見出し画像

「東京チェンソーズのまるごと山開きvol.2 森の異文化交流会」レポート

一昨年初開催した「まるごと山開き」。
”森のヘンテコ素材に出会う旅”をテーマに、お客様を招いて林業や森の背景、東京チェンソーズの事業についてお伝えし、一般的に出回っている木材とはちょっと違う”森のヘンテコ素材”を紹介しました。

当初は「来てくれるかな」という不安でいっぱいでしたが、いざ、蓋を開けてみると、予想以上の15社30人が参加するという、私ごとながら上出来の結果に。
終了後のアンケート(記述式)も、熱量いっぱいにビッチリ書き込んでくれた方が多く、とても嬉しく思いました。

さらには次回の開催を希望する声も多く、、、

…ということで開催した「東京チェンソーズのまるごと山開きvol.2 森の異文化交流会」。

今回、都合がつかず参加できなかった方や、そもそも山開きって何? という方もどうぞご覧ください!!

【東京チェンソーズのまるごと山開きvol.2 森の異文化交流会 開催概要】

日程:2024年11月13日(水曜日)
場所:東京チェンソーズ社有林、木材天然乾燥施設
内容:
・林業、森、東京チェンソーズについて(社有林)
・素材案内(乾燥施設)
・トーク「森と銭湯」(小杉湯・平松佑介さん×弊社・吉田)

”森の異文化交流会”とは…?

2回目のテーマは「森の異文化交流会」。
え、何それ? ですが、、

東京チェンソーズではこれまで、さまざまな職種の方を森に招いてきました。多い時は週に1組以上がいらっしゃることも。
そこで気づいたのは、皆さんの森への視点が面白いこと。

木漏れ日をずっと見ていた照明会社の方…
木に絡みつくツルや小さな植物に目がいく花屋さん…
苔生した斜面を見て、その面を表現したいと内装デザイナー…
作品の素材にすると、落ち葉や木の実、枯れ枝、石ころを拾い集めるプロダクトデザイナー…
林内で作業する人の動きが気になるダンサー…

知らず知らずのうちに”林業的視点”に染まっていた私たちにとって、それは大いなる衝撃でした。

1人ずつでもこんなに面白いのだから、もし一同に集まったら、、、

さまざまな職種によるさまざまな視点(異文化?)が混ざり合うことで、私たちだけでは思いもよらなかった森の可能性、新しい森の価値観が生まれるのではないかと思いました。

そこで今回は、木材など森の素材の使い手である設計事務所やデザイナー、内装会社を中心としつつ、大学やメディア、芸術、不動産、アパレルなど、森との関係性が一見薄いと思われる職種も含めお招きすることとしました。

どのような森の新しい可能性、価値観が生まれるのか楽しみです!

森を舞台に異文化が交わるので、タイトルは森の異文化交流会です!!

初回の打ち合わせ資料から。これをベースに”森の異文化交流会”が誕生

小グループに分かれて森を案内

行程の最初のパートは東京チェンソーズ・社有林の案内です。

今回は参加者が42人と前回より多かったこともあり、全体を5つの小さなグループに分け案内することとしました。

案内人を務めた東京チェンソーズのスタッフは、現場に出ている3名+販売1名+広報1名の計5人。
同じ会社なので共通部分はもちろんありますが、それぞれ担当する普段の仕事が別なことや、森の見方、興味の方向性が違うということで、三者三様ならぬ五者五様の案内ができたのではと思います。

針葉樹と広葉樹による混交林の育て方や、森をまるごと活用する方法など話す
間伐の考え方などディープな林業の方法論、クマ被害と自然のサイクルについてなど話す
森〜街〜海のつながりを体感しようと行った川下り、森と人の関わり方など話す

