路上のスナップが盗撮なの？
こんにちは、路上写真家のTokyo Street PIX／TPIXです。
今日は、路上でのスナップ撮影が盗撮なのかということについて考えてみたいと思います。
YouTuberのジェットダイスケさんの動画『【撮影ＮＧ？】路上でスナップ写真は盗撮か？』を観たのがきっかけです。
私の記事では触れませんが、動画では「肖像権ガイドライン」、「表現の自由」などについてもお話しされていますので、オススメです。
さて、最初に結論を言ってしまいますが、ルールとしては、路上撮影は「盗撮」には該当しません。
本来の「盗撮」の意味は、迷惑防止条例または性的姿態等撮影処罰罪に該当するような、本来隠していて見えないところを撮影することを言います。
逆に解釈すれば、普通に見えているところを、路上からの撮影なら何ら問題はないことになります。
では、世間では何を問題にしているのでしょう？
それは、「肖像権」です。
勝手に撮って迷惑！勝手に公開して迷惑！ということで、肖像権の侵害に当たる行為が、「盗撮」という言葉と共に、一般化したものと思います。
肖像権には明確な法律というものは存在せず、本人の許可なく、みだりに撮影されたり公表されたりされない権利のことで、人格権を根拠に、民事訴訟においてその責任が追及されるものです。また、芸能人などは別に財産権(パブリシティー権)が争点となる場合があります。
ですから、勝手に人を撮っても犯罪にはなりません。あくまで民事での話です。
普通に考えて、知らない人から勝手に撮られたりしたら嫌悪感を抱く人が多いのは当然だと思います。マナーやモラルといった範囲の話です。
しかし、その嫌悪感を「盗撮」という間違ったワードで世間に認識されてしまっている現状は、写真界にとっては不幸でしかありません。
本来なら、勝手に撮られたことは、言葉のニュアンスとしては「盗撮」というより「盗み撮り」「隠し撮り」という表現の方が合っていると思います。
ここでいう「盗み撮り」というのは、俗にいう「キャンディッドフォト」のことで、本人に気づかれずに撮影するという意味です(ただし合法的な撮影に限る)。
一般の方からみれば、「盗撮」も「盗み撮り」も同じ意味でしか認識されておらず、それが、「肖像権」の話とごっちゃになり、 “勝手に撮られた→盗撮” ということなのでしょう。ここは想像ですが。
動画の中でジェットダイスケさんが、雑誌『アサヒカメラ』の編集長の言葉を引用していますので、紹介したいと思います。
「法的な問題に配慮しながら撮影することは重要ですが、行き過ぎた配慮による萎縮はすべきではないと思いますし、撮影者は状況を総合的な判断をすることを求められていることを実感します」
肖像権・著作権侵害のボーダーライン 佐々木編集長
肖像権を気にしすぎるあまり、萎縮して路上で写真が撮られなくなるのは避けなければならないことだと思います。
昨今のテレビでも、街頭ロケの通行人の顔にボカしを入れるのも「萎縮」の表れだと思いますが、逆に台風や猛暑日の時に、街を歩いている人をはっきり映すのは「報道」という名のもと堂々と顔出ししていますから、同じテレビの中で温度差があって不思議な感じです。
さて話を元に戻しますが、この手の話は、スマホとSNSが普及して、カメラとネットがシームレスに繋がったことで、勝手に自分が写っている写真をネットに上げられることを恐れるあまり、「肖像権」が “ひとり歩き” している感は否めません。
「盗撮」と「肖像権」がごちゃごちゃになっているのが、おそらくカメラや写真に関心のない一般の方の現実だと思います。
ここでいくら叫んでも社会が変わることはないでしょうが、少なくともカメラや写真を愛する方々には、ご自分が路上で撮る撮らないは別にしても、一度真剣に考えてほしい課題だと思う今日この頃です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。またお会いしましょう。路上写真家のTokyo Street PIX／TPIXでした。
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