危険犬種法:「危険犬種」と呼ばれる愛犬と、どう向き合うべきか?業界歴15年のプロトレーナーが考えること
こんにちは、犬しつけ専門家の松尾邑仁です。
今回は、「危険犬種法」について取り上げたいと思います。
この法律は、特定の犬種を「危険」として規制するもので、世界各国で導入されていますが、日本ではまだ導入されていません。
この記事では、危険犬種法の背景、国内外での適用事例、そして私たちが本当に目指すべき「犬と人間が共存する社会」について考えてみたいと思います。
そもそも危険犬種法とは?
「危険犬種法(Breed-Specific Legislation, BSL)」は、特定の犬種が他の犬種に比べて攻撃的であるとみなされ、飼育や輸入に制限を設ける法律です。
これまでに多くの国や自治体で採用されており、アメリカやイギリスでは、ピットブル、ロットワイラー、ドーベルマンなどの犬種が特に規制対象となっています。
この法律は、犬による攻撃事故の防止を目的としていますが、実際の効果や公平性については賛否両論があります。
特定の犬種を「危険」として扱うことが、本当に事故防止につながるのか? 犬の攻撃性は、犬種だけでなく、飼育環境やしつけの方法にも大きく影響されるのではないか?
こうした疑問が多くの人々の間で議論されています。
実際私は他国では危険犬種と言われている、犬種(ピットブル、アメリカンブリー、ロットワイラーなどなど)をこれまでたくさんトレーニング、管理してきました。
これらの犬種は結論から言うと、犬の個体差(性格)によるので、すべての危険犬種が「凶暴でどうしようもない」と言うことはないですが、やはり闘犬の血統が入っていたりするので興奮の"沸点"の上がり方が急激な子も中にはいます。
「危険犬種法」から見る日本国内の事情
日本では、「危険犬種法」に相当する法律は存在しません。
しかし、各自治体やペット業界のガイドラインによって、特定の犬種が規制されるケースがあります。
また、国土交通省や農林水産省は、動物愛護法や動物取扱業者に関する規定を通じて、ペットの適正な飼育を推進していますが、これらの規制は犬種を特定するものではなく、広範なペット管理に焦点を当てています。
しかし、日本でも時折、特定の犬種による攻撃事故が報道され、そのたびに「危険犬種法」の導入が議論されることがあります。
しかし、日本の犬文化や社会構造を考えると、単に犬種に基づく規制を導入するだけでは、真の解決にはならないでしょう。
危険犬種と言われているピットブルが逃げるとニュースになる。
世の中の関心や危険犬種の認知も広がっているように感じる。
危険犬種法の問題点
危険犬種法には、いくつかの問題点があると思います。
1.犬種だけで攻撃性を判断するのは不公平
犬の攻撃性は、犬種だけでなく、個体の性格、育てられた環境、飼い主のしつけ方法など、さまざまな要因に左右されます。
例えば、同じ犬種でも、愛情をもって適切に育てられた犬は非常に穏やかで、家族にとってかけがえのない存在になることも十分あります。
2. 効果が疑問視されている
実際に危険犬種法を導入した地域では、攻撃事故が減少しない、あるいは他の犬種による事故が増加するといった報告があります。
これは、問題の本質が犬種ではなく、飼育環境や飼い主の責任にあることを示していると言えるでしょう。
3. 不必要な差別を生む可能性
特定の犬種を「危険」とレッテルを貼ることは、その犬種に対する不当な差別や偏見を生む可能性があります。また、その犬種を愛する飼い主たちが不利益を被ることにもなりかねません。
真の解決策とは?
では、私たちはどのようにして犬による攻撃事故を防ぎ、安全な社会を築くべきなのでしょうか?
1. 教育と啓発活動
犬のしつけに関する知識を広めることが重要です。
飼い主が正しい方法で犬を育て、社会化させることで、犬の攻撃性を抑えることができます。
また、一般市民にも犬との接し方を教育することで、犬による事故を防ぐことができるでしょう。
私は犬を飼育するにあたって「免許制度」などの施策を設けていくのがいいと感じます。
2. 飼い主の責任強化
ペットを飼うことは大きな責任です。
飼い主が犬を適切に管理し、トレーニングする責任を強く認識することが必要です。
また、自治体や業界団体が定める規制やガイドラインを遵守し、犬の健康と安全を守ることが求められます。
3.個別のアプローチ
すべての犬は個体差があり、犬種だけでなく、その犬が置かれた環境や育てられた方法も考慮すべきです。
危険犬種法ではなく、犬の行動に基づく個別の評価と管理が求められるでしょう。
最後に
「危険犬種法」は、表面的には安全を提供するように見えますが、実際には多くの問題を抱えています。
私たちが目指すべきは、犬種に基づいた規制ではなく、教育と啓発活動、飼い主の責任強化、そして個別のアプローチによる真の安全確保です。
犬と人間が共存する社会を築くために、私たち一人ひとりができることを考え、行動していきましょう。
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