当たり前が変わる、魔法にかけられる場所
このごろ、東京が馴染んできた。
お気に入りの場所も増え、好きなパン屋は蒲田と世田谷、作業をするなら代官山にある蔦屋の2階のシェアラウンジ、買い物行くなら有楽町の丸井。友だちとご飯なら恵比寿か中目黒で、一番おいしいと思ったイタリアンは、神泉のアウレリオ。
地元にいたときは電車もまともに乗れず、逆方向ばかりに進んでいたあどけない少女が、今や地図を開かなくても行きたいところにたどり着ける。
少し前まで東京を案内される側だったのが、母親や妹が地元から遊びに来ると決まるといなや、東京駅まで迎えに行き、事前にリクエストを聞き入念に立てた旅行プランにそって東京観光ガイドの指名を全うする。
まだ知らない場所やお店が多いし、行きたいところも無限にあるけれども、東京生活を心から愉しいと感じるようになってきたのは、ここ最近のはなし。
都会の色
上京当初は毎日がストレスフルで、山や田んぼで育ってきたわたしには拷問の時間のように思えた。
アスファルトのねずみ色やレンガの赤。マンションたちの目に刺さるような白。どこをみても目が休まることはなく、走って迎える山もなければ(普通はない)春にりんごの白い花を愛でることもできない。
毎日顔色が悪い大人の顔をみながら、電車で1時間かけて通勤することが耐え難く、地元に帰ってしまいたいと数えきれないほど思った。
それでも、11年住み続ける理由は。
魔法にかけられて
一番は、人のちからだ。
東京は、日本や世界中から吸い寄せられるように人が集まってくる。
国籍のちがう人が住んでいるのも当たり前だし、後ろ指さされ笑われるような恰好をしている人たちも、うまく共存しながら生活している。
東京に住んでると、人とはちがう個性や好みを受け入れられる場所だと感じる機会が多い。
地元の狭いコミュニティーにしばられることなく、自由に好きな人たちだけと、関係性を丁寧に育てていける。
そんなところにわたしは惹かれているのだと、気が付いた。
東京で毎日すれ違う何千人という人たちを目にするたびに、失恋の悲しみも吹き飛ぶし(35億って流行った)、仕事で嫌なことがあっても、こんなにビルがあるのだからどこか受け入れてもらえるところがあるでしょ、と前向きになれる。
東京に来て一番の変化は、変化を前向きに受け入れて嫌なことをすぐにやめれるようになったこと。
何事にもなんとかなるさ~と思いながら、毎日たのしく生活してます。
written by みんちゃん