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しらすひびきのコンテンツ日誌 #10月前半編 ~不要不急なわけないじゃん!~

コンテンツ日誌とは

こんにちは、初めまして「しらすひびき」という名前でtwitterとnoteを始めました、東京の大学三年生です。漢字にすると僕の好きなものがわかると思います。
僕は、映画やテレビ、ラジオ、舞台漫画本などコンテンツが大好きでよく見ます。そして、いつも自分なりの感想を書いているので、どうせなら公開しようと思い始めました。140字のtwitterより長く書けるので、時にはあまり好きではなかった部分やその理由についても書いています。特に映画なんて大体とても面白いので、逆にここがこうだと尚いいのかな〜とかそういう目線で観てしまう事が多いです。ですが、あくまでも素人が自分の為に書いている超個人的感想日誌なので、諸々ご了承ください。だけど、どうせ公開するんだから、この映画にこう感じる人もいるのか、や、この番組を見てみよう!など、読んで下さった読者さんに何か響くところがあれば嬉しいです。 今回は10月前半に見たコンテンツたちです!

また、できるだけ気をつけていますが、少しネタバレ気味の描写も含むかもしれない為、その際は注意書きをしています。お気をつけください。🚨

■映画

①ミッドナイトスワン 


まず、主人公、いちかちゃん(服部樹咲さん)の演技が素晴らしい。オーディションで選ばれた新人さんらしいが、劇中での成長と共に起きる感情の変化を目と雰囲気で演じきる。観客の感情を大きく動かそうとする場面で、無駄なセリフを言わさず、目の表情や「涙」で伝える演出が多かったので、いちかちゃんなしでは成立しないなと感じた。

一方で、雑な展開だなと感じる部分も少しあった。(🚨ここからネタバレ注意)
特に、物語が「転じる」場面で、本当の母親が出現し、それに対して母親代わりとなっている草彅剛さんが嫉妬や葛藤の色を顔に浮かべながら立ち去っていくシーン。そして両者の対面と口論が繰り広げられるシーンがあるのだが、かなり重要なシーンなのにもかかわらず、状況やセリフがあまりリアルじゃなかったり、意外と淡白なもので、物足りなく感じてしまった。また、両者の狭間に揺れる、娘 いちかちゃんの対応や感情描写で、その切なさをもっと伝えて欲しいと個人的には感じた。

そして全体的なテイストとして、思っていたよりも軽かった。勿論、テーマや世界観は重いが、起きる事件やドラマが軽く(深刻過ぎないという様な意味)、単調に進んで行く。途中問題を起こしては、簡単に許される感じや、もっと様々な屈折したドラマや事件を経て、より愛が凝縮されていく気がするのだが、その様なプロットが少ないと感じた。然し、その「軽さ」というのは監督の味であり、全裸監督の時に感じた「軽さ」と似たものを感じたし、それはそれで清々しく見ることができた要因の一つだったと思う。

意図しての「淡白さ」や、二人の細かい感情描写、あえて描かない部分に対して、個人的には、もう少し知りたいなという描写も多々あった一方で、全体の質感や色み、シーン毎の人々の掛け合いを含めて、感情移入させてくれる余白が沢山あって楽しめました。

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②オンザロック

簡単にいえば娘と父親が、娘の旦那の浮気を疑って探偵劇を繰り広げるお話。ストーリーラインはとてもシンプルだが、ストーリーの精密さはこの映画を語る上ではそこまで重要じゃない。シンプルなだけに、世界観や登場人物、特にお父さんのチャーミングさが強調されていて、ある意味、とてもA24ぽい作品だなと感じた。(画の綺麗さや、キャラクター個人のチャーミングさみたいなもの) 最近は画的にも西海岸ぽい良さを感じる映画が個人的に多かったような気がしていたから、NYの良さを存分に味わえて楽しかった。10年後見るとまた抱く感情が違うんだろうなあ。 
その夜、マティーニを飲んでみたら、思っていたよりもききました。

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③新聞記者

このテーマを商業映画にするの、相当難しかっただろうなあ。というのがまず浮かんだ感想だった。それを結果的に、上手くまとめているのは監督の手腕!そして、結構大胆に照明やカラグレ(カラーグレーディング)で雰囲気の明暗をつけるんだな〜と感じた。

