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はじめに TOKYO ARTE POP トーキョー・アルテ・ポップとは


日本文化に憧れて東京にやってきたイタリア人コミックアーティスト、ルカ・ティエリと彼が敬愛する日本マンガ界のKING OF POPこと江口寿史の二人展──「トーキョー・アルテ・ポップ」は、2023年9月1日から10月29日まで、東京のイタリア文化会館で開催されました。   主催:イタリア文化会館 協力:東京新聞


ポップ・アートとポップ・カルチャーを専門とするキュレーター・楠見清氏のコンセプトから生まれたこの展覧会は、二人のアーティストの間に流れる共感や共鳴とともに、国境や時代を超えて浮かび上がる過去・現在・未来の東京の姿を見せてくれました。

こちらが、パネル展示されていたキュレーター・楠見清氏による解説文です。

トーキョー・アルテ・ポップ宣言

イタリアから東京にやってきたルカ・ティエリが江口寿史の作品に共感し、やがて交流が始まったのは偶然ではなく必然だった。二人の音楽やポップ・カルチャーに対する関心のアプローチは同じ背景を持ち、それゆえに共通点が多い。生まれた場所も時代も違うのにまるでファミリーのように近しいそのセンスを、私はあえてイタリア語でTOKYO ARTE POP(トーキョー・アルテ・ポップ)と名付ける。それは東京なのにイタリア語で、ポップ・アートなのに英語ではないことで、あらかじめ文化的混淆の産物であることを自認し自称するアイデンティティーとなる。
そう、トーキョー・アルテ・ポップは何かの芸術運動のような名称でありながら、特定の時代の芸術様式やムーヴメントを指すものではなく、ここでは二人のアーティストの間に流れる共感や共鳴といった感情や情感とそこから醸し出される雰囲気やムードを表している。それは現代美術風に言えばリレーショナル・アート(関係性の芸術)の一種のようにも映るのだが、実のところは二人が住むJR中央線沿線──レコード店や古着屋などサブカルチャーの店が多いことで知られる──特有の共通感覚なのかもしれないし、こうして展覧することによってやがてみんなのものになる可能性を持っている。
楠見清(本展キュレーター、美術評論家、東京都立大学准教授)

入り口から見て右側の壁に江口寿史、左側にルカ・ティエリのキャンバスと額装プリント作品をそれぞれ14点ずつ展示。また、二人がそれぞれに影響を受けた書籍などが資料として展示台に置かれ、その先に近年の二人の作家の書籍やグッズなどが2つのガラスケースの中に並びます。

「TOKYO ARTE POP──トーキョー・アルテ・ポップ 江口寿史×ルカ・ティエリ展」に寄せられた二人の作家のコメントを紹介します。

 生まれた国も年齢も違う二人が東京の中央線上で出逢ったことが面白い。
 ルカの線と僕の線。80年代の大友克洋や僕の線に呼応したようなルカの線に40年を経て今度は僕が呼応する。
 POPはある時「わかる」んだ。そしてわかったとたんに世界は変わって見えるんだとアンディ・ウォーホルは言った。「絵」を 「線」でみることもしかり。
その快楽がわかったら世界が変わる。
 二人の線が交差した地点にまた、次の世代の新たなムーブメントが起きたらいいね!
江口寿史


 東京の街は僕にとってはまだ誰にも見つけられてなさそうな面白いものを見つけることができる場所。コロコロ変わる風景の中で80年代、90年代の雰囲気を感じると、懐かしさを覚えてホッとする。特にその時代に思い描いた未来が投影されたような建物や看板を見つけると、そこから創作のアイディアが生まれる。
 自分の好きなものを全部いいバランスでコラージュして、それをあらゆる人に届けることができたらPOPだと思う。
 江口寿史のPOPの表現は日本一。二人展で僕らの絵の線を繋ぐことができてとてもうれしい。
ルカ・ティエリ

今回の展示は終了しましたが、記録としてNoteに綴りたいと思います。
次回は数回に渡り、メインである10月5日に行われた関連イベント:スペシャルトーク&ライブの内容を書き起こします。


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