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とある国の帝王学
ある所に、何千年もひとつの王朝が支配して来た歴史を持った国がありました。
世界中の国の中で、最も古い王室でありました。
昔は、王様がすべての権力を握っていたのですが、今は、王様は国家元首ではあるものの政治的な権力は持ちません。
ところで、この王室では、世継ぎの王様は必ず男子でなければならないという掟がありました。
過去を遡ると女性が女王の座に着いた歴史もあるのですが、その女王にしても、お父さんは王室の男子です。
そして、その女王は一生結婚せずに、子供も持つことはありませんでした。
こうして脈々と、王様は男系の男子が継ぐという掟を守り続けていたのです。
ところが、ある王様には、男子が生まれませんでした。
少し昔ならば側室を娶って、何とか男子が生まれるべく努力もしたものですが、今は一夫一妻制が固く守られています。
これは一般民衆も同じことでした。
国民は王室の将来を憂いました。
もし、王様に男子が授からなければ、どうなるのだろう?
王様には弟君がいらっしゃいましたが、弟君夫婦にも男子はおらず、女子しか授かっていませんでした。
これでは、数千年続いていた王室が断絶してしまいます。
そんな国民の心配と、マスコミからのプレッシャーによりお后様は病気になってしまいました。
その後、何とかお后様の体調は回復に向かい、とうとう子供をご懐妊することができました。
王室と国民は大喜びでです。
王様と政治家の意見により、子供が生まれる前の性別判定はしないことに決まりました。
さて、10月10日経ってお后様がご出産されました。
生まれてきたのは、それはそれは可愛らしい女の赤ちゃんでした。
王様とお后様、それに国民は祝賀ムードの中にも、男子ではなかったという残念な気持ちも持ち合わせていたのです。
それからは、政治家連中が王室の存続について激論を交わし始めました。
「女王を認める方が良い」「いや、それでは数千年続いていた王室の掟が破られてしまう、王様は絶対に男性でなければならない」と。
お后様は、自分が男の子を生めなかったことで、国中が騒いでいるのをご覧になり、大変心を痛めました・・・。
さあ、議員連中やマスコミが大騒ぎをしている最中に、王様の弟君夫婦に男子が誕生しました。
議員連中や国民は、もう大喜びです。
これで我が国の王室の歴史が途絶えることはなくなったと。
この時に、王様の年齢は50代の前半でした。
自分が王様を何歳まで続けることができるのか、お悩みになる日が増えました。
王様は政治的な権力は持ち合わせていませんでしたが、国家元首としての仕事は多忙であり、お后様の体調不良も心配の種でした。
そして、王様は考えました。
私が、いつ王様を辞めても良いように、弟夫婦に生まれた男子を教育しよう。
いわゆる帝王学ですね。
早速、お付きの者たちに命令をして、最高の帝王学を学ばせる手筈を整え始めました。
ところで、この国では、かって王様は国民を「大御宝」(おおみたから)としていました。
国民はすべて、王様の宝物である、だから、いかなる権力や財力を持ち合わせている人間でも国民を支配することはできなかったのです。
その伝統は今でも続いています。
王様の仕事のひとつには、国民すべての安寧を神様に祈念する儀式も含まれています。
王室と国民は、すべて一体なのです。
さて、話は帝王学に戻ります。
かって、この国の王様であった〇〇王が、国民の竈から煙が立たないのをご覧になって、税金を何年間か免除したことがありました。
次の王様にも、是非このような慈悲深い王様になって欲しい。
その為には、国民の生活を実体験させるのが一番だと、いう話にまとまりました。
そして、すべての国民の中から抽選で選べばれた国民に、この王様候補の男子のお世話がかり兼教師役を任せることとしたのです。
これは、王様候補の男子が幼稚園に入園する年齢から始められることなりました。
こうして、王様候補の男子は3ヶ月毎に、全国民から抽選で選ばれた人間と共に生活をすることとなりました。
お世話係件教育係に選ばれた人間は、王様候補の男子に尊敬語等を使うことは義務付けられましたが、同時に叱る権利も与えられました。
「宮様、それはいけませんよ。物事は途中で投げ出したりしてはなりません」といった具合です。
こうして、すくすくと成長した王様候補の男子は、無事に成人となり、お后様も迎えて、お子様も儲けることができました。
このお子様は、男子だった為に、全国民は大喜びをして、王室の益々の繁栄をお祝いしたのです。
おしまい。
今回は、まったく創作物語を書いてみました。
ここで出てく、ある国とは架空の国で、実在は致しません。
あしからず。
それでは最後までお読みくださりありがとうございました。
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