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ジャパンズ・ゴット・タレントは、日本人の海外挑戦を加速させることができるか

世界No1オーディション番組としても有名な「Got Talent」が、日本にも上陸することが発表され注目されています。

日本版「Got Talent」は「Japan’s Got Talent(ジャパンズ・ゴット・タレント)」というタイトルで、審査員にダウンタウンの浜田雅功さん、GACKTさん、山田孝之さん、広瀬アリスさんが選ばれ、2023年の2月からABEMAで放映されることになるようです。

なにしろ「Got Talent」は史上最も成功した番組フォーマットと言われ、全世界194地域で放映、10億人以上が視聴していると言われている超人気番組。

日本にも良い影響があることを期待してしまうのは、私だけではないでしょう。

スーザン・ボイルさんなど多数の才能を発掘

「Got Talent」における最も有名なサクセスストーリーは、イギリスの「Britain's Got Talent」に出演し、一夜にして世界中から注目されるようになったスーザン・ボイルさんでしょう。

この動画は9日間ほどで再生数が1億回を超えたと言われており、その後スーザン・ボイルさんは世界的な歌手として成功を収めることになります。

そのほかにも12歳で衝撃のデビューを果たしたグレース・ヴァンダーウォールさんや、日本人の優勝者として有名な蛯名健一さんなど、さまざまなサクセスストーリーがこのオーディション番組から生まれているのです。

今回、この世界的なオーディション番組である「Got Talent」が日本に上陸するにあたり注目されるのは、やはりこの「ジャパンズ・ゴット・タレント」が日本の才能にとっての世界への扉になるかどうかでしょう。

日本の才能が世界につながるための扉になるか

当然、これまで日本でも似たようなオーディション番組は存在しましたが、「ジャパンズ・ゴット・タレント」の最大の魅力は、そのネットワークが全世界の「Got Talent」とつながっているところにあります。

「ジャパンズ・ゴット・タレント」で優勝すれば、当然海外の番組に出演するチャンスも増えるはずです。
「ジャパンズ・ゴット・タレント」公式サイトの優勝賞金1000万円のところには「世界へ羽ばたくための準備金として」と記載されており、「ジャパンズ・ゴット・タレント」の優勝がゴールではなく、世界に向けてのキャリアのはじまりであることを示唆しています。

日本人において最も象徴的なのは、「America's Got Talent」の優勝により世界的なパフォーマーの地位を確立した蛯名健一さんでしょう。

また、今回「ジャパンズ・ゴット・タレント」のアンバサダーに選ばれたゆりやんさんは、審査は通過できなかったものの出場したこと自体が大きな話題になりましたし、同じくアンバサダーに選ばれた芸人のウエスPさんは、フランス版の「Got Talent」で決勝に進出した結果、フランス企業からCMのオファーが来るなどの成功を収めているそうです。

また、今年はイギリスの「Britain's Got Talent」で日本人マジシャンの岩崎圭一さんがゴールデンブザーを獲得したことも話題になりました。

「ジャパンズ・ゴット・タレント」が、こうした日本人の世界への扉になれば、日本の才能がさらにさまざまな形で世界に羽ばたくきっかけになる可能性が高いわけです。

今年は日本人が5組も準決勝に

今年の「America's Got Talent」には、ジャニーズのアイドルグループであるTravis Japanが挑戦し、準決勝に見事進出したことが話題になりました。

しかも、今回の「America's Got Talent」にはTravis Japan以外にも、4組の日本人が出場し、それぞれ準決勝まで進出していたのです。

これまでの「America's Got Talent」に出場した日本人が、蛯名健一さんや、ゆりやんさんなど数えるほどしかいなかったのに、今回5組もの日本人が出場していたのは、今回発表された「ジャパンズ・ゴット・タレント」への目配せ的な背景があったとみる方もいるようです。

ただ、今回優勝した「Mayyas」がレバノンの女性ダンスグループだったように、今回の「America's Got Talent」はコロナ明けの初開催と言うことで、世界中から力を入れて才能を集めたということもあり、日本からも多数選ばれる結果になった背景があるようです。

いずれにしても、応募総数が4万件以上とも言われる「America's Got Talent」に5組も日本人が出場し、5組とも厳しい審査を見事に通過して準決勝に進出することができたというのは、多くの日本人にとって勇気をもらえる出来事になったと思います。

着実にアメリカのファンを増やしているTravis Japan

特に、個人的に期待したいのはTravis Japanのように、最初から海外を見据えて活動する日本人アーティストが増えることです。

今回Travis Japanは、「America's Got Talent」で会場全体を味方につける見事な評価で準決勝に進出しましたが、準決勝では緊張やトラブルもあったのか自分達の実力を出し切れず、悔しい結果となっています。

ただ、彼らは「America's Got Talent」に出場するためだけにアメリカに渡ったわけではなく、日本での活動を休止してアメリカに留学しています。
並行して世界的なダンス大会にも出場し、世界9位を獲得するなど、確実に海外のファンを増やすことに成功しているのです。

「America's Got Talent」の準決勝の動画の中で、会場にいる参加者が、Travis Japanのトラジャポーズと呼ばれるTとJのマークを手で作っているのが象徴的と言えるでしょう。
Travis Japanは着実に、アメリカにもファンを増やし始めているわけです。

今回、Travis Japan同様に準決勝に進出したコメディアンのAiko Tanakaさんは、アメリカの市民権を取った方で、現地に長く住んでいるからこそのトークが観客の心に届いていることが良く分かります。

当然ながら、こうした挑戦は日本にいながらでは難しかったとも考えられるわけです。

コロナ禍で日本で活動できなかった影響も

今年の準決勝に出場されたMPLUSPLUSのパフォーマーの満永さんによると、今回の「America's Got Talent」に多くの日本人アーティストが応募したのは、コロナ禍によって日本でも海外でも思うように自分達のパフォーマンスが披露できなかったことも影響しているそうです。

ただ、その結果、こうして多くの日本人が海外のオーディションに挑戦し、海外の観客にも評価されることが確認できたのは、不幸中の幸いとでも言うべき大事な一歩と言えるかもしれません。

「ジャパンズ・ゴット・タレント」が成功すれば、海外の「Got Talent」にいきなり挑戦しなくとも、日本にいながら「Got Talent」の扉を開けるチャンスがもらえる可能性が出てくることになります。

日本の従来の仕組みやオーディションでは評価されなかった才能が、「ジャパンズ・ゴット・タレント」を通じて海外で花開くという、スーザン・ボイルさんのような成功事例も出てくれば、Travis Japanのように最初から海外を意識して活動をする日本の才能が増える可能性は十分あるように思います。

「ジャパンズ・ゴット・タレント」は自薦・他薦OKで、出場資格は一切無し。
参加ジャンルも自由という幅広い条件で10月16日までオーディションの応募がされる模様。

日本の隠れた才能が、ここから発掘される日を楽しみにしたいと思います。

この記事は2022年9月25日Yahooニュース個人寄稿記事の全文転載です。


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