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デジタルで変わったこと:燕三条の町工場の一例

仕事をしている中で最も変わったのは、FAXからメールへの変換でしょう。完全に移行したわけではありませんが。
ものづくりの現場では、主に図面を基に製品を作ります。
図面はCADで製図されたものもあれば、手書きで書かれたものもあります。
基本的には「三面図」というルールにのっとって書かれています。
まず中央に正面から見た図を描き、正面図を右から見たものを右側に描き、下から見たものをした側に描きます。大体のものは三方向からみたずで事足りるのですが、複雑な形状のものは、更に記載する面を追加したり、断面図を追加したりします。
図面をFAXで受け取った際の欠点が、文字がつぶれる、線がかすれるなどです。FAXの性能や送る側の図面の品質などにもよるのでしょうが、小さい数字だと5だか6だか8だか判別がつかなくなります。また見ずらい図面をもとに手打ちで数字を入力してプログラムを作っていくと、どうしても入力ミスが発生し、不良の原因となってしまいます。
現在多くの図面はメールでPDFを添付した形でもらうことが多くなりました。
CADで作成された図面をPDF変換し提供された図面は、モニターの中で拡大することが出来ます。そのため、文字が小さい場合でも拡大して確認することが出来るのです。
ただし、紙の図面をスキャナーでPDF化した図面は、モニターの中で拡大すると文字がぼやけたりつぶれたりするので、必ずしも有効というわけではありません。

もう一つFAXからメールに移管したことによるメリットは、送信履歴が残るということです。メールは消去してしまえば仕方ありませんが、履歴が残ります。いつメールを送ったか、いつメールを受け取ったかということが双方に履歴として残るため、やったやらないというトラブルを防ぐことが出来ます。(迷惑メールとして処理されてしまえば、元も子もありませんが。)
現在FAXでも送受信の履歴を撮っていますが、時間軸ベースでサーバーファイルの中に並んでいるだけなので、あまり使い勝手が良いとは言えません。

図面のPDF化に伴い、CADデータのDXFでの支給も格段に増えてきました。紙の図面のみで打ち合わせしていた頃は、「社内の機密データなのでDXFデータの支給は出来ない」というわけの分からない拒絶をするような会社もありました。さすがに昨今、そのような言い訳を聞くことは無くなりました。
DXFデータで図面をもらうメリットとしては、寸法表記が抜けていてもデータを基にプログラムを作成することができるということです。手入力で修正されている場合は別ですが、基本的にはCADで図面を描く際は、正確な寸法で作られます。そのため図面化する際、寸法線を出し忘れたとしてもモニターの中で確認することが出来るのです。ただし、縮尺された状態で描かれている場合、その縮尺に沿って掛け率を変えてやる必要があります。
また交差が入っている場合も注意が必要です。+0.4 -0 などの交差付きの寸法は、間を取って+0.2補正してやる必要があります。このような交差があるものは他の部品と組み合わさる場合が多く、寸法通りに作ってしまうと相手と組み合わせることが出来なくなる危険があります。

あまりにもデータを過信するべきではありませんが、デジタル化していくことで、仕事の流れもスムーズになっているのでしょう。
今では当たり前のことが、10年前では画期的なことだということも多々あります。

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