【Last Season Essay 2023 #18】TE#82 中矢陽斗
まだ自分がバスケをしている時、初めてフルで見たNBAの試合が2015年のNBA Final、ゴールデンステートウォーリアーズとクリーブランドキャバリアーズの試合だった。その試合で一際輝いて見えた選手がいた。名前はマシューデラベドバ。オーストラリア出身でドラフト外、年俸2000万、決してスター性があるとは言えない選手だった。その選手がMVPプレイヤーのカリーにコートの端から端まで着き切りシャットアウトし、こぼれたボールに身を捨てて飛びついていた。決して派手ではないが、どこまでも泥臭くボールを追いかけ奮闘する姿を見て自然と涙が出てきた。自分にどういう能力があるかはわからないが、そのようなひたむきさを持って生きていきたいと強く思った。
春に行われたリーダーシップ研修の中でどうしてWARRIORSで日本一を目指すのかという問いに対して、派手じゃなくてもいい、どんな状況でも立ち上がって前を向いている姿を表現したいと言った。WARRIORSでの生活が終わろうとしている今、自分はどうなっているのだろうか。チームが負け続けている中で、そのような前向きな影響力を自分が与えられているのだろうか。まだまだ全然未熟だと思う。
物事に対しひたむきさを求めるあまり、本質からずれて空回りしてしまっていた時もあったと感じる。上手くやろうとしすぎたこともあった。そのせいでいつも周りのみんなには迷惑をかけてしまった。
一世一代の大舞台でMVPプレイヤーを目の前にした時、彼はどのような気持ちだったのだろうか。雑念などなく恐怖も感じていなかっただろう。ただ、自らに与えられた責任に対してプライドを持ち全力で勝利を求め前を向いていた。
派手じゃなくてもいい、途中何が起こってもそこでまた立ち上がればいい。残された一戦、支えてくれた仲間とともに全力で勝利を掴み取りたい。(TE#82 中矢陽斗)