Travis Japanが、「アメリカズ・ゴット・タレント」に再度出演できたことの意味
Travis Japanが、アメリカの人気オーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント(AGT)」のスピンオフ番組「Fantasy League」に出演していたことをご存じでしょうか?
番組が放映されたのは、米国の1月22日。
YouTubeには放映前の事前リリースとして公開された動画がアップされており、日本からでも視聴することができます。
「アメリカズ・ゴット・タレント(AGT)」は、視聴率世界1位を獲得したこともある全米屈指の大人気番組で、2年前に米国留学中だったTravis Japanが予選通過を見事に成し遂げ、その後の米国のレコード会社からのデビューにつながった経緯もある番組です。
今回の「Fantasy League」は、そんなAGTの過去の出演者から、審査員が自分達の独自チームを結成して優勝を競うというスピンオフ番組になっており、Travis Japanは見事にその一組に選ばれることができたわけです。
一方で、過去の優勝経験者も参加するレベルが高い大会だったこともあり、今回Travis Japanはセミファイナル進出は果たせず敗退という結果になりました。
ただ、その結果以上に今回の出演は意味のあるものだったと感じますので、ご紹介したいと思います。
セミファイナルでのNGブザーという屈辱からの再演
まず、Travis Japanにとって重要だったのは、AGTでの2年前の出演が、演技中にブザーを鳴らされるという、ほろ苦い経験で終わったという点です。
2年前の出演時、Travis Japanは会場を全員味方にするような見事なパフォーマンスを披露し、見事なセミファイナル進出を成し遂げました。
しかし、その後セミファイナルの演技においては、歌唱の序盤で音が外れてしまったことが影響し、審査員のハウイ氏に演技中にNGブザーを鳴らされてしまうのです。
予選であればまだしも、セミファイナルでNGブザーを鳴らされるのは頻繁にあることではなく、ハウイ氏にも批判があつまったようですが、いずれにしても、Travis JapanのAGTでの演技は完全燃焼できずに終わっていたわけです。
しかし、今回、AGTのスピンオフ番組からオファーが届いたことにより、Travis Japanは2年前のリベンジをする機会が与えられたことになります。
惜しくもセミファイナルへの進出はなりませんでしたが、審査員には2年前からの進化を確実に評価されていましたし、メンバーも間違いなく手応えを感じることができたはずです。
今後のTravis Japanにとって、今回の「Fantasy League」の出演が非常に重要なものであったことは間違いないでしょう。
事務所が会見で揺れる裏で出演できた事実
さらに、Travis Japanだけでなく、同じスマイルアップの所属グループにとって勇気づけられるニュースと言えるのが、AGTを放送しているNBCネットワークが、ジャニーズ事務所の性加害問題を受けてTravis Japanの出演を回避するという判断をしなかった点です。
この「Fantasy League」の収録は昨年の10月頃だったと一部で報道されており、実際に、Travis JapanのSNSアカウントでは11月に出演決定が告知されていました。
昨年の10月といえば、旧ジャニーズ事務所が9月に開いた会見の対応を受けて、広告主が一斉に所属タレントスポンサー起用を自粛。さらに10月の会見でメディアのNGリストが発覚するなどして紛糾し、日本ではメディアから事務所へのバッシングが最も激しくなっていたタイミングです。
象徴的なのが、NHK局内でもジャニー喜多川氏による性加害が行われていた疑惑があると報道され、紅白歌合戦に旧ジャニーズ事務所の所属タレントの起用がされない可能性が高くなっていたタイミングだったという点です。
日本のメディアは、旧ジャニーズ事務所との忖度が深い関係にあるという批判を回避するために、所属タレントの起用を見送り始めていたタイミングだったわけです。
しかし、少なくともNBCは昨年の同じ時期にNHKと同様の判断はせず、「Fantasy League」にTravis Japanの起用をするという判断をしていたことになります。
日本企業と異なった海外企業の対応
