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写真があれば、忘れないために忘れられる
こんにちは、路上写真家のTokyo Street PIX/TPIXです。
今日は、写真がもたらす記憶の保存とその逆説的な効果について考えてみたいと思います。
数十年前はフィルムカメラが一家に一台という時代でしたが、現在は個人がスマホでなんでも撮れる時代になりました。
いつの時代においても、写真に撮っておけば「記憶」や「思い出」としてずっと残しておくことが可能という点においては変わりありません。
写真は単なる記憶媒体ではなく、過去の出来事や感情を呼び起こし、鮮やかに再現してくれるメディアです。
この写真の “機能” を上手に使って、むしろ写真を「外部保存装置」として使うことで、覚えていなければならないというプレッシャーからの解放をもたらし、同時に「忘れても大丈夫」という安心感をも生み出してくれます。
その応用として、写真とは少し違うかもしれませんが、調べ物をしたり一時的な記憶としてスマホのスクショを使う方が多いと思いますが、これも「忘れても大丈夫」という安心感につながりますよね。
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「忘れる」ことがむしろ「忘れないための方法」として機能しているところが面白いところです。
このように「忘れること」を可能にしつつ、後から見返すことでちゃんと「記憶を呼び戻す」機能も持っています。
この「忘れること」と「思い出すこと」という相反する二面性が写真の魅力でもあると思います。
写真は瞬間をそのまま残すことが可能ですが、曖昧だった昔の記憶を鮮明に思い出すことができたり、反対に当時の感情をダイレクトに思い出すのではなく「時間」というマジックが仲介することで、当時とは違う感情に置き換わることすらあります。
例えば、ネガティブなイヤな思い出として記憶していた出来事が、数十年経ちその当時の写真を見返したその一瞬に、全ての記憶が凝縮され蘇ってきたとしましょう。
その迫ってきた記憶を【現在の視点】から認識した時、「時間が感情を溶かしてくれた」ことによって、ネガティブな感情がフラットな状態として再現されるかもしれません。
時間を経ることで、1枚の写真が人の気持ちさえも変えてくれる「玉手箱」になることもあり得る話です。
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ここで挙げた例は写真の持つ機能性から可能となることですが、映像としての記録も、感情の記憶も、1枚の写真に閉じ込めておくことができるのが写真の素晴らしさです。
また、忘れないために忘れることを可能にしてくれるのも写真の特徴です。
どんどん忘れて、新しい写真を撮り続けて、たまには過去の写真に触れることで、過去の出来事を思い出して、また忘れて、また写真を撮り続けて、また過去の写真に触れる…
これをずっと死ぬまで繰り返すことでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。またお会いしましょう。路上写真家のTokyo Street PIX/TPIXでした。
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