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建設プロジェクトマネジメントにおける建築設計事務所の選定(2) -海外編- | 東京デザインピーエム
海外と一言で言っても先進国もあれば途上国もあり、先進国でもシンガポールのように材料を海外から調達しないといけない国もあれば、途上国でもベトナムのようにほぼ自国で材料調達出来る国もあります。
海外での建築設計事務所の選定について、まず、ハードの部分では現地の設計ライセンスを取得していて開発や建築申請に対応出来る事が大前提になりますので、ローカルアーキテクト若しくは日系でも現地ライセンスを有する建築設計事務所が建設プロジェクトに絡まないと進める事が出来ません。
建築は現地の風土や文化などに配慮したデザインをする事が求められるので、ソフト面でもローカルアーキテクトに強みがありますが、途上国のデザイナーはセンスが洗練されていないケースがあり、その場合はコンセプトデザインは日系や海外の建築デザイン事務所、実施設計はローカルアーキテクトという組み合わせになります。
日系企業がクライアントの場合は、言葉を含めてコミュニケーションが上手く取れるかの問題もあります。
どこの国でも日系(外国)企業の仕事に対応出来る能力のあるローカルアーキテクトは基本的に英語が話せるので、日本語に拘らなければハードルは高くありませんが、商習慣や感覚的な部分で日本社会とは大きく異なるので、ローカルアーキテクトでも海外クライアントとの実績があるかは大きな選定ポイントになります。
国内編では以下の4点を選定基準として挙げました。
①特定の用途に強み、実績がある。
②エリア特性を熟知している。
③合理的な(若しくは特徴ある)設計が出来る。
④建築設備など、引き渡し後のランニングコストを抑えた設計が出来る。
海外編は上記①〜④に
⑤コミュニケーションが上手く取れる。
を加えた5点を総合的に判断する事になり、選定対象となる場合は国内編同様に経営状況も加味して選定する事になります。
これから海外の仕事に取り組みたい日本の建築設計事務所に私の経験からアドバイスするなら、技術的な部分は別として、一点はプレゼンはとにかくスピードを早く、且つ、視覚に響く見栄えする表現を日頃から心がけるようにしてください。
私は途上国をメインに活動していましたが、ローカルクライアントが日本人に依頼する場合は、ローカルアーキテクトには難しい洗練されたデザインを求めるのものなので、その場合はよほどのビッグネームでない限り、外国人アーキテクト枠として大きな括りで扱われ、欧米系などの建築デザイン事務所と比較される事になります。
彼らは非常にレベルが高いので、プレゼンで勝てる腕がないと海外で生き残れません。
日系は慎重で判断が遅くスピード感がないと海外では思われているので、同じ土俵に乗る心構えが必要だと思います。
もう一点は、海外のスケール感を養うようにする事です。
日本はお国柄窮屈な物件に偏っていて、多くの制約を紐解いてデザインを組み立てる事に秀でていますが、逆に小さくまとまってしまう傾向にあるので、当該国のスケールに合ったデザインが出来るように日頃から訓練しておく必要があります。
以上の二点を踏まえた上で、御社の強みを打ち出してください。
強みはデザイン面でも用途的な部分でも良いと思います。
海外はあらゆる面でイノベーションが起こりやすく、とてもやりがいがあると思いますので、日本人建築家ももっとフィールドを広げて世界で活躍してほしいと思っています。
余談ですが、仕事でラオスのローカルアーキテクトの事務所を訪ねた際、そこに日本人の青年が働いていて、彼はドイツで環境建築を学び、実践出来る場としてラオスと言うこれからの国を選択したそうです。
途上国はいきなり最先端の環境が創られたりするのが面白いところで、ラオス国民は自然や緑が大好きなので、彼は先見の明があるなあと思ったものです。
建築設計事務所の経営者であれば、ローカルクライアントの仕事はちゃんと集金できるか心配だと考えるかも知れませんね。
契約社会ですから契約書とインボイスがあれば、当該国の税金処理をローカルクライアントにしてもらっていれば、ちゃんと日本へ送金されます。
中には支払いがされないケースがあるかも知れませんが、心配であれば、分割払いをその都度前金制にする契約にすれば問題ないでしょう。
プロジェクトが突然中断する可能性も無くはないので、お金の取りっぱぐれが無いようにしておけば致命的な傷を負わずに済むでしょう。
そう言う意味では、日本で仕事をする時よりも詳細に契約内容を詰めておく必要があります。
海外では弁護士に契約書を作成してもらう事が一般的ですが、弁護士は建設業界のプロではありませんので、私たちが関わるプロジェクトでは、関係者がリスクヘッジ出来るように弁護士にアドバイスを行なうようにしています。
本記事の後半は建築設計事務所の選定というタイトルから脱線してしまいましたが、もっと多くの日本人アーキテクトに世界へ出て欲しいと言う個人的な希望から参考になりそうな情報を少しですが提供させていただきました。
Tokyo Design PM Inc, フネイ リーチェン
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