ジャニー喜多川氏が長年手を染めていた、未成年への性加害に対しては、海外の企業は日本よりもはるかに厳しい対応をすることで有名です。
実際に、昨年のW杯バレーでは、ジャニーズ性加害問題の影響で、ジャニーズJr.の「Aぇ!group」の起用が取りやめになったと報道されていますし、ラグビーW杯においても、櫻井翔さんの日本代表アンバサダー起用にフランスの大手新聞が疑問を呈したことが注目されました。
そのため、ジャニーズ性加害問題の影響で、所属タレントの海外での活動にネガティブな影響が出ることを予想する専門家は少なくありませんでした。
特にその影響の直撃を受けるのではないかと心配されていたのが、英語楽曲で海外向けのデビューを果たしていたTravis Japanだったわけです。
しかし、今回のTravis JapanのAGT出演に見られるように、海外の企業の所属タレントに対する扱いは、日本企業のような一律見送りという形ではなく、逆にタレントをできるかぎりサポートする形で動いているようにも見えます。
契約見送りではなく直接契約を判断したP&G
象徴的なのは、10月の段階でいち早く旧ジャニーズ事務所との契約をタレントとの直接契約に変えたP&Gの動きでしょう。
当時、日本企業の多くがタレントとの契約更新の見送りを発表していたタイミングで、P&Gは10月3日に「ボールド」のCMに起用していた菊池風磨さんなど4人と直接契約をし、出演するCMを継続することを発表して注目を集める結果となったのです。
その結果、しばらく旧ジャニーズ事務所の所属タレントのCMとしては、P&GのCMばかりが目立つような状況になったことが記憶に新しい方も多いと思います。
実は性加害問題に厳しい海外の企業ほど、ジャニーズ性加害問題について、加害者である喜多川氏や、それを隠蔽してきた事務所の問題と、所属タレントとの契約をロジカルに切り分けて判断をしていることが良く分かる逸話と言えます。
残念ながら、現在でも性加害問題については誹謗中傷や2次被害が続いているとも報道されており、この問題へのスマイルアップの対応姿勢にも疑問の声が投げかけられていることから、最終的な問題の対応には時間がかかることが予想されています。
ただ、少なくとも性加害問題への事務所の対応と、タレントとの契約は別の問題と切り分けるのが、海外の企業の傾向と言えるかもしれません。
こうした傾向は、新会社であるスタートエンターテイメントが正式に始動して、タレントの所属が補償会社であるスマイルアップから明確に切り分けられれば、より明確になるはずです。
様々な海外での活動が活発に
実際に、海外での活動が再開しているのは、Travis Japanだけではありません。
例えばKAT-TUNの亀梨和也さんは、昨年11月にスペインの映画祭に参加してメディア向けの挨拶もされています。
今年に入ってSnow Manのラウールさんは、ミラノコレクションに参加し、ドルチェ&ガッバーナのショーをフロントロウで観賞し、ジョルジオアルマーニなど様々なセレブとの記念写真をアップするなど話題になっていました。
また、同じくSnow Manの目黒蓮さんも、FENDIのオフィシャルでミラノのショーに参加して話題になっています。
ある意味、長年の忖度の影響で、逆忖度とでも言うべき状況に陥っている日本のメディアに比べると、海外の企業の方が、フラットにスマイルアップ所属タレントに対して接していると言えるのかもしれません。
昨年末には、Snow ManやSixTONESなど、これまでテレビに出演しながら年を越えるのが普通だったアーティスト達が、YouTubeライブでファンとの年越しを行い、YouTubeライブの日本記録を更新するなど、あらためてファンとの絆の強さを証明する結果になっていたのが印象的でした。
当然各グループのネット配信やSNS活用が活性化すれば、海外のファンが増えるきっかけにもなるはずです。
昨年はスマイルアップ所属タレントにとって非常に厳しい1年であったのは間違いありませんが、実はTravis Japanが騒動の後もAGTに出演できたように、逆に各グループも海外展開を本格化するべきタイミングと言えるのかもしれません。
まずは、今回の「Fantasy League」出演を受けて、Travis Japanの米国の活動がどのように拡がりを見せるかに注目したいと思います。