ブラオケ的名曲名盤紹介コラム~ブラオケ珠玉の演奏曲集~#3「落ち葉の舞う季節」
皆さんは「落ち葉」と聞いてどんな風景を思いつくでしょう か?
近所の公園のイチョウの葉、学校の窓から眺める色付いた 木々、有名な紅葉の並木道、人によって思いつく風景はたくさ んありますよね。
秋の代表的な景色だと思いますが、どこにでもあるけれど色相 豊かに広がる美しさに感動を覚えたり、時には哀愁を感じたり する人も多いのでは無いでしょうか。
作曲者である渡辺哲也さんが、様々な「葉が落ちる風景」をイ メージしつつ曲にしたものがこの【落ち葉の舞う季節】です。
木管五重奏や、フルート三重奏などいろんな編成にアレンジが されている曲ですが、今回の演奏会では一番最初に書かれた木 管三重奏で演奏します。
普段はメロディーや連符を任されることが多いフルート・オー ボエ・クラリネットの高音木管楽器のみの編成で、似た者同士 だけで大丈夫なの?!と思う方もいるかもしれません。しか し、メロディーの達人3楽器を集め、音域の広いクラリネットで響きの厚みを加えてしっかり聴き応えのあるバランスに書き 上げているのは作曲者の手腕でしょう。
ここまでは楽曲全体の話をさせて貰いましたが、以下は奏者視 点も混ぜて聴きどころを少し話したいと思います。 まずは音色。木管楽器、それも高音をよく担当する楽器のみが 集まっているのですが、音色が純度が高い音になりやすく、そ の純朴な色合いで秋のもの悲しげさを演出しやすいと感じま す。
次に連符。フルート→オーボエ→クラリネットの順で上から下 まで受け繋いでいく部分が2回出てきますが、全部違う色の落 ち葉がヒラヒラ舞う様子を表現してるみたいで面白いシーンで す(連符が綺麗になるように絶賛練習中!)。
そしてなんと言ってもラストシーンがこの曲で一番面白いとこ ろ。3人各々がメロディーを吹き、旋律が入り乱れた後、ビタ っとユニゾンを決めて上と下の音域に拡がり終わるのは、とて もドラマティックに感じます。奏者としては散らばってから集 合するようにアンサンブルするのが(休符がほぼ無いので酸欠場面ではありつつ)とっても楽しいです!たった3人でもこんな
に躍動感を感じられるのかと是非体感して欲しいところ。
最後にかなり個人的なオススメですが、楽器の音域の関係上クラリネットが低音域を任される編成なので、シャリュモー音域が大活躍です。普段の合奏だと使用頻度が低いけれどとても魅力的な音域なので、ぜひ注目して聞いて欲しいポイントです。
哀愁漂い少しもの哀しい旋律と、落ち葉が自由気ままに落ちていく様子、澄み切った空から明るい未来を切り開いていく旋律で構成されているこの楽曲で、一足先に秋を感じることが出来る第19回定期演奏会へぜひお越しください!