スイカゲームクローン ロロパズミクスの企画意図と改善点
ガンヴォルトやX(イクス)シリーズのキャラクターのROROの曲を使ったスイカゲームをインティクリエイツが突然発表し、すぐにストアで配信開始。
今のところswitch版が先行で配信開始されたが、PSやsteam版も少し遅れて配信される。
私は音ゲーの方はPS5版を買ったが、このパズルゲームは2D系なのでグラフィックの劣化も無いだろうという事でswitch版を購入した。
表向きには「元はエイプリルフールネタとして作っていたが、ついでに売ってしまいました。」と会社側は言ってはいるものの、実際はガンヴォルトの音ゲーをリリース後にこの音ゲーの売れ行きを増やすために今作を企画して短期間で作ったように見える。
「元はエイプリルフールネタです」と言う逃げ道を用意しているのは、「スイカゲームそのまま」「ぱくりが酷すぎる」という非難をかわすためでもあるんだろう。
「エイプリルフールネタで作ったならそのままでも仕方ないか」みたいな雰囲気を醸し出すために。
内容的にはスイカゲームほぼそのままでオブジェクトの形に若干癖があるのと、なんか不自然な跳ね上がりが強いというのがある。
この作品の場合は「スコアが1600点を越えると新しい曲をゲットできる」という風になっていて、曲数もそれなりにあるのでプレイを続けるモチベーションになって良いと思う。
バックでずっと流れるROROの曲は私がファンな事を差し引いても名曲が多く、その魅力的な歌を聴きながらスイカゲームをプレイできるというのがこのゲームの良いところの一つだ。
その曲に飽きてもLRボタンですぐに別の曲に変更できるし。
スイカゲーム自体はそこそこ面白いパズルゲームではあるものの、バックでずっとノリの良い歌が流れているとさらにプレイ時の気持ち良さが増してかなり良い。
2月に出たガンヴォルトの音ゲー「ガンヴォルトレコーズ サイクロニクル」は、以前レビューしたように「映像が汚いのでアップデートで改善しないといけない」という大きな問題点がある。
この問題は放置せずきちんと改善しないと、長く売り続けるインディーゲームの場合はこのせいで