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【Last Season Essay 2023 #16】QB#8 曽原健翔

 自分がQBというポジションを選んだのは特に深い理由があるわけではない。高校まで野球をやっていてアメフトのボールを投げるのが楽しくて、じゃあQBやるかぐらいのテンションだったと思う。しかし2年生までは控えQBで主戦場はスカウトチームだった。
 転機となったのは3年生のシーズン始まってすぐの事である。オフェンスのスキームがそれまでとは一変し、QBに求められる能力、ファンダメンタルも変わってスターター争いが横一線になった。これはチャンスだと思った。ここで頑張ってアピールすれば試合に出場出来るということがモチベーションになり、今まで以上にアメフトに向き合った。その結果、さまざまな出来事が重なって自分がスターターに選んで頂けることとなった。
 そして3年生秋シーズンの初戦の中央大学戦。自分はあの勝利を忘れることが出来ない。今までの努力が形として報われた瞬間だった。アメフトを始めて本当に良かったと心の底から感じることが出来た。
 迎えたラストシーズン。日本一を掲げて戦ってきた。1年間副将として、オフェンスリーダーとして戦ってきていかに去年自分が先輩におんぶに抱っこだったかを痛感した。何かあれば信頼できる先輩QBに聞けば良かった。試合中、ハドルを組む時に頼れる先輩方の顔が何人も見えた。その方たちの存在のおかげで自分は余計なことを考えずに思いっきりプレー出来ていたことを知った。
 今年は自分が4年生として後輩を支えなければならなかったが、自分が未熟なために自分のことで精一杯になってしまった時期もあった。同期や後輩に支えてもらうこともあった。感謝と同時に申し訳なさをものすごく感じる。自分がオフェンスリーダーで良かったのか迷い、自問自答する日々がずっと続いている。
 日本一を目標に掲げていた我々は12/16にチャレンジマッチに出場する。自分たちが立てた目標とは程遠いものとなってしまった。理想と現実の大きな乖離を目の当たりにしているが、それは他の誰でもない自分の行いの結果である。秋シーズン負けるたびにもっと練習しなくてはいけないという思いが強くなりその度に練習の質は上がったが、それを今シーズンのチームができた12月からしなくてはならなかった。日本一を甘く見ていた。しかしもう後悔している時間もなければ迷っている時間もない。TOP8を勝ち取るためにこの2週間に全てを懸ける。ここで踏ん張って戦い続けなければならない。4年生としての最後の意地を見せることが後輩とこのチームに唯一残せるものだと思う。チャレンジマッチに勝ってお世話になった方々への恩返しをしたい。(QB#8 曽原健翔)

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