命懸けのビートルズ名曲10選
ビートルズ最後の新曲が話題である。メディアやSNS等で連日これでもかと、喧伝がひっきりなしなのだが、斯く言う私も配信開始を今か今かとイヤホンを付けて待ち侘び、秒針が23:00を指した瞬間に再生ボタンを押した一人である。AIの進化を手放しに賞賛できないで居た私であったが、今回ばかりは頭が下がる思いである。
ビートルズの輝かしいラインナップの中で「Now and Then」が特別に素晴らしいとも思わないが、あと何日でビートルズの新曲が聴けると言うワクワク感と言ったらなかった。イヤホンを耳穴に押し付けながら「I know it's true〜♪」が始まった瞬間は骨髄が震えた気がしたものだ。
また私は以前にnoteでビートルズの私的名曲10選に取り組んだことがあったのだが、指折り始めて直ぐに両手で数え切れるわけがないと、早々に匙を投げぞんざいな記事を書いてしまった。(反省を込めて記事は削除した)
そこで本稿に於いてはリベンジとして、本気を出して命懸けの10選を試みたい。無論、命など懸けようがないのだが、
神様が現れて「お前を無人島へ連れて行く。ビートルズの曲を10曲だけ持って行かせてやる、他の曲は二度と聞けないぞ、さぁ選ぶが良い。」と言われたと仮定して時間をかけてセレクトに取り組んだ。
そんなケチくさい神様が居て堪るものかとは思うものの、ロックの神様と言う奴は、いつだって理不尽、そう言うものだ。
第10位:「Octopus's Garden」
この曲が10番目に好きな訳ではないのだが、何せ無人島である。もう二度と聞けないとあっては、リンゴの楽曲を連れて行かないという選択肢はない。
「With a Little Help from My Friends」の方が好きなのだが、やはりリンゴが書いた曲を選びたい。ジョージに作曲を教わりながら鍵盤を叩く、健気なリンゴの姿を思い浮かべながら魚でも釣りたいと思う。
第9位:「I Saw Her Standing There」
無人島に最も必要なもの、それは間違いなく「元気」である。風が吹こうが雨が降ろうがこの曲がかかれば誰だって元気になるはずだ。「Drive My Car」と何方にするか悩んだが、「1・2・3・4」のカウントから始まるのが此方である為、こっちの方が元気だろうと選んだ。
「she was just seventeen〜♪」のィィ〜ンの発音と「how could I dance〜♪」の息を吐きながらハァァ〜と言うところが果てしなく好きである。
第8位:「Across the Universe」
無人島で生きると言うことは、即ち、宇宙を越える必要があると言うことである。何ものにも私の世界は変えられない。現実逃避も逃げ切れば勝ちなのだ。
曲調的に「Free as a Bird」か「Blackbird」にするかも悩んだが、鳥を妬ましく思いそうだったのでやめることにした。
第7位:「Dear Prudence」
名作映画を創りたいのなら、エンディングにこの曲を流せばいいのだと心から思う。実に映像的で豊かな余韻に満ちたサウンドスケープは、聴く者に多彩な情景を思い浮かべさせるだろう。私の漂流記ですら画になるかも知れない。
第6位:「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」
アルバムではなく1曲目のことである。ポールのゴキゲンなヴォーカルを聴けばヤドカリだって小躍りする筈だ。
「let me introduce to you〜♪」と仲間のヤシガニたちを連れてきてくれるかも知れない。
第5位:「No Reply」
無人島には哀しい曲も必要だ。雨宿りの洞穴でハッピーな曲を聴く訳にも行くまい。
「I nearly died〜♪」と言う歌詞を初めて心を込めて歌えそうな気がする。
第4位:「Happiness Is a Warm Gun」
純粋に歌唱という部分について言えば、ジョンのキャリアハイの楽曲なのではないかと思う。世界一のヴォーカリストとして度々その名が挙げられるのも頷ける。ジョンを撃ち殺したチャップマンは地獄へ堕とすようにと、ケチな神様に言伝ようと思う。
第3位:「Let It Be」
選ばざるを得ない。「Hey Jude」や「Yesterday」は無くとも生きられる気がするが「Let It Be」は無理だ。そして、フィルスペクターのヴァージョンこそを所望する。夕陽に照らされながらあのギターソロを聴く度に、私は本州を想い涙するのだろう。
第2位:「Golden Slumbers/Carry That Weight/The End」
よもや卑怯とは言うまい。こちとら無人島行きである「これじゃ3曲だ」などと言う正論は却させていただく。バナナはおやつ代には含まれないのだ。
「You Never Give Me Your Money」も殆ど同時に味わえる為、4曲分の魅力が詰まったメドレーである。
第1位:「Something」
10選を何度繰り返そうが、私はこの曲を1位に選び続けるであろう。「While My Guitar Gently Weeps」や「If I Needed Someone」も捨て難いがジョージ楽曲の中では、いや、ビートルズの名曲群の中に於いてもこの曲が余りにも輝いて見える。
以上が命を賭した名曲10選である。
ご覧の様に記事そのものは巫山戯ながら書いたが、然し選曲自体は真剣に行なった。自分の好みの本質を衝けている様に思えて満足である。
Octopus's Garden
I Saw Her Standing There
Across the Universe
Dear Prudence
Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band
No Reply
Happiness Is a Warm Gun
Let It Be
Golden Slumbers/Carry That Weight/The End
Something
こうして眺めると、私は後期が好きなのだなあと、染み染み思う。
この曲達さえ傍にあれば無人島でも、強く生きていけるなどとは微塵も思わないが、一度砂浜で焚き火に当たりながら聴いてみたいとは、真面目に思った次第だ。