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変わらないために変わり続ける
こんにちは、路上写真家のTokyo Street PIX/TPIXです。
今日のテーマは “変わらないために変わり続ける” という一見矛盾したようにも感じるこの言葉の意味について考えたいと思います。
カメラや写真を趣味にしていて、ある程度の経験を重ねると、好みの作風が決まってくると思います。
好きな写真をずっとこの先も続けていくためにはどうしたらよいでしょうか。
人間は、毎日毎日細胞分裂を繰り返し(全身で約60兆個の細胞のうち1日1兆個が入れ替わる)、皮膚で約4週間、骨でも4〜5年で入れ替わると言われています。
数年後には、見た目は若干変わっているかもしれませんが、私に変わりありません。
しかし、物理的には、ほぼコピーされた別の人間と言っても過言ではありません。
また、「あの人、変わっちゃったよね…」と、否定的なニュアンスを含んだ言葉を聞くことがあると思います。
以前と、良くも悪くも言うこと・やることが変わってしまったという意味ですが、毎日、人と話したり、人の話を聞いたり、本を読んだりして、何かインプットをしている中で、変化しない方が難しいのではないかとも思います。
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だとしたら、毎日少しずつ変化しているのですから、趣味や嗜好、趣向に変化があっても不思議はありません。
このように、自分が身体も心も日々変化していくのに、ずっと同じように写真を撮り続けることなどできるのでしょうか。
しかし、世の中には同じことをずっとやっている方がいらっしゃいます。
仕事でも趣味でも、同じことをずっと繰り返している人たちがいます。
同じことを繰り返しすこと、それをずっと続けていくことは、すごく難しいことです。
そこには、日々訪れる小さな変化を見逃さずにそれを受け取り、養分として吸収し、自分のものとする力が必要です。
これが成長であり、同じことを繰り返す原動力となります。
写真家・森山大道氏は、デビュー以来モノクロのハイコントラストな作風の写真を中心に発表し続けています。
十数年にカメラ業界には大きな変化がありました。
フィルムからデジタルへの転換です。
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便利で扱いやすいデジタルカメラが普及すれば、自ずとフィルムを使用するカメラマンは減っていきます。
その結果、フィルムの銘柄が減ったのはもちろんですが、お気に入りの印画紙(三菱製紙・月光)も市場から姿を消しました。
他の印画紙も試したようですが、思っているような写真にならず、それ以降森山氏はフィルムで撮ることをやめ、全てデジタルに移行しました。
もちろん、カメラも現像処理のデジタルになり、昔の作風と比べれば変化はありますが、結果的に今も現役で写真を撮り続け、モノクロのハイコントラストな写真を発表し続けています。
ファンの方が、イベントで森山氏に対し “フィルムで撮りたいと思うことはないか” と質問したところ、森山氏は「それはない」ときっぱり答えていたのは印象的でした。
カメラ業界にこのような大変革があったにも関わらず、同じように活動ができているということは、その変化を自分なりに消化し、変えるべきところと、変えてはいけないところを明確に線引きできていたと推測できます。
一方で、自分にそれを当てはめてみれば、ずっと同じように写真活動していくために、自身の生活環境や社会情景などの変化にいかに対応できるか、または、本当にずっと同じように写真を撮り続けていきたいのかという自身の心への答えも必要かもしれません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。またお会いしましょう。路上写真家のTokyo Street PIX/TPIXでした。
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