博報堂メディア環境研究所のプレゼン雑感 その4
広告が再び見直されている?
新しい世代の若者の行動としてもう一つ興味深かったのは、広告に対するスタンスです。
彼らは広告だから飛ばすのではなく、自分に有益ならそれは関係ないというのです。
我々のような動画配信メディアと、ブランドやメーカーなどの広告主は、今まで「どうやったら広告っぽい表現から遠ざかるか」に心を砕いてきた部分がありました。ブランド自体が発信するCMや広告は、それ自体として機能していたのでしょうが、メディアがブランドと組んで発信するものには、「広告っぽさ」を排除するバイアスが働いていたように思います。でも、その考えはもはや古いのかもしれません。
ユーザーは「役立つ」ならば広告にも積極的
僕自身もCチャンネルの社内で発言する際に「自分ごと化」を促せ!という言葉をよく使っています。それは、コンテンツが自分に有益であれば、ソースが広告であろうとなかろうと、ユーザーには関係ないのだから、「役に立つ」内容を際立たせろ、という意味でした。今回のプレゼンを聞いて、自分が取り組んできたことが正しかったと、証明された気がしました。
ある人はターゲティング広告に対して、積極的に「いいね」することで、自分の有益な情報がタイムラインの上位に上がっていくように積極的に行動していました。雑感その2でも書きましたが、アルゴリズムを逆手に取る行動を取っているのは、面白いなと思いました。そうしたアルゴリズムを「自分のために」利用したり、AIに利用される感じを逆に利用したりする行動は、まだまだ人間の進化も捨てたものではないなと思いました。ディープラーニングをディープラーニングしている感じとでもいいましょうか。
広告主はユーザーへの発信源をマルチに持つべき
プレゼンテーションが終わった後、メディア環境研究所の吉川昌孝さんとお話しする時間がありました。そこで彼は「Cチャンネルがやっているライブコマースはこれからの広告業界的にも正しい戦略だ」と、おっしゃってくれました。さらに、時間的に入れることができなかったけれど、新しい広告表現は、メッセージを伝えるためにユーザーに寄っていく必要はないということでした。特にメディアは、自分の立ち位置をきちんと取って発信するべきだそうです。広告主側は、ユーザーへの発信源をいろいろなメディアで浅く広く持っていなければダメな時代になっていて、特徴的な発信手段を持っていることが重要だからです。
いろいろな意味で、大変参考になったプレゼンテーションでした。この内容はすでにアップされていますので、気になった方はぜひチェックしてみてください。