『仲間』と呼びます。
インタビューが終わりに差し掛かる頃、彼は嬉しそうに言いました。
「つみきの仲間が、時間をかけて学んでいることをオンラインで発表する会が、9月の夜に全8回行われました」
「生まれ変わった大人たちの発表会ですね」と私が言うと、古内さんは嬉しそうにこうも言いました。
「今後、『つみき』は、仲間たちがアウトプットする機会をもっと増やしたいです。ある程度仲間に任せて、僕はもっと違うアプローチも模索して仲間と共に試行錯誤で変化しながら『つみき』をより良くしようと考えています」
古内さんはこれからも「仲間」とともに、教育を身近に、そして自分ごとに変えていくため、更に声を上げ続け、行動し続けるに違いありません。

文・取材 栗秋美穂 

いいなと思ったら応援しよう!