アルテミジア『ホロフェルネスの首を斬るユディト』ユディットの姿に込められた強さと怒りの象徴
ベツリア出身の若きユディトは、美しい装いで敵軍の将軍ホロフェルネスの陣地に潜入し、同盟を求めるふりをしました。その美しさに魅了されたホロフェルネスは彼女をテントに招き、豪華な宴会を開きます。宴が終わり、酔い潰れたホロフェルネスが眠りについた隙を突き、ユディトはシミターを抜き、致命傷を与えました。この劇的な瞬間を描いたのが、イタリアのバロック時代を代表する女性画家アルテミジア・ジェンティレスキです。
旧約聖書のこの物語は、アルテミジア以外にも多くの芸術家が題材にしています。特に彼女の一世代上のカラヴァッジョも独自のバージョンを制作しました。しかし、アルテミジアの作品は、女性たちの集中した表情や行動に込められた決意、そして袖をまくった姿や血がシーツに広がるリアルな描写が特徴で、他の作品と一線を画しています。
アルテミジアは父親の工房で絵画を学び、兄弟たちを凌ぐ熱意と才能を示しました。デッサンや色使いを習得し、18歳の若さで卓越した才能を認められるまでに成長します。父親は彼女を「比類のない存在」と自慢し、カラヴァッジョの影響を受けた自身のスタイルを伝えましたが、アルテミジアは理想化を排し、自然主義的な表現を追求しました。
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