【LAST SEASON ESSAY 2024 #1】DL#9 張田 佳生
いい意味でバカになる
「やり抜いた、もうこれ以上できないと思えるほど準備を徹底した時、人間は真の自由を手にし、失敗を恐れなくなる。」
「何かに挑戦する前にリスクや展望、効率的な他の方法を事前にいくら考えたところで今の自分から見える限界までしか到達できない。できるできない、意味の有無、リスクの有無など考えることをやめてバカみたいにやってみて初めて自分の想像できないような自分になれることもある。」
森さんがおっしゃるお話の中で自分が最も大切にしているお言葉です。
僕はWARRIORSに入部するまで典型的な東大生でした。お勉強ができるというわけではなく、一切価値のないプライドを持ち、失敗を恐れ、何かを始める前にあれこれ考えてしまう人間でした。入学してなんとなく体育会の部活動に入部しようとは思っていたものの、日本一を目指す部活動に入部すると思うと自分にやっていけるのか、貴重な4年間を部活動に投資するのは果たして本当に正解なのか、躊躇ってしまいました。そんな時、新歓イベントで出会った先輩方や森さん、三沢さんのお言葉に感銘を受け、弱い自分を変えたくて入部を決意しました。
しかし、入部しても自分の考えすぎてしまう性格は変わらず、どこか失敗を恐れ挑戦することから逃げている自分がいました。プレーにも自分のこの性格は顕著に現れ、僕の所属するDLというポジションはOLが動いた瞬間にスタートしてリアクションしなければならないのですが、リアクションミスを恐れスタートが遅れてしまう日々が続きました。
そんな自分を変えられないまま3年生の秋シーズンを迎え、DLとして全く結果を残せないままチームは入れ替え戦に出場することが決まってしまいました。チームとしてはTOP8の座を失うかもしれない危機的状況でしたが、その時初めて自分が今まで失うことを恐れていたものは実は何もないことを痛感しました。下手くそなくせにプライドだけは一人前で、失敗を恐れ、大した準備もせずに試合に臨みスタートができないただの臆病者の自分を自覚し、変わろうと死ぬほど準備をして臨んだ入れ替え戦で自分は初めて全てのプレーでベストスタートを切り、何も考えずにプレーすることができました。
もしかしたら部活に没頭し、毎日HITする中で本物のバカになってしまったのかもしれませんが、それでもいい意味でバカになることの大切さ、失敗を恐れず挑戦することの大切さ、準備の大切さを教えてくださったこの部活には感謝しかありません。
4年になり選手としても人間としても求められるレベルが大きく上がり、ミスや失敗を恐れる自分はまだ完全には消えていません。残りわずかな時間ではありますが、つまらないプライドに囚われ、失敗を恐れる臆病な自分を少しでも変えられるように今日も精一杯準備をしてLOSでベストスタートを切りたいと思います。