【Last Season Essay 2023 #14】SA 大沢優介
自分はこれまでどんなことでも「なんとかなる」と思って生きてきました。実際、高校時代の部活では最後の大会で例年を超える結果を残せたし、ギリギリではあったけれど東大にも入ることができました。運が良かっただけかもしれないし、環境が良かっただけかもしれません。ただ、そのように楽観的でいられることは自分の良さだと思っていました。WARRIORSでも「勝ちたい」ではなく「絶対に勝てる」と信じようと決めました。そして、どれだけ相手が世間的に格上でも、勝利を信じるのは自分にとってそんなに難しくないこと、のはずでした。
今年の早稲田戦、チームは0-44で敗れました。言葉を失うほどの惨敗。既に2連敗していたけれど、あの試合の前も絶対に勝てると思っていました。試合が終わり、相手の校歌を聞きながら、スタンドの前に整列するチームメイトを見て、悔しい、情けない、申し訳ない、腹立たしい、どんな言葉でも形容できないような気持ちになったことを覚えています。「この先の試合勝てるんですかね」何気ない後輩からの問いかけにも即答することができませんでした。最後まで勝利を信じるという自分との約束が揺らいだ事実は、負けたという結果よりもショックが大きかったかもしれません。
今振り返って、失いかけた自信を取り戻すためには、それぞれが自分のやるべきことに向き合って、みんなで質の高い練習を繰り返すことしかなかったと思います。それは自分が変わらないことには不可能だし、自分が変わるだけでも不可能です。ポジティブでいるということは、楽観的でいることとは違います。自分の運の良さに頼ることでも、絶対に勝てると自分を無理やり信じ込ませることでもありません。一度自分の弱さを受け入れること、その上で「絶対に勝てる」と心から信じられるまで自分ができることに向き合い続けること、それに尽きると思います。
少し話は変わりますが、自分は試合の時のサイドラインの雰囲気が好きです。この部活に入って初めての試合は2020年の秋シーズン初戦、雨の中での中央戦でした。コロナの影響で夏の終わりから本格的に活動を始めたこともあり、まだルールくらいしかわからず、小さな仕事しか任されていなかったけれど、サイドラインの高揚感はこれまでに味わったことのないものでした。勝利を決めたインターセプトの瞬間、喜びに湧くサイドラインでこのスポーツの、このチームの虜になりました。
長い時間が経って、試合中の居場所はサイドラインから、スタンドの上のスポッター席というところに変わりました。サイドラインからは一番遠い場所です。東京ドームで劇的な勝利を収めた時も、大敗して言葉が出ないほど悔しい時も、その場で選手と感情を共有することができない寂しい場所です。それでも、サイドラインにいた時よりもいろんなものが見える場所でもあります。選手たちがどれくらい辛い練習を乗り越えてピッチに立っているのか、スタッフがどれくらい時間をかけて準備をしているのか、それぞれの思いを知ると一つ一つの振る舞いに胸が熱くなることもあります。OB・OGやファミリークラブを始めとする応援してくれる方々の存在もスポッターからはずっと見えています。好プレーに湧き上がるスタンドの景色は忘れられないし、不甲斐ない試合をしてしまった時でも最後まで応援してくださった姿は何よりも印象に残っています。感謝してもしきれません。
WARRIORSにはたくさんの先輩方が繋いでくれた歴史があって、今も多くの支援をいただいていて、毎日疲れを見せずに厳しい練習に励む仲間がいます。自分にできることはこの素晴らしい環境に感謝の気持ちを忘れずに、何十年という歴史と後輩たちの未来を背負って、キックオフの瞬間まで最高の準備を続けることしかありません。特等席から最高の景色を見るために、引退の瞬間までポジティブでいたいと思います。(SA 大沢優介)