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後遺症の恐怖―コロナのその後について、大曲先生にお聞きしました。

こんにちは。東京iCDCの事務局です。
今回は後遺症についてです。新型コロナが流行してから1年が経ちますが、感染者の増加とともに、その後遺症についても、分かってきたことがあります。
東京iCDCの「感染症診療チーム」メンバーである、国立国際医療研究センターの大曲先生に、お話をお聞きします。

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―大曲先生、後遺症についてどのようなことが分かってきたのでしょうか。

はい。私ども国立国際医療研究センターでは、2020年2月~6月に当院を退院した新型コロナウイルス感染症回復者を対象として、新型コロナの後遺症に関して、電話での聞き取り調査を行いました。
御協力いただいた63名から回答をいただきましたが、その結果からは、

○発症後 、2か月たっても48%、4か月たっても27%の患者で何らかの後遺症があった
○療養終了から4か月たっても約10%の患者に呼吸困難、倦怠感、嗅覚障害があった

ことが認められました。
なお、後遺症は、14日間を超えて長引く症状と定義しました。

―4か月たっても後遺症に悩まされている方がいるというのは、驚きました。とても長い期間、後遺症が続いてしまうというのも新型コロナの1つの特徴といえるのでしょうか。

そうですね。下の図は、新型コロナの「発症からの日数」と「症状を有する患者の割合」をまとめたものですので、ご覧ください。

グラフ

ここからも、症状の期間が非常に長いことが分かるかと思います。中には、150日、200日と症状が続く方がいることも見て取れます。すなわち、何か月以上も、においがあまりしない、体のだるさが取れないといった患者さんが現実にはいらっしゃるということです。

―自分自身に置き換えて考えると、その辛さがよく分かりますね。先日、脱毛の後遺症に悩む患者の様子をニュースで見たのですが、そういった症状もあるのでしょうか。

今回の調査結果からも、脱毛は24%の患者にみられました。 そのうちの64%の患者は調査時に脱毛が改善していませんでした。

―やはり、そういった症状もあるのですね。
また、例えば年齢別でみたときに、20代や30代の若年層は、後遺症などの心配はありませんか。

そのようなことはありません。下の表は、年齢別の新型コロナの後遺症患者の割合を示したものになりますので、ご覧ください。

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調査対象となった患者数が少ないため参考値となりますが、この表から、どの年代でも後遺症を認められた患者がいること、20代や30代の若年層でも後遺症を有する割合は高いことが見て取れます。

―20代や30代の方も「感染しても、すぐ治るから大丈夫」とは決して言えないということですね。

その通りです。さらに、年代別の主な症状の頻度もまとめたものがありますので、ご覧ください。

グラフ3

                         (下線部は同順位)

ここから、年代別で多少異なるものの「せき」、「倦怠感」、「呼吸困難」というのは、頻度が高いことが分かります。一方、20歳代は、少し傾向が違い、「嗅覚」や「味覚」などの障害の頻度が高いなど、他の世代と異なりました。
私個人としても、若い方で、このような症状をお持ちの方を何人も見てきましたが、非常につらいということを聞いております。特に、「においがしない」、「味がしない」というのは、生活の中の楽しみの一つを奪われているのと一緒だと思います。

―そうなると、新型コロナの後遺症に対する治療法が気になるところですが、その治療法は、どのようなものがあるのでしょうか。

残念ながら、現段階では、後遺症の原因が明確には分かっておらず、確立された治療法がないというのが現状です。
そのため、有効なワクチンが広く普及されたり、有効な治療法が確立されるまでは、「新型コロナウイルス感染症にかからないことが最大の後遺症予防」であるということです。
新型コロナにかからないこと、かからないで欲しいというのが、私からお伝えしたい1番のメッセージであります。

―毎日の感染対策というものが後遺症予防に繋がっていくのですね。若年層の方も含めた全ての方に共通して、「感染しない、させない」ことが大事であるということが改めて良く分かりました。大曲先生、ありがとうございました。


新型コロナに感染しないために、新型コロナを正しく知り、正しく恐れ、行動していきましょう。

(詳細については、第31回モニタリング会議の資料をご覧ください。)

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