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もうひとつのラブストーリー(35)「別れ話②」
私達の婚約を祝ってくれる席で、私が切れてしまい、一人でお店を出てしまいました。
その後「ちえ」が追いかけて来たのですが、どうしても引き返す気持ちになれずに、その日は、そのまま別れてしまいました。
その翌日のことです。
目が覚めたら「ちえ」が私の顔を覗き込んでいます。
「おはよう」
「ゴメンね。ピンポン鳴らしたんだげど、出てくれないから合鍵使って入っちゃった」
「う~ん、俺もう「ちえ」とは付き合えないって言ったよな」
「住居不法侵入だぞ」
「ねえ「トクちゃん」、ホントに別れちゃうの?こんなに簡単に別れちゃうの?」
「「トクちゃん」は、ホントにそれで良いの?」
「せっかく婚約したのに···」
「何回も言うけど、信用してくれない女とは付き合えないんだよ。たとえ好きでもね」
「だいたい、同級会で他の女の子と親しく喋るなんて普通のことじゃん。それを、あんなにしつこく怒ったりしてさ···」
「俺が女湯見たって言ったときもそうだよ。別に覗いたわけじゃないのに、あんなに怒ってさ···」
すると「ちえ」は、また泣き出して「私は別れたくないよ~。「トクちゃん」とは別れられないよう···」
「私の悪いところは全部直すから考え直してくれない?」
「私達の関係って、そんなに簡単に別れられるものだったの?」
「簡単じゃないよ。俺は「ちえ」のこと嫌いになったワケじゃないからな。嫌いになれたら楽なんだけど···」
「そうだ、指輪はあげるけど合鍵は返してもらわないとな。不動産屋に返さないといけないから」
「俺があげた物も返さなくて良いからな、いらないものはぜんぶ捨てて良いよ」
「ホントにホントに私達終わりなの?」
「「ちえ」の尻に敷かれるのは別に良いんだけどけど、縛られるのはもう嫌なんだよ···」
「ゴメンね。私もう「トクちゃん」のこと縛ったりしないから、ねえ、もう一度やり直そうよ」
「「ちえ」昨日も言ったけど泣くのは反則だぞ。せっかく別れるって決めたのに気持ちが揺らいじゃうじゃんか」
「だって~。私、「トクちゃん」と別れるの嫌だよ~」
「別れられないよう~」
「ちえ」は泣きじゃくっています。
「···」
「「トクちゃん」のことは信用してるんだけど、どうしても嫉妬しちゃうんだ⋯。でも、それも直すから」
「お願いだから今まで通り付き合おう、結婚しょうよ」
「···」
「結婚したら、俺、よけい縛られそうで嫌なんだよ···」
「「ちえ」のことは好きだよ。でも、それと縛られても我慢できることとは違うからな」
「ところでさあ、3次会どうなった?せっかくの婚約祝いの席だったのに俺、途中で帰っちゃったからなあ···」
「みんな心配してたよ。「トクちゃん」が本気で怒ってるみたいだったから···」
「そうか···。みんなには悪いことしちゃったなあ···」
「ねえ、「トクちゃん」どうしたら私のこと許してくれる?私、「トクちゃん」が許してくれるならなんでもするから」
「ちえ」の顔は、涙でぐしょぐしょでした。
その顔を見ていると、やっぱり「ちえ」とは別れずらくはなりました。
しかし、このまま、ずっと「ちえ」のヤキモチに耐えていく自信もありませんでした。
「俺、もう「ちえ」とやってく自信なくなったんだよね···」
「そんなこと言わないで···」
「悪いところは全部直すから···。お願い」
「「ちえ」泣き顔を見せるのはホント反則だぞ、せっかく別れるって決めたのに、気持ちが揺らいじゃうじゃんか···」
「もう、別れるって決めちゃたの?もう、私が何をしてもダメなの?」
「ちえ」の顔は涙で化粧が完全にとれていました。
その顔を見ていると、決心が鈍ります。
「なあ「ちえ」俺に1週間だけ時間をくれないか、1週間でもう一度よく考えてみるよ」
「うん、分かった」
「それから、化粧し直して帰りな。お父さん、お母さんがビックリするぞ」
「うん···」
「じゃあな。気をつけて帰れよ」
せっかく化粧を直したのに「ちえ」は、また泣いていました。
つづく
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