「板」「塊」「ヘン」の3カテゴリー(?)で素材を展示

続いて木材の天然乾燥施設へ向かいました。

こちらは檜原村木材産業協同組合が管理する施設で、組合員である私たちも一部を使用し製材品などの乾燥に利用しています。

今回は素材を「板」「塊」「ヘン」の3カテゴリーに分け、約50点を展示しました。

二股に分かれる部分を活かしたサクラ
カヤ。渦巻き模様を描く木目が特徴
芯が朽ちて穴が空いた角材
重量感あふれるケヤキの塊
よく見ると芯が2つある!
スギの根張り。伐採時に切り落とされる部分だが、断面の光沢が魅力

トークのタイトルは「森と銭湯」

今回のメイン・イベントが小杉湯・平松佑介さんと東京チェンソーズ・吉田のトーク「森と銭湯」です。

小杉湯・平松祐介さん(右)、東京チェンソーズ・吉田

小杉湯は東京・高円寺に90年続く街の銭湯で、ミルク風呂などの”変わり湯”が人気。昨年(2024年)、原宿に2号店を開店しました。

林業と銭湯…一見、関連がなさそうに思える両者ですが、実は!
…1時間を超える熱きトークの内容は、次回記事でお伝えします。

森や木、林業が身近に感じられ、自分の仕事と関連して考えるようになった

集合から解散まで約4時間。トークのスライドが見えにくかった、終盤になって寒かった等、小さなハプニング(?)はありましたが、概ね無事に終えることができました。
参加した皆さんも、森をより身近に、自分の仕事と関連して考えてくれるようになったようです。

以下、参加した皆さんからいただいた声です。

  • スギの苗を誰が一体どうやって植えたのか、という長年の疑問について聞けた。

  • 初めて山の道づくりについて聞いた。 長期的な目線で見た道幅の選定やお金のかけ方、地形に合わせたルートの検討など、目的に応じて考えられていることを知りとても奥深さを感じた。

  • 現在の「林業」という概念・営みを知ることができた。

  • 誰が伐採して誰がどのように現場から樹木を運搬するのか、どこに何を植えるのか、切ったあとの処理とか、50年先を考えて植林しているなどのお話しなどがとても興味深かった。

  • 間伐など、人の手によって適切に管理することで価値のある材が作られることを知り、私たちもお客様へ伝えることができると感じました。

  • 都心とは多摩川で繋がっているなど通常はなかなか実感しづらい自然とのつながりを体感できた。

ある内装のデザイナーは「実際に森に足を運んで、五感で感じることがすごく大事な気がします。お客様にも足を運んでもらって、オフィスなどの空間に(森のエッセンスを)どのように取り入れるのか検討していただくきっかけにできれば良いなと思います」と話してくれました。

設計デザイナーは「持続可能なもの、自然素材、ストーリー性のあるものを設計するものに取り込みたいと日々トライしながらも、予算やスケジュールで断念することが非常に多くもどかしく思っておりました。ですが今後もあきらめることなく、取り入れようとする試行錯誤をしていきたいと感じました」

今回の「山開き」を通して、参加者それぞれが感じた森を、それぞれの方法で活かしてくれたらと思います。
一緒に森を歩いた〇〇さんの話がヒントになったとか、小杉湯・平松さんのあの言葉が…など。

東京チェンソーズも、皆さんが発した言葉や視点をヒントに、これまでにない新たな森の活かし方を考えていきたいと思います。


ヒノキの根っこを使った「TOKYO HINOKI ROOTS SAISON」

今回は参加してくれたみなさんにお土産として、材料の一部にヒノキの根っこを使用したビールを用意しました。

「TOKYO HINOKI ROOTS SAISON」と名付けられたこのビールは、今回の交流会にも参加したD&DEPARTMENT TOKYOと東京・高円寺でクラフトビールの醸造所を営むアンドビール、そして東京チェンソーズの3者が共同で作ったもので、柑橘系の爽やかな風味が魅力の逸品です。

ビールづくりのレポートはこちらの記事でどうぞ。

さて、次回の開催についてですが、まだはっきりは言えないですが、開催する方向で考えています。

今度はもう少し暖かな時期にやりたいですね笑

最後になりますが、よろしかったらこちらも見てみてください。東京チェンソーズの社本、木田によるアフタートークです。