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今度はチョコプラの「TT兄弟」がアメリカで大爆笑。世界にひろがる日本の「お笑い」

お笑いコンビのチョコレートプラネットが、米国のオーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」で「TT兄弟」を披露して、会場を爆笑の渦に巻き込んだようです。

オーディションの様子は、YouTubeにも公開され「TT兄弟」がXのトレンドいりをするなど、日本でも大きな話題になっています。
実際に動画を見て頂ければ、2人のパフォーマンスが徐々に会場中を巻き込んでいくのが良く分かるはずです。

オーディション番組の「ゴット・タレント」というと、昨年「とにかく明るい安村」さんが、イギリス版の「ブリテンズ・ゴット・タレント」に出演し、大爆笑をかっさらったのが印象に残っている方も多いと思います。

実は、今回の「アメリカズ・ゴット・タレント」には安村さんも出演しており、見事に予選通過を勝ち取っているのです。

日本の「お笑い」は、言語や文化の壁の影響で世界に通用しないのではないかと長く言われてきた状況が、ここに来て大きく変わろうとしています。
 

「ゴット・タレント」で日本人の予選通過は普通に

もちろん、「ゴット・タレント」で日本人のパフォーマンスが評価されるのは、もはや珍しい出来事ではありません。

2年前に、Travis Japanをはじめ、多くの日本人のグループが「アメリカズ・ゴット・タレント」に出演して話題になっていたことを筆頭に、昨年は「ブリテンズ・ゴット・タレント」で安村さんが注目されましたし、「アメリカズ・ゴット・タレント」でもアバンギャルディが10年ぶりの日本人の決勝進出をはたすなど、多くの日本人が毎年のように複数出場し活躍しています。
昨年は日本でも「ジャパンズ・ゴット・タレント」が開催されたことも、こうした日本人の海外番組挑戦に好影響を与えていると言えるでしょう。

今年も、「ブリテンズ・ゴット・タレント」では、日本人のダブルダッチのグループ「HARIBOW」が決勝進出をはたしましたし、芸人としては福岡の「ノボせもんなべ」さんが、ゴールデンブザーを獲得したことも話題になりました。

こうした日本人による海外オーディション番組での活躍は、もはや珍しい現象ではないのは間違いありません。
 

チョコプラの「TT兄弟」が成功した意義

ただ、それを踏まえても今回のチョコプラのTT兄弟の成功は、大きな意味があると言えます。

これまで、海外のオーディション番組で評価されてきた日本の芸人は、基本的に裸芸や髪芸と呼ばれる身体を使った芸が中心でした。

こうした芸のポイントは、言葉のやり取りはあまり必要ではないという点です。
もちろん、安村さんは英語がある程度できますし、審査員との会話を通訳無しで実施しているのは、審査員や観客を巻き込む上で重要だったと思われます。
ただ、裸芸や髪芸のような身体で表現する芸は、台詞があまりないからこそ世界中で通用しやすいとも言えます。

一方で、今回のチョコプラの「TT兄弟」は、リズムネタではありますが、ある程度の台詞の掛け合いが必要なコントです。

実際の「アメリカズ・ゴット・タレント」のパフォーマンスを見て頂ければ、チョコプラの2人が単純にTのポーズだけで笑いを取っているのではなく、Tシャツのサイズを大きなお腹を強調しながら「スモールサイズプリーズ」とリクエストするところや、タイタニックのシーンの再現など、コント自体でも笑いを取れていることが分かると思います。

演技後の審査員とのやり取りのタイミングでは、通訳の方が2人の横で通訳をしていますので、2人が英会話に安村さんほど自信を持っていないのは明らかです。
ただ、少なくとも自分達の演技の英語はしっかりと練習して身につけることで、十分に観客を巻き込んだこのパフォーマンスができることを証明してくれたわけです。

しかも、チョコプラは「新しいカギ」など、ゴールデンタイムの目玉番組に複数出演し、冠番組も持っている人気お笑いコンビです。

そんな既に日本での人気を確立しているお笑いコンビが、リスクを取って海外のオーディション番組に挑戦した意味は決して小さくないと言えます。
 

5年前から挑戦していた英語版「TT兄弟」

なお英語版「TT兄弟」は、いきなり今年生み出されたわけではありません。
日本で「TT兄弟」が大ブレイクしていた2019年、実はチョコプラのYouTubeチャンネルに英語版の「TT兄弟」の動画が既にアップされています。

一つ目の演技は今回の「アメリカズ・ゴット・タレント」で披露したのと全く同じものなのが印象的です。

しかも、2年前の2022年には、TT兄弟の海外進出プロジェクトをYouTubeで立ち上げ、真剣に海外進出のための方法を議論されているのです。

ある意味では、今回の出演はチョコプラの2人からすると、5年越しの悲願だったとも言えますし、その試行錯誤があったからの成功と言えるでしょう。

安村さんも、2015年の段階で、四カ国語でYouTubeに動画をアップして海外挑戦をされていましたが、やはりこういう海外挑戦の努力を継続して続けている方々だからこそ、成功に辿り着くことができていると言えるかもしれません。

 

日本のお笑いが世界に見つかる

日本の芸人の「アメリカズ・ゴット・タレント」出演の先駆けとしては、ゆりやんレトリィバァさんが有名ですが、ゆりやんさんは今年に入ってアメリカの音楽フェス「コーチェラ」にAwichさんの「Bad Bitch 美学 Remix」にラッパーとして出演したり、カンヌ国際映画祭では映画監督デビューを発表したりと、海外に活躍の場を広げています。


芸人の方々の間でも、海外への挑戦を続ける人がチャンスをつかむ流れが着実に生まれていると言えるでしょう。

今回の「TT兄弟」の「アメリカズ・ゴット・タレント」の動画公開を受けて、安村さんのYouTubeチャンネルには、3人が演技を終えた後に興奮しながら「日本のお笑いが世界行っちゃうんじゃないか」と話し合う様子が公開されています。

リズムネタも海外でうけるのであれば、自分の芸も可能性があるのではないかと感じている芸人の方は1人や2人ではないと思いますし、安村さんやチョコプラの活躍を受けて、日本の芸人のYouTubeチャンネルやお笑い番組も、世界から注目が高まる可能性があります。

今後の展開次第では、日本の「お笑い」が今まで世界に見つかっていなかったのは、日本の音楽やドラマが今まで世界に見つかっていなかったのと同様に、日本のテレビ番組が日本でしか視聴できないから見つかっていなかっただけという見方すらできるかもしれません。

まずはチョコプラのお二人と安村さんの、今後のアメリカでの活躍に注目したいと思います。

この記事は2024年7月4日Yahooニュース寄稿記事の全文転載です。

なお、月曜日の雑談部屋「ミライカフェ」では、皆さんとこの辺の話も雑談できればと思っています。
タイミングが合う方は是非ご参加下さい。


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徳力基彦(tokuriki)
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