展開的には、とてもシンプル。(🚨ここからネタバレ注意)
政府の不正を2人で暴いていくというストーリーで、途中に大きな敵が立ち塞がる訳でもない。いや、立ち塞がるんだけれども、特にドラマもなく、何なく乗り越えられてしまう壁という印象。

個人的には、主人公の吉岡に対しては、あまり感情移入し切れない状況が続いていた。いや、主人公格の二名のどちらに対しても感情移入できていないから、次の展開に対して楽しみでハラハラする様な展開があまりなかった。だから、起こる事件の結果に対する感情の変動が小さくなってしまうんだろうなと感じた。2人の気持ちの裏側や、背景にあるドラマをもう少し見せてくれたら、より感情移入出来た気がする。 
それならばいっそ「エンタメ性」に振って、悪事を解明していく過程で、複雑な困難に遭遇して、解決していく展開でも面白かったかな?とは思うけど、そうすると話の「リアリティ」は欠けてしまうかもしれないから、丁度ギリギリのラインだったのかもしれない。

そのように、「リアル」を映し出す方向に振っていたのかもしれないけど、その割には「リアルじゃないなあ」と引っかかる部分がいくつかあった。途中、サスペンスのような視聴者を「ドキドキ」させるような演出もしていたし、リアルさとエンタメさ、どっちつかずに少しなっていたのかもしれない。リアリティとエンタメ性の境界での共存が重要なんだろうなあ〜。そういう点も、このテーマを商業映画にするの、難しいだろうな〜と感じた理由。
だからこそ、結末は個人的にはとても好きだったし、映画全体が綺麗にまとまった要因かなと感じた。ちゃんと面白いので、ぜひ見てみてください。

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④ミッドナイトインパリ

パリの街並みと偉人が格好良くて見ていられる映画。特にヘミングウェイが格好良い。「何を書いても良い。真実を語り簡潔で、窮地における勇気と気品を肯定する限りな。」by ヘミングウェイ
ストーリー性とかは特にないけれど、人間はいつでも過去を羨んでしまうもので、「今」を生きるしかないんだなと言うメッセージが、パリの優雅な街並みとともに伝わって来ました。

雨を好きになるような映画や音楽っていくつかあるし、とても貴重だよね、好き。言の葉の庭とか。

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⑤レディバード

(ネタバレ注意🚨)
最後の方に、地元を出ていった娘が、喧嘩したまま別れてしまった母に手紙で「サクラメントを初めて運転した時、感動した?」と聞く場面がある。サクラメントの夕暮れに感動する気持ちを共有して、遠くにいても同じ場所にいる事をサクラメントの夕焼けをバックに最高にロマンチックに描写している。

家族、友人、眼に映る景色、A24の作品はとても個人的なストーリーでありつつも、日常を美しく彩って、ありふれた毎日が楽しいものだと気付かせてくれるものが多くて好き。(A24という主語で括るのは正しくないかもしれませんが。好きな映画が多いのです。)しかも、この映画、監督と主演がストーリーオブマイライフ-若草物語-と同じタッグだという事。両作ともに、人間臭いけども清々しい、人間関係の描写がとても好きです。

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⑥はちどり

淡々と進む時間と、テンポよく切り替わるカットの中で、ゆっくりとした「間」の存在が、鑑賞者を深い思考の海へ誘う。その波は、単なるシーンへの解釈を超えて、自分の人生を映画に重ね合わせ観照させる。良い意味で、余計なシーンや台詞が皆無で、大きな事件が多発するわけではないのに、気づいたら主人公に感情移入しきっている様という不思議な映画。主人公の寂しさに触れて、自分の周りにある愛を感じて、何だか優しくなれるような作品でした。

描写の詳細さ精緻さや、取り扱うテーマの雰囲気は是枝作品に似たものを個人的に感じた。また、後ろ姿や顔のアップのカットが多かった印象が強く、少女の表情の演技が圧巻です。

