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私がバレエから学んだこと【リレーブログ2023 #7】TR 宮澤真王

絢子ちゃんからバトンを受け取りました、4年TRの宮澤真王です。よろしくお願いします。私は大学に入るまで約17年間、平均すると週6日のペースでバレエを続けていました。人生の大半をバレエが占めていたことになります。今回は自分がバレエを通して学んだことについてお話ししようと思います。「バレエの舞台は動く絵画である」と表現されることがあります。どの瞬間を切り取られても額に収められた絵になるように。それを目指して、ダンサーは日々絵に描いたような身体と動きのしなやかさを追究し、群舞は全体の息がぴったり揃うまで練習を繰り返します。ある意味で人間離れしていくための作業かもしれません。

しかしその過程はとても泥臭く、人間臭いものです。バレリーナのトウシューズを近くで見ると汗はもちろん、血も滲んでいます。私は現役時代、足の爪がずっと死んでいました(紫色で生え変わらないのです)。「身長−120(kg)」という体重目安のための、成長期の女子にはかなり辛い食事制限や繰り返す疲労骨折。舞台上で優雅に踊るプリマやバレリーノたちの飛び散る汗の量。
「優雅に泳いで見える白鳥は、水面下で必死に足を掻いている。」
ある先生は「白鳥の湖」と掛けて、ダンサーの努力をこのようにおっしゃっていました。私の好きな言葉です。

話は変わりますが、バレエにはマイムというものがあります。バレエは演劇同様に、物語を舞台上で表現する芸術ですが、演劇と異なり言葉を使わないため、ダンサーは感情を表現する手段として身振り手振りのパターンを使用します。これがマイムです。例えば、手を自分の胸に当てると「私」の意味。手のひらを上に向け、相手に向かって優しく差し出す仕草は「あなた」の意味。両手を重ねて胸の前に持ってくると「愛している」という意味になります。これらの仕草を順に行うと、「私はあなたを愛しています」となります。この仕草が少しでも粗雑になってしまうと、あるいは小さくまとまってしまうと、観客席から見たとき、不思議なほどにダンサーの愛情表現が伝わらないのです。観客席まで自分の感情を届け、原作の世界観を構成するには指先のさらに先まで繊細に、しかし大胆に動かすことが求められます。この点で、私はバレエを先述のように「動く絵画」と表現してしまうのは少し物足りないように思います。バレエの舞台は、観客席まで全てのダンサーの感情表現が伝わったときこそ生まれる一体感も含めたナマモノであり、再現できないものだからです。私がバレエから学んだことは2つあります。
優雅にこなして見える人の影には、優雅からは程遠いような泥臭い積み重ねがあること。そして人に自分の感情を等倍にして伝えるためには、その何倍ものエネルギーと細やかさが必要、ということです。

今のWARRIORSでの日々にも、この教訓は自分の中で日に日に重みを増して活きています。最後までお付き合いいただき、ありがとうございます。
次は、いつも朗らかな3年MGRの高原真衣ちゃんにバトンを渡したいと思います。次回のリレーブログにもご期待ください!(4年 TR 宮澤真王)

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