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減税請願@2024年品川区のまとめ

2024/11/15 最新鋭ねこ ナイトウ_@CvZjrhr

本Noteは、2024年に品川区議会に提出した減税請願を通じて得られた学び、共有すべきと考える情報をまとめたものです。
本Noteや請願を参考にすること、引用等は減税に賛成する文脈であれば完全に自由です。断りや連絡も不要です。今後、請願や陳情を出す方々のお役に立てましたら幸いです。

※本Noteの内容は、品川区議会で観察されたことに基づいており、他の自治体では大きく異なる結果があるかもしれません。


減税請願プロジェクトの背景と概要

品川区への請願は今回が2回目となります。
前回は2023年、品川区が過去に廃止した事務事業評価を再開するにあたり、「あるべき事務事業評価」の要件を定義し、それらを導入するよう訴える内容でした。https://note.com/shina_gen/n/n96286018eb96

2024年の請願は、事務事業評価が満足いく形で再開されたことから、事務事業評価を通じてムダの指摘(財源の具体的指摘)し、それを根拠に減税を要求する正攻法のロジックでアプローチしました。

2024年、品川区議会に提出した請願書


今回の請願の目的と狙い 

今回の減税請願には以下の達成されるべき目的と、いくつかの狙っていた事がありました。

① 減税請願の採択
減税の請願採択1例目を目指す。
特に事務事業評価によるムダの可視化を根拠に減税を訴えることで、
「減税の財源がない」という典型的な反論を封じられるか検証したかった。

② 「減税」イシューをリアル社会に周知する
リアル社会で減税アクションを起こすことで、Xや限られたWEB空間だけでなく、リアル社会で減税のイシュー化を図りたかった。

③ 請願戦略の大幅なアップデート
下図の通り、2023年の初請願では請願プロセスの解像度が低く、その利用価値を十分に理解していなかったため、請願を提出してその結果を見るだけの単純なアプローチしか取れていなかった。
 今回は、各議員へ事前説明の名目で直接接触すること、採択の可能性を上げるため議員の反応を確認して内容をブラッシュアップするアプローチを取った。議員や会派と接触する中で、(品川区)減税会の存在を議員に周知することの有用性に気が付いたため、他の減税会メンバーと共同で一部の会派と「(品川区)減税会」として直接接触、存在を周知する狙いを追加した。

※前回の請願から得られた情報より、アプローチを大きく進化させることを狙った

④ 事務事業評価が有効活用されている実例の提示
昨年導入に成功した事務事業評価だが、品川区の一部議員や職員の間で批判されているという情報があったため、事務事業評価を実際に読み、それに基づいたアクションを起こす一般市民が実在していることを証明、事務事業評価不要論に反論する必要を感じていた。

実行したアクション

請願の対象選定と具体的な内容の作成

  • 200近くの事務事業評価を読み、その中からいかにもムダで、高齢者偏重政策への反発気運と噛み合い、事務事業評価で見直しを予定されていた「長寿お祝い金」事業を選定。

  • 論点、ロジックを整理し、議員らに説明するための請願資料を作成。資料は下の通り。

1.事務事業評価により問題点が可視化されたことを明示
請願の背景と問題意識の共有を図る2枚
他の自治体に多くの前例があることを指摘

区議会の各会派へ事前説明とあいさつ回り

  • 今回の請願が処理されるであろう品川区厚生委員会のメンバー議員をリストアップし、該当の会派にアポ取り。

  • 各会派に今回の請願の要旨や背景を説明し、(品川区)減税会という草の根組織が活動していることを周知し、再開された事務事業評価の価値を訴求するため5会派(無所属あり)、計11名の議員と面会した。


請願の結果と、請願プロセスでの気づき

・厚生委員会での採決は反対多数により不採択となった。
 →品川区の陳情、請願は95%(多分)不採択になっているため驚くことではないが、やはり採択のハードルは高い。

・各会派の議員との接触は、良くも悪くも想定や仮説を覆すことが多く、得られた情報・学びは大きかった。やはりプランや仮説をこねくり回すことは無意味で、実際のアクションで検証することが大事。

各会派、議員と話した印象、感想をいくつかピックアップする。
→そもそも請願の「内容」に興味を示す議員は非常に少数派であった。多くの議員の賛否は、自身の支持層(「自分は高齢者側」と明言してくれる議員もいた)や、他の会派の動向といった政治的な力学であらかじめ決まっており、説明や資料の内容によって賛否の態度を変化させることはほぼ不可能という印象を受けた。
例えば、仮に今回の請願の内容を私(元雑魚ではないコンサル)より上位のコンサル(メジャーファームのマネージャ以上)がブラッシュアップして臨んだとしても、賛否の配分は全く動かせないだろうと思われる。これは民間のビジネスではあまり見られない力学であり、政治業界の素人である自分にはかなり驚きであった。