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⑦エレファントマン 4K 復刻版

絵と音のインパクトがとても強く、脳裏に焼き付いているカットがいくつかある。次に何が起こるかは何と無く予想できるけど、常に不安に襲われている感覚で結構疲れる。

内容は咀嚼するのがとても難しい。この映画に関するレビューで見受けられた、「人間の尊厳」がどうとか、「いじめや差別はなくならないなと感じた。」とか「今でも変わらないテーマで悲くなった。」と言うような感想には違和感を覚えた。それは、あたかも自分だったら、劇中の人物達とは反した行動をとるし、注意しますよ。と言うスタンスを取っているかの様に見えて、どこか綺麗事かつ他人事かの様に感じてしまうからだ。そのような短絡的な結論で括って突き放すよりも、「自分だったらどうするか?」を考えるほうがしっくりくる。
劇中には、わかりやすく明らかな悪人と、解釈によっては悪人と、善人(?)が登場する。上のような感想を述べている方々は、この「解釈によっては悪人」を「悪人」と捉えている。この「解釈によっては」という部分こそ、この映画のテーマの一つで、意見が分かれるところだろう。主人公も劇中で、自分は無意識のうちにひどい事をしているのではないかと、自分自身の行動に対して疑心を抱いている。僕個人は、主人公は決して悪人だと感じなかった。(ネタバレ注意🚨)
何故なら、ジョンは夜な夜な毎晩襲われていたのにも関わらず、その事実を病院の誰にも言わなかったからだ。幸せだったんだろうなと感じた。

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■番組(テレビ,ネット)(印象に残ったもののみ)

・『ラップスタア誕生』@abemaビデオ

abemaのコンテンツで今イチオシの番組。名前の通り、ラッパーのオーディション番組。構成のクオリティが高いし、審査員の質も高く、そういう視点があるのかという評価コメントがいつも興味深い。編集的にも、一つの意見があると、対立する側の意見もしっかり強調されており、公平な目で見れて気持ちが良い。3rdステージでは、10人まで選ばれたラッパーの地元へいき、生い立ちや背景を知ることができるので、曲に対する想いを知った上で、より感情移入しながら音楽を楽しむ事ができる。4thステージでは24時間以内に曲を製作して発表するので、実力が顕著に現れる。何より、今回は5thシーズンだが出場ラッパーの質がとっても高いからこそ、次の回にどんな音楽を聞かされてくれるのか、毎週楽しみで仕方がない。

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・『やべっちFC 最終回』@地上波リアルタイム視聴

Wカップの映像が流れると、いつも涙が出そうになる。2018年、興奮して友達と騒いでいた当時の記憶が蘇る、いわば青春の記憶のようなもの。それだけ、他のスポーツとは違う興奮をサッカーの代表戦からは味わう事が出来るし、こういう時期だからこそ、青色に埋め尽くされていた観客席がとても輝いてみえた。そのような熱狂を毎週届けていたこの番組の最終回は悲しいし、終始ワイプの矢部さんの笑顔が優しくて、どこか寂しそうで、それを見ていると、より悲しくなった。早くサッカー見たいなあ。

・『Eテレ ズームハックオチアイ』@テレビ録画

落合陽一さんとオードリータンさんの対談。落合陽一さんが、日本語で話して通訳を介さないといけないから、どうしても薄い話になってしまった印象で、個人的に期待していたほどの知の応酬のような会話は見られなかった。その中でも興味深い話は多くあったし、オードリーはめちゃめちゃIQが高いんだろうなと言う印象を受けた。途中の何気ない一問一答とかは、その人の変態性や天才性が垣間見えて、面白かったです。

・『コンテンツホリック』@tver

淳さんがやっている番組で、毎週色々なゲストが今面白いと思っているコンテンツを紹介する番組。淳さんと同期芸人の小藪さんがひたすらフォートナイトの魅力を語る回も好きだったが、AR三兄弟の川田さんの回が面白かった。
まず、紹介してるコンテンツとその理由がオリジナルな視点で面白い。"THE MAKING"という様々な物が工場で作られる工程をBGV(back ground video)で流しながら作業をしているという話や、AIがシンギュラリティを起こしうる事を体験できるゲームなど。
ただ、番組としてカット割が、youtube編集なのかな?個人的にみにくくて話が入ってこないという残念ポイントがあった。

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・『あちこちオードリー』@地上波リアルタイム視聴

あちこちオードリーは大好きで毎週見ているのだけど、このニューヨークの登場回は大分好きな回だった。番組中で若林さんも言っていた様に、ニューヨークは明るい陽なタイプで、その点でオードリーとタイプは違うんだけど、物を穿った角度から見る感じは似ている二組で、話が噛み合っていた。春日さんはあまり共感できていなさそうだけど。ニューヨークが、「ライターが見ている」なんて御構い無しに、どんどんゴリ押しでぶっちゃけていくから面白かったな〜。

