賃料の減額・猶予・滞納があっても、あきらめないで申請するためのポイント~ 家賃(賃料)支援制度はどうなるのか?-その4
こんにちは。弁護士の大城聡です。
「家賃支援給付金」の申請要領が公表されました。申請受付開始は7月14日の予定です。今回は、賃料の減免・支払猶予・滞納がある場合には、家賃支援支給金を申請はどのように行うのかについて解説します。
1 申請要領(ガイダンス)
申請要領は、「中小法人等向け」と「個人事業者等向け」に分かれていて、
それぞれに「原則(基本編)」と「別冊」があります。
別冊には、申請書類が揃わない場合などの例外的な取扱いが記されています。
以下のリンクから各申請要領をご覧いただくことができます。
中小法人等向け
・「原則(基本編)」
・「別冊」
個人事業者等向け
・「原則(基本編)」
・「別冊」
2 賃料の減額・支払猶予・滞納の場合はどうなるか?
賃貸借契約情報の添付書類として「申請で必要な添付書類にあげられている「直前3か月間の賃料の支払い実績を証明する書類」の提出が求められています(中小法人等向け「原則(基本編)53ページ・個人事業者等向け「原則(基本編)55ページ)」。
それでは、売上が減少して、直近3か月間に賃料の減免、支払猶予、滞納があった場合にはどうなるのでしょうか?
現在、売上が落ちてしまって、一時的に賃料支払いの猶予や減額または免除を受けている場合には、家賃支援給付金の支給が受けられない、または支給額が下がってしまうのでしょうか?
結論からお伝えすると、多くの場合、一時的な賃料の減免・猶予などが終わった時点で元の水準での賃料1か月分を支払った後に申請することで、元の水準の月額賃料で家賃支援給付金の支給を受けることができます(中小法人等向け「原則(基本編)」28ページ・個人事業者等向け「原則(基本編)」28ページ参照)。
申請期間は2020年7月14日から2021年1月15日です。要件にあてはまれば申請期間中のどの月においても申請を行うことができます。
申請日の3か月前までの期間に、賃貸人から賃料の支払いの免除などを受けている場合には、「直前3か月間の賃料の支払い実績を証明する書類」の代わりに賃料1か月分の支払いを証明する書類や賃料の支払い猶予や免除などを受けていたことを証明する書類などを提出することで家賃支援支給金の申請ができます。この場合でも最低でも申請日から遡って1か月以内にひと月分の賃料を支払っていることが必要となります(中小法人等向け「別冊」47ページ・個人事業者等向け「別冊」31ページ)。
<給付申請のタイミング>
要件にあてはまる申請者は、申請の期間中のどの月においても申請を行うことができます。直前で支払いの猶予を受けている月や値下げまたは免除を受けている時に、家賃支援給付金を申請する必要はなく、元の水準の賃料に戻った時に元の水準で賃料を支払い、申請をおこなえば、元の賃料の水準を対象として給付金を受け取ることができます。
(中小法人等向け「原則(基本編)」28ページ・個人事業者等向け「原則(基本編)」28ページ)。
なお、家賃支援給付金コールセンター(0120-653-930)に問い合わせたところ、賃料の支払いを滞納しており、賃貸人から賃料支払猶予の証明に関する書類などがもらえない場合には、現状では救済措置はないとのことです(7月10日時点)。賃料支払いが滞り、賃貸人との関係が悪化しているケースもあり得ますので、この点については何らかの救済措置を加える必要があると思われます。例えば、申請受付開始時に公表予定とされている「支払免除等証明書」(中小法人等向け「別冊」47ページ・個人事業者等向け「別冊」31ページ)に賃貸人の協力を得られない事情を記載するなどの工夫をすることも考えられますので、何らかの救済措置を期待したいと思います。
3 申請受付開始(7月14日)に向けて
経済産業省のホームページをみると、給付規定は現在準備中です。また、申請要領も2020年7月7日付「第一版」となっていますので、改訂される可能性もあります。引き続き注視し、重要な情報があれば速やかにお伝えしたいと思います。
以上
(本稿は2020年7月10日時点の情報に基づく記事です)
文責 弁護士 大城聡