陸路と海路で新宿→【大阪】→ソウルへ 【旅記録3】
名古屋を過ぎ、京都を越える頃から、バスのフロントガラスに、ぽつりぽつりと雨粒が落ち始めた。
その音が軽やかにリズムを刻み、静かな車内に微かに響く。
窓ガラスに描かれた雨の筋が、やがて雪の模様に変わり始める。
細かな結晶が淡く舞い降り、窓ガラスにそっと触れるたびに表情を変えていく。その儚い変化が、冬と春との間の季節の気まぐれを静かに語りかけているようだった。
どうやら冬将軍は、まだこの付近の空を名残惜しそうに彷徨っているらしい。
冬将軍の足音は大阪までは届かなかったようだ。
さっきまで、窓ガラスを覆っていた白い結晶は溶けて水滴となり、太陽の光を受けてキラキラと輝き始めた。その瞬間、冬の気配が一気に遠ざかったように感じられた。
バスは大阪市内に入り、賑やかな街並みの中を進む。
途中、2025年の大阪万博の列車と、しばらく並走する場面もあった。
「どんな万博になるのだろう?」そんな事に想いを馳せ、列車を横目に見ながら、バスはやがて16時頃、大阪駅に到着した。
つづく