岡山から上京、住む場所も仕事もゼロから始めた2年間/中目黒店 迫田
私たちトーキョーバイクは、街を楽しむための自転車をつくっている会社です。(詳しくは自己紹介をごらんください)
この連載「トーキョーバイクのひと」では、私たちの自転車が皆様のお手元に届くまで関わっている全スタッフを一人ずつご紹介します。
第10回目は中目黒店の迫田さん。一度は不採用になったものの諦めきれずにリベンジ応募となった入社経緯、そこから2年経ち今後やりたいことまでを聞きました。
中目黒店 迫田 桂輔 (さこだ けいすけ)
自動車向けプラスチック部品サプライヤーのエンジニアとして勤務後、トーキョーバイクに入社。セールスメカニックとして、高円寺店や吉祥寺店を経て、2020年秋から中目黒店に勤務。自転車の販売、組み立てや修理に加え、好きなコーヒースポットを紹介するblogも書いている。
一度は不採用、あきらめられずに再応募
ーー入社のきっかけを教えてください
僕は岡山で生まれ育って、高校卒業後に地元で就職しました。それでもずっと東京への憧れがあったんです。会社の休みがあると先に上京していた兄のところへ遊びに行って、やっぱり東京に行きたいなって。それなら働かないと生きていけないから、東京で働こうって。
ーー東京で働く場所はいっぱいありますが、どうしてトーキョーバイクだったんですか?
そもそもトーキョーバイクを知ったのは、兄経由です。だから未だに兄から「入社できたのは俺のお陰だ!」って言われるんですけど。
先に上京した兄が移動手段として自転車を探していた時に、せっかく東京で乗るんだからおしゃれなやつがいい!とトーキョーバイクの自転車を買っていたんですね。それに影響されて、僕も岡山で自分のトーキョーバイクを買って愛用するようになりました。
それで東京で働くならトーキョーバイクで働きたいと思って、ちょうど求人がでていたタイミングだったので応募したんです。
だけど、書類選考でダメだったんですよね。
ーー最初の応募では不採用。その後どうしたんですか?
落ちてどうしようかな・・・と思ったけど、でもやっぱり働きたいなって。それでトーキョーバイクを購入した岡山の販売店さんで「僕、トーキョーバイクに入りたいんですよ・・・」って相談したら、お店の人が「じゃぁ俺が今から電話してあげるよ」って当時のトーキョーバイクの営業に電話してくれて。
それでもう一回選考してもらって、面接してもらって。
ーー不採用の後に、トーキョーバイクの販売店経由でのリベンジ応募だったんですね。なかなか珍しいパターンです。
面接のこともすごく覚えてます。
「今の会社と全然違って、歴史も短いし安定もしていない会社だよ」
「正社員じゃなくてアルバイトでの採用になるけど、本当にいいの?」
「キラキラしてる面ばかりじゃなくて、地道な修行になるけど大丈夫?」ってかなり突っ込んで聞かれましたね。
今考えれば、その時の自分はなかなか頑張ったなと思いますね。
接客もメカニックもゼロからのスタート
ーー入社後は自転車の知識ゼロからのスタートでしたよね
入社した時は、全然自転車のことを知らなかったんです。なので2年間、メカニックに関してはほぼ修行でした。先輩メカニックや上司の入念な指導と、組み立てた自転車へのチェックがずっとあって。
実際自分がメカニックに向いてるかって聞かれたら、そんなに思わないですね。器用でもないですし、組み立てOKなラインを自分なりに掴むのがなかなかできなかったので。地道にやるって感じで続けてきました。
先輩や上司のチェックがなくなったのは、今年の春です。今はようやく自分で組み立てた自転車を、お客さまに渡せる様になりました。
ーー地道に取り組んで、正社員にもなりましたね。仕事を続ける中で、印象に残っている出来事はありますか?
入社後一週間くらいの時に接客したお客さまの一言が、今でもずっと心に残っています。接客経験もなく入社して、その頃はいっぱいいっぱい。お客さまからの質問に対して、毎回他のスタッフに聞きに行かないといけなかったんですよ。
その時に接客したお客さまに「お兄さんまだここに入ったばっかりでしょ?僕もね、転職したばっかりなんだけど。お兄さん、まだ慣れてない感じがして、それでも一生懸命他のスタッフに聞きに行って接客してくれたから。だからお兄さんから買ったんだよ。」と言われたんです。
それを聞いて、あぁよかった・・・って。
入社したての慣れていないスタッフから買うのって、普通は嫌じゃないですか。なのに、そのお客さまはそう言ってくれたんですよね。
異動して取り組む、自分らしいブランドの伝え方
ーーこの秋、吉祥寺店から中目黒店へ異動になりましたね
ちょうど独り暮らしをするために吉祥寺の隣の西荻窪に引っ越したばっかりだったので、「えっ!このタイミングで異動!?」とは正直なりました。
でも休みの日は中目黒、渋谷、代々木八幡あたりのエリアに行くことが多かったこともあって、中目黒店で働いてみたいとはずっと思っていました。通勤の時に中目黒の駅前を自転車で通ると「あぁ、俺ほんとにいるんだな、東京に」という実感がありますね。おぉーって。
通勤は遠くなったんですが、中目黒店はこだわりを持った人やおしゃれなお客さまが多くて、面白いです。
スタッフもそれぞれ副業や色々な活動をしていたり、旅行にもよく行くし、映画も詳しい。僕は全然映画を見に行かなかったんですけど、同僚に影響されて最近行くようになりました。
ーー中目黒店への異動後、直営店のインスタグラムのアカウントで迫田さんの名前が入った投稿をよく見ます。発信をしようと意識的に取り組んでいるんですか?