当選回数が多い議員は民間のロジックから乖離し、話が通じない傾向
これは事前に持っていた仮説の通りであり、本請願の賛否以前に、政治業界の人間とビジネスパーソンは、共通ロジックで会話できるかという話。
古参議員には大仰な三文芝居を披露する議員も見られ、「効果」の話や内容の説明自体を嫌がり、「思い」でごまかそうとする傾向があった。
今回、最初の接触相手には、初当選で再選に安泰な票数を得ていない議員を意図的に選択したが、賛否はともかく、率直で真摯な意見交換ができ、アドバイスもいただけたのは幸いだった。他の議員の事例でも、やはり民間のクセが抜けていない議員の方が、会話が成立しやすい傾向が見られた。

→個々の議員を見定めるべし
とある会派では、請願への意見も思想もバラバラな事例が見られ、これまで品川区減税会が特に注目してこなかった議員の1人が、「事務事業評価」の熱心な唱道者(ある意味、減税会以上に)であり、減税の理解者だったという発見があった。

請願の説明という名目で会派回りをすることで多くの議員と接触でき、相手にする意味がない議員、減税会に理解のある議員を特定する事ができる。これによって後に勉強会などに招待すべき(またはすべきでない)議員をフィルタリングできるため、これは有用と考える。

ちなみに私は以下のように議員を分類していた。
・以後、相手にしないカテゴリ:
 →腐敗系:政治力学しか頭にない、三文芝居を打つ、見え透いた嘘を話すなど、政治業界に染まり過ぎている議員
 ※政治業界に染まることが、私には「腐敗に見えた」というニュアンス
 →立ち回り系:「総論賛成」と支持しているかのような印象、または誉め言葉で良い印象を与えようとしてくるが、決して言質を取らせず立場も明確にしない。民間にもいるタイプで時間のムダ
 →ザコ:他の議員の顔色を伺い自分の意見を述べない。または薄っぺらい感想しか言えず能力的に問題がある

・以後も接触する(かもしれない)カテゴリ:
 →未腐敗系:腐敗系の逆。まだ政治業界に染まっていないので、情報交換や一部イシューでの協力はあり得る(かもしれない)
 →理解者(仮):前記の事務事業評価、減税理解者のような議員。勉強会に招待するなどして、どこまで共闘できるのか探っていきたい

このような個別議員の性質は、直接接触しないと確認できないため、陳情/請願の説明や減税会としてのあいさつなど、何がしかの口実を設けて広範な議員と会う事には一定の価値がある。今回の請願の最大の収穫は、会派回りによる会派、議員の情報収集だったかなと。

請願、陳情を理由に、議員への柔軟なアクションが取れるようになる。

今後のプラン

前記の通り、内容のブラッシュアップが議員の投票行動にさして影響を与えそうもないとなると、今後、請願や陳情をどのように位置付けるかの再検討が必要。現時点で方針は決めていないが、以下のパターンがありそう。

採択以外の目的で陳情を継続:会派回りの口実、全世帯に配布される『区議会だより』に「減税」の文字を乗せるマーケティング、付託される委員会で議員や区担当者の発言を議事録に残させる(*1)、行政へ意見をインプットする狙いで、陳情(請願である必要はなさそう)を継続するオプションがあり得る。

請願/陳情以外のタスクに工数を割く:陳情プロセスには深堀の余地があり、もう少し利用価値を探ってみたい気持ちがあるため、他に移るのはまだ早いかなと。

採択されそうなイシューで再チャレンジ:正攻法なので一応書いておくが、現状、一番成果が見込めない方針か。政治的な力学に決定される文脈において「採択されそう」というのは、有力会派を代弁する内容で出すことを意味するだろうが、減税会として意義のある陳情、請願になるイシューはまず無いように思われる。

*1委員会議事録
下記のように、実際的な効果でないフワフワした理由で税金が浪費されているエビデンスを残すことができ、炎上させる材料などに使える可能性がある

>東野福祉計画課長:お祝いされた方や家族が笑顔になって、周囲からも敬われ、あしたへの活力につながれば、生き生きとした暮らしへの支援としての効果は十分にあると考えております。

https://gikai.city.shinagawa.tokyo.jp/wp-content/themes/shinagawakugikai/pdf/2024.09.24ko.pdf

以上、長文で一部まとまりがない内容になってしまいましたが、2024年の請願についてまとめました。ご署名をいただいた藤原議員、藤原議員をご紹介いただき、減税派議員として活躍してこられた筒井ようすけ議員には、この場で改めて御礼申し上げます。

繰り返しになりますが、本NOTEは私が品川区議会で観察した事例に基づいており、他の自治体では大きく異なる結果になるかもしれません。私も他の自治体の事例を知りたく思っております。

諸事情から、会派や議員の名前はNOTEでは意図的に伏せております。具体的な情報が必要な方はXでDMでもいただければと思います。

2024/11/15 最新鋭ねこ ナイトウ_@CvZjrhr


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東京減税会
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