自宅のテレワーク環境について考える
私は金融関係の上場企業に勤務していますが、オフィスが新橋にあることもありオリンピック期間を見越して1年ほど前からテレワーク環境の整備とテスト実施が行われてきました。ペーパーレス化も声高に進められ、紙資料の回付を電子的なワークフロー(申請画面から申込み、承認するフローを電子的に行う)の構築が進められてきました。
私の会社にもご多聞に漏れず、昭和思想の50代社員が会社組織を牛耳っており自分たちがイメージのできないやり方には抵抗を示す傾向にあります。これは人間が元来持つ変化に対する拒否反応として当然だと思いますが、結果的にはトップダウンによる改革のためか一定の浸透が進んでいるものと感じています。そのため、コロナ禍により強いられたテレワークも概ね問題なく定着してきました。もう一つの特有な背景としては、実質的な親会社がIT分野のサービス開発に注力していることもあって、そっちで導入されたツールやサービスが落下傘的に取り入れられていくという状況もあります。いずれにしても、つい最近まで「自宅で仕事なんて成立しない」と思われていたことが、世界的な新型コロナ流行という予想だにしない環境下で実現してしまったという皮肉な状況となりました。
マクロ的な背景は様々な意見があると思いますが、急に自宅での仕事「テレワーク」を強いられた我々にとって、テレワーク環境の整備は生産性に直結する重要事項となりつつあります。会社のオフィスは基本的に全員が仕事に取り組む場(おじさんたちの居場所という側面もありますが)として用意されているため、適切な空調と設備、周囲のモチベーションなど仕事の生産性を重視した環境が用意されています。企業は社員の労働生産性やモチベーションを高めるべく、都心の一等地に高い家賃で快適なオフィスを用意しているのです。それと同等の環境を自宅に整備するのは、非常に難しいテーマだと思います。ただし、前向きに考えると会社オフィスでは限界があったワークスペースのカスタマイズも、自宅であればある程度できるとなると、うまくハマれば今まで以上の仕事環境を手に入れることもできるのではないかと思います。
そこで本稿では、私なりに考える「自宅のテレワーク環境」をご紹介しようと思います。
書斎に代わるもの
https://thinklab.jins.com/jp/ja/home/
自宅に書斎を構えている方はごく少数ではないでしょうか。一人暮らしとなれば、1Kか1DKが寝室兼リビング兼ダイニング兼職場という空間を兼ねることになります。リラックスと集中という概念は一見近いようで、似て非なるものと私は考えています。寝たり食事をしたりテレビを見たりという時間は、何も考えていないようで実はいろんなことを考えています。考え事で脳を絞るような思考状態ではありませんが、散発的に「あれって何だろう」「これが気になる」というような興味関心がふわふわとさまよいただようような状態ではないかと思います。
一方で集中状態は、何かひとつの対象に対して考えを向け続ける状態と考えると、身体的な疲れや空腹感、時間感覚が鈍くなっているのが集中状態なんだといえます。そういう意味では、視覚的な邪魔(マンガや映像)や騒音、においを排除することにより集中状態を作り出すことはできるのではないかと思います。わかりやすく言えば「一蘭状態」。一蘭とは、とんこつラーメンのチェーン店で、味に集中するためにカウンターに仕切りがあることで有名です。
連れとの会話や店の雰囲気を楽しむのではなく、純粋にラーメンの味に集中する。これを仕事環境に置き換えると、大事なのはカフェ風のおしゃれなオフィスではなく、不要な視界を遮ること。自宅でもそんな環境を作り出せる商品をJINSが運営する"Think Lab"が発売予定です。その名も「Think Lab HOME」。JINSのセミナーで開発者の方の話を聞く機会があり、ありそうでなかった商品ということで興味を持ったので早速購入(予約)しました。渋谷のJINSで実物を確認してみると、正直簡易な作りであることは否めないのですが、実際にこの環境で仕事をすることによってどれぐらい集中度合いが違うのか、体感してみたいと思います。12月中には届くようなので、届いたらレビューしてみます。
ネット環境
賃貸に住んでいたころは、工事が不要なポケットWi-Fiを自宅のネット環境として使用していました。ポケットWi-Fiは通信量の上限が決まっているものが多いのですが、2年ほど前から通信量無制限のWi-Fiサービスも出始めました。そこで私が目を付けたのが「どんなときもWi-Fi」でした。まれに通信が不安定になることもありつつ、ある程度の通信速度を定額で利用できることに「ついにこういう時代が来たか」と感心したものです。ただ、安いものには裏があるというのもまた真理。コロナによるテレワークや自宅時間の増加でWi-Fi通信量が増大し、キャパオバーにより通信障害が頻発しどんなときもWi-Fiの契約者は大混乱に陥りました。
私もどんなときもWi-Fiの運営会社のコールセンターと揉めに揉めましたが、埒が明かないと判断して違約金を払って解約しました。
https://www.value-press.com/pressrelease/257413
その後、暫定的に導入したのが「FUJI Wi-Fi」というポケットルーターです。あまりプロモーションをやっていなくて知名度は低いですが、どんなときもWi-FiがやっていたようなクラウドWi-Fi方式ではなくて三大キャリアの回線(ソフトバンク)を使っているので通信は安定しています。
私は使ったことがありませんが、都心に近い方は楽天モバイルのカバーエリアであることを前提に楽天モバイルの導入もありだと思います。ただし私は楽天という会社を信じていない(笑)ので、無料であっても契約の予定はありません。タダほど高いものは無いとは先人の言葉の通りです
ちなみに私はマンションを買ったと同時にSo-net光を導入しました。多少工事は必要でしたが、申込みしてから1ヶ月ほどで開通しました。やはり固定回線は通信速度と安定感は抜群です。しかもルーター付きで最初の2年間は月額2,480円(マンションプラン)という良心的な価格も魅力です。通信量を気にせず、ストレスなくテレワークやNetflixが利用できるのは電気や水道が普通に使えるのと同じぐらい大事だと思いました。
PCのスペック
私が勤務する会社はモバイルPCを全社員に支給していて、会社のサーバーにVPN接続して仕事をしているのでPCのスペックに依存することは少ないのです。一方で妻の会社は、PCは自分で用意して会社のデスクトップPCにリモート接続するという力業のようで、ローカル環境で作業をしてリモートへアップロードするような状況にストレスを感じているようでした。5年ぐらい前のASUSのロースペックPCを使っていたので、給付金を使ってLenovoのミドルクラスノートPCを買ってあげました。リモート元のPCやリモート回線の込み具合に依存することもあるようですが、うまくローカルとリモートを使い分けて自宅勤務に慣れてきた様子です。
イスと机
私が現在仕事で使っているのは、買ったマンションの以前の住人であるイギリス人のおじさんが置いていったものです。決して高いものではなさそうな丸テーブルですが、現状は事足りています。
そのうち予約したThink Lab HOMEが届くと思うので、ハイバックのオフィスチェアも買おうと考えていますが、良いものは4~5万円したり結構値が張るようです。長時間座ることになるのでいいものをとは思いつつコスパも重視ということで行き着いたのが「サンワサプライのメッシュチェア」でした。8000円という価格でこのクオリティ(ショールームで実機を確認済)なら買いだと思います。
整備結果
いまだテレワーク環境を整備途中ですが、すべてが揃ったころにはコロナが収束していることも願いつつ、使用感のレビューもしていきたいと思います。