錦秋に染まる山肌~KINSHU~
秋の紅葉が特集される季節。紅葉を楽しむ登山のナレーションで、ふと「キンシュウに染まる山肌の…」と、耳に入りました。
ん?「キンシュウ?」
検索してみると「金秋」と「錦秋」がありました。恥ずかしながら聞いたことが無い単語だったので調べたくなりました。
美しい秋の言葉
季節を表す日本語は、どれも美しい意味をもっていて、感心する事が沢山あります。特に秋は紅葉や収穫など行事も沢山あるので、和歌や俳句、小説、詩などでも情景を表す素敵な言葉が多く登場します。
「キンシュウ」とは、どんな言葉なのでしょうか。
金秋は陰陽五行で「秋」の意味
「金」の字を使う金秋は、「五行」から来ています。
「五行」は五行思想といって、万物は木・火・土・金・水の5種類でなり立つという考えで、薬膳や気功などの健康、四柱推命などの考え方の元にもなっていますが、季節を五行で見ると、
木=春
火=夏
土=長夏
金=秋
水=冬
という事で金秋なんですね。
五行も面白そうです。夏が「夏」と「長夏・土用」の二つあるのも気になります。しかし、脱線がすぎますので五行はまた今度にしましょう。
次に錦の方のキンシュウはどうでしょうか。
錦秋は、美しい紋様に仕上げた絹織物のような美しい秋の様子
まさに、何色もの色を使って美しい紋様に仕上げた絹織物のような艶やかな様子を錦秋と言うそうです。紅葉特集でのナレーション「キンシュウに染まる山肌の…」は、錦秋という字だったんですね。
調べてみると、紅葉に染まった秋の山の情景を錦繍にたとえた事から「しゅう」という音が使われたようです。
『錦繍』とは「錦」と「刺繍をした着物」のことで転じて「きれいな衣服」を意味しさらに転じて「紅葉の美しさ」を「きれいな着物」にたとえた比喩とあります。こんなイメージ。まさに!そっくり(笑)
日本語は漢字の美しさや響き(発音)もそうですが、「意味」を紐解くと本当に感心します。
10代、20代の頃は秋が嫌いでした。楽しかった夏が終わり、寒くて侘しい冬の兆しが増えていく秋は憂鬱でした。とはいえ、遠足や文化祭・体育祭などで実行委員に巻き込まれる体質な私は行事の準備が忙しく、バタバタしているうちに終わってしまい、あまり記憶がありません(笑)
社会人になってからも、しかも東京は、残暑が厳しく「暑い暑い」と言っている間にあっという間に冬服になるという印象で情緒も何もありませんでした。食欲の秋はダイエットには大敵だし(笑)、WEBデザイナーかけ出しの頃は特に、冷暖房のきいた室内に籠りっぱなしで季節感も全く気にしたことが無かった。
今、自然いっぱいの清瀬市に住んで、蝉の声が秋の虫に変わり、夜風が気持ちよくなり、今年は中秋の名月にお月見をしようかな~と考えています。
稲穂がこうべを垂れ、秋刀魚や栗、南瓜、松茸が食卓に上がるとすっかり秋の気分です。字面だけ見ていても秋の気分になりますね。
50代の今は、陰陽五行の一生でいう「秋」の頃。風情がほんの少しわかるようになり、季節の味わいを楽しめる今は「秋」が一番好きだなぁ~と思います。
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