ニューヨークは、バラエティで冠持って売れたいけれど、忙しくはなり過ぎたくない。というまさに第6世代以前と第7世代のハイブリッド。芸歴や年齢で、どこからが第7世代だ論議がよく勃発していたけれど、あちこちオードリーを見ていると、夢や目標や思想などで分類する事ができる気がしている。

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・『かまいガチ』 @tver

念願のかまいたちの東京初(?)冠!!1回目はめちゃめちゃ張り切ってらっしゃるのが見え見えな感じだったけれど、2回目は掛け合いも雰囲気も落ち着いて大好きなかまいたちな感じが出ていてよかった。2回目は、芸能人にマスクをつけてもらって、写真を撮ってtwitterに載っけてRT勝負する。という企画で、二人が勝負している時って掛け合いが大体面白いし、二人特有の感じ悪くない素直なミーハー感が出ていてそれも楽しめた。

特番ではお悩み相談の企画を主軸にやっていたけれど、それを軸にする必要もないと思うので、柔軟に色々な企画を見たい!

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■書籍

・『破局』

芥川賞受賞作 #破局  遠野遥さんの本を初めて読んだ。余計な言葉が削られている文体は、その世界を想像させる余白を多分に与えてくれて、とても好きだった。スッキリと、淡々とした文調で、細かく愛らしい人間と世界を描くき、クスッと笑ってしまう場面も多く、癖になりそう。描かれている世界が、丁度自分くらいの年齢だからだろうか。共感できる事も多く、入り込めた。
この主人公とは少し仲良くなれるかもしれない。そんな風に思った作品だったのだが、色んなレビューを読んでみると、どうやらこの主人公は、コミュニケーションに難ありの変態らしく、「冷たい」など評価が散見されて心底驚いた。どこが冷たい?ロマンチストじゃん。この感覚はどうやら少数派らしい。主人公と仲良くなれそうとか言うと引かれそうだから、声を大にして言うのは今後は辞めておく。

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・『スター』

物の価値や環境、概念が急激に変化する時代の中で、自らの創作哲学をいかに持つべきなのか。
「物を作って届ける」その哲学に対する「問い」を与えてくれる作品。それでいて、最後には作者なりの答えの欠片のようなものを少しだけ見せてくれる事で、もやもやと脳内を渦巻いていた問いが少し晴れたような気分になる。
特に、殆ど自分と同じような世代の若者の等身大の葛藤は、まさに自分の脳内を写しているかのようで、出てくる大人たちは自分の師匠かのようで。今後、悪い遺伝子に苛まれてしまいそうな時、いつまでも読み返したい作品の一つだった。何かを創作する仕事に関わる、全員が楽しめると思う。必読。

こんなに今の世相と20代前半の心情を敏感に的確に描写できる朝井さんは本当に凄いなと思いつつ、こういう文が書けるって事は、朝井リョウさんも似た様なことを考えてきて、今でも考えているのかなあ?と、勝手に著者を「近く」に感じていた最中、中盤から出てきた「浅沼」さんという大人なキャラクターの登場によって、その距離は急に遠く離れていった。
この人、、めっちゃ大人だったわ。

価値や質を判断する評価基準は目まぐるしく変わる。そして、結局一つの答えに収束する。

「だから、とにかくたくさん撮りなさい。」

P.S. 自分の為にも、本の中で心に残ったセリフをいくつか。
「その撮った映画の数と量だけは嘘をつかない。」
「私の言葉を信じるのではなくて、私の言葉をきっかけに始まった自分の時間を信じなさい。その時間で積み上げた感性を信じなさい。」by師匠
「おかしな等号ばかりの世の中で」「比べられないものを比べてしまう」
「今はそれに騙されていたい」「今までは、いろんな欲求の種類があって、それに応えるだけの発信がされていなかった。」
「比べる必要なんてない。自分が作りたいものを、届けたいものを作って、とにかく作ればいい。」

尚吾と絋で、是非この原作を映画にしてほしい。

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また10月後半編でお会いしましょう。

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