パンピー感覚とアーティスト

授業の題材となる情報を提供する代わりに聴講させてもらっている観光MBAの講座のゲストが「HOTEL SHE,」等を複数経営するホテルプロデューサーの龍崎翔子さんであった。アメリカ横断をしているときに、もっと面白いホテルがあったらなあと思ったことが彼女の起業のきっかけ。

この方の話はまるでアーティストのようだった。ホテルを媒介として、社会問題の解決を表現しているように感じる。ホテルをゲストにとっての「ライフスタイルの試着の場」として定義づけ、ホテルでの人との出会いを「ポジティブな予定不調和」とデザインする。産後ケアリゾートや保護犬猫とのペットマッチング泊など、その設計やインタラクション性は現代アート的思考回路。

なかなか興味を惹かれたので、「ご自身とアーティストの違いは何だと思いますか?」と質問したところ、面白い答えが返ってきた。
「アーティストは自己表現を主とするが、自分はどこまでもパンピーの感覚の持ち主。」

私は真のアーティストには普通のふりが出来る人も多く(もしくは異端である自分が異端扱いされないように普通でありたい強い願望がある)、感性が研ぎ澄まされていると普遍的感性や一般感覚まで手に取るように理解できたりすると思っているので、この謙虚で考え抜かれた自己設定がいたく気に入ってしまった。
「ブランド力」「サービス」「パンピーの自分をペルソナとするマーケター」などあくまで商業的要素を抜け目なく混ぜてくるところが面白い。恐らく本人はいたって大真面目だし心からパンピーだと思っているのだろう。

しかしながら、ボキャブラリーが読書家だなと感じたが、24歳の口から死語だと思っていたパンピーが出てくるとは。親の口癖もしくは結構昔のサブカルも読んでいるのかな。

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徳田和嘉子
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