【情報格差】外国人社員だと自社の大赤字にも気がつけないって件
楽天モバイルの赤字額はヤバいです。億単位の赤字を垂れ流して、楽天をぶっ潰そうと今日も張り切っています。
巷では大前研一さんが楽天の経営方針の間違いを語る記事が現れたり
ホリエモンがニッコニコで楽天をこき下ろしたりしています。
遂に私の会社でも楽天証券を使っている人まで「大丈夫かな、あの会社潰れないかな…?」なんて言い出す人が現れました。
まぁ証券口座の自分の金は会社が潰れても帰ってきますけど、そこが本題ではありません。
私が話したいのは、ゴシップレベルにせよ、専門的な分析にせよ「楽天の経営状況大丈夫か?」と言われるこの頃、なんと楽天社内の外国人社員はそんなこと全く知らなかったということです。
これは外国人と日本人の間にある大きすぎる情報格差の象徴のような出来事だったので今日はこのことについて語ろうと思います。
「楽天?最高の会社だよ」
これは約1年ほど前の話です。楽天で派遣社員としてプログラマーをやっている友人の転職を手伝っていた時のことでした。
前提として彼は派遣社員ではありますが、かなりいい給料を稼いでいたということを話しておかなければいけません。ですから今回の転職も「もっといい職場があれば是非」くらいの気持ちで探していました。
そんな時、別の外国人の友人から私に某日系大手企業がブリッジエンジニアを探しているとの相談がやってきたのです。というわけで、ちょうど良いねと声をかけたのが彼だったのです。
とはいえ、彼もそこまで乗り気ではありませんでした。というのも楽天の職場環境が結構良いのです。
少なくとも表面的には...
出社すれば食堂がタダ
まず楽天は食堂がタダです。彼の働く部署ではリモートワークが認められているものの、会社に行くと飯が食えるということで彼自身はよく会社に出勤していました。
バラエティも豊富で結構美味しいらしいんですよね。これは確かに福利厚生としては良いです。
クラブ活動あり、ナイスで国際的な同僚達
また、彼曰く人間関係も良好とのこと。特にクラブ活動で出会ったプログラマー仲間の外国人と交流する機会は日本ではあまりないので貴重だと言っていました。
「ほらっ、この前山登るに行った時の写真だよ」
三人組で登山した時の写真を彼が私に見せてきます。確かに楽しそうです。「このまま楽天でも良いんじゃないかと思っている」と彼は呟きました。
とはいえです。楽天モバイルによる楽天の赤字はちょっとやそっとの話ではありません。楽天の社員も楽天モバイルの契約ノルマを課せられてるとか不穏な話を聞くこの頃です。
経営が悪化したらタダ飯とか自由にリモートできる環境とか維持されるとも限りません。給料も下がるかもです。なので私は一応彼にこう提案してみました。
彼はキョトンとした顔で私の話を聞いています。そして一言、「えっ?経営不振って何?」
経営不振?何それ?知らない
えっ?知らない?自分の会社のことなのに?
今度は私が驚きました。今やワイドショーも取り上げてますし、経済ニュースでも「楽天大丈夫か?」はありふれたネタです。それも言われ始めたのは今年の話じゃないのに彼はまるで今日初めて聞いたかのようにビックリしています。
まさか、彼は何も知らないんじゃ?と思いつつ私は話を続けました。
しかし彼は状況が飲み込めないようです。
そ、そりゃニュースで特集してるからだよ...
でも、そうなんです。外国人の人で毎日経済ニュースに目を通してる人は殆どいません。彼らは世情に本当に疎いのです。
ニュースが読めない外国人
普段あっけらかんとしている彼の顔が少し深刻になりました。
そりゃそうでしょう。二子玉川に巨大なオフィスを構えている大企業の楽天が経営危機かもなんてことは「彼が知っている範囲の情報網」では一度も入ってこなかった情報です。
片方で、日本人の僕たちは「昨日ニュースピックスでさぁ、やっぱ楽天やばいって特集やってたよー」と昼飯の雑談に使う状況ですが、外国人だけの交友関係の彼にはそんなありきたりのニュースも入ってきません。
外国人だけの職場と日本人の職場にはこれほど大きな情報格差が開いているんだと気が付かされました。
では何故彼らと私たちの間で認識にこれほどの違いがあるのか?それは彼がニュースを読めないからです。
例えば彼の日本語能力はN3。つまり生活には問題がないが、新聞やニュースを理解して分析するほどの日本語能力がないことを示しています。
だから彼は情報が取れなかったのです。ニュースが読めない事は短期的に外国暮らしするためには大して問題ではありません。
しかし、30-40代になりキャリアについてもしっかり考えないといけない状態になっている彼にとっては、新鮮な情報を得られないことは、こういう時に大きなデメリットとなります。
経営悪化に気付かず突然派遣切りされたら発狂ものです
そしてさらに彼は交友関係が基本的に同じような外国人に限られていました。そのため私が話すまでその事実に気が付かなかったのです。
情報戦で完敗する外国人達
この出来事は情報が現地人と違って簡単に取れない外国人の立場の恐ろしさを再認識させることになりました。
確かに外国人達は日本のビジネス知識が恐ろしいほどない人がちらほらいます。それこそ日本人の就活生以下のレベルです。
例えば私の会社ではメガバンクといえばどこ?と聞けば赤・青・緑の銀行の名前が出てきますが、外国人達でそれをすらすら言える人は一人しか知りません。
大手財閥グループや、商社の名前も知りませんし、日本の主力産業である自動車メーカーも3社言えない人すらいます。
日本人が真面目に就活生をやれば22歳の段階で知るであろうこれらのビジネス情報を知らない上、交友関係が同じ外国人達で完結しているので情報不足だということにも気が付かないのです。
もちろん日経新聞の英語版とかはあります。でも必要性を感じるコミュニティに属していないので能動的に情報を取りに行こうとしないのです。
彼らはこうしてビジネス環境において情報戦で負けます。負けるべくして負けるのです。自らの情報量が少なく、さらに情報を仕入れなければいけないという気付きすらない状況なのです。
情報不足の沼から抜け出すの相当難しいと思いませんか?
こういう構造的に不利な状況に追い込まれると勝ち筋を見つけるのは難しくなります。その点でも日々外国人の経済的成功というのは日本人の数倍難しいんだなと実感させられるこの頃です。
この状況を変えようと思ったらやはり上質な現地人コミュニティに入ることが必須です。手段としては現地大学に入り直すとか色々ありますが、ともかくも移住先の社会でのしあがるためには外国人コミュニティに埋もれていては良い情報が手に入らないと言えますね。
基本的にこのブログでは海外生活のキツいシーンを良く書いていますが、それも含めて海外生活は冒険です。
こんな困難、面白いじゃないかとニヤリとして勝負を挑む外国人達も何人もいます。ですからこれから海外に渡っていく日本人にはこの余裕を見習ってほしいなぁと思うこの頃です。