トーキョーバイクの直営店インスタグラム @tokyobike_shop_jpは、全店舗が運用に参加。それぞれのお店の様子や、おすすめスポット、お客さまのカスタム自転車などが、それぞれのスタッフの言葉で紹介されている。直営店のスタッフであれば、職種や雇用形態に関係なく誰でも投稿できる
異動で中目黒店に行くことになった時、何がお店に必要なんだろう?何が僕にできるんだろう?と考えて、発信かなと思ったんです。
お客さまが多く販売は伸びていると聞いていたので、きっとそこまでは手が回らないんだろうなと思って。
だからそこは気合を入れて、やっています!
ーー発信する内容に関して、この投稿はブランドらしいかなと迷ったりすることはありますか?
全然ないですね。直営店のアカウントはわりと自由な投稿をしていい場だと思っているので、ブランドっぽさをそこまで考えて投稿はしていないです。
逆に自分らしさを大事にしたいなと思っています。もちろんブランドの路線から外れる感じにはしないけど、こういう形もあるんだよというのは伝えていきたいと思っていますね。
ーートーキョーバイクはこんな形でも楽しめるし、こんな形で楽しんでもOKなんですよ、というのを自分らしく発信していきたいんですね
正直、僕自身があんまりトーキョーバイクっぽくないと思っているんで。僕の見た目もそうですし、乗っている自転車にはカスタムで紫色を入れたりしているし。
ブランドのファンからしたら、僕のカスタムは受けがいい方ではないと思うんですけど・・・。
だって、「紫のグリップにカスタムしたいです」というお客さまに出会ったことないんですよ!
でも自分のトーキョーバイクを紹介したblog記事では、”遊び心”や”他の人とは被らない”自分らしさを大事にしている思いを書きました。
自転車はLOVEよりLIKE、自分の好きを伝えていきたい
ーーこれからやってみたいことは、ありますか?
最近よく言ってるんですけど、僕にとって自転車はLOVEよりLIKEなんだなって。そのものを愛しているというより、好きなものの一つ。だから自転車を使った楽しさを伝えていきたい。
例えば皆さん5〜10kmの移動距離と聞くと「遠い!!」って感じちゃうんですけど、自転車だと意外と気軽に行けて楽しめるよってことを伝えたい。
だからそれを体感してもらえる機会を作りたいなと思いますね。今は少し難しいですが、他業種とのライドイベントとか、コーヒー屋さんでの試乗会とか。
ーー自分が知った自転車を使う楽しさを、いろんな形で他の人に伝えたいんですね
そうですね。さらに将来的には、昔谷中でやっていたTokyobike Rentalsのようなレンタルサイクルのお店を自分でやりたい。自転車も借りられて、美味しいコーヒーも飲める。お客さまとその街のおすすめの場所を話したりして。そういうお店を作りたいと最近よく思っていますね。
好きなものと好きな時間
ーートーキョーバイクのラインアップの中で、好きなモデルはどれですか?
僕が乗っているTOKYOBIKE SPORT 9sですね。このモデルはトーキョーバイクの中で一番スピードが出るので、早くも行けるし、ゆったり行こうと思えばそれもできる。カスタムの幅は他のモデルに比べると狭まるけど、見た目のかっちりさが格好いいなって思いますね。
ーーお気に入りのオプションパーツはありますか?
カゴですね。最近改めてつけたら、むちゃくちゃ便利なんで。買い物したものをぱぱっとのっけられる。買い物したけど「あ!どうしよう・・」と困ったり、片手運転で運ばなきゃというのがない。あるとめっちゃ便利です。
ーーここからは少しプライベートな質問です。1日の中で好きな時間はどんなことをしている時ですか?
最近古着にすごくはまってて、古着をディグッたりしている時間が好きです。あとは最近西荻窪に引っ越したんですけど、いいお店が多くてワインが好きになったので、飲みに行くのも好きです。
ーー自転車で行く場所で好きな場所や道、時間などはありますか?
通勤でいろいろな道を通っているんですけど、東北沢から駒場東大の方へ行く道がすごくいいんです。高そうな一軒家がぶわーっと並んでるところを走っていくと、ちょうど駒場東大前の線路下を潜るところがあるんですけど、何故かその道だけめっちゃ寒くて。なんでだろう?って。そういうのを感じながら走るのが好きですね。
(取材・文)小西
(写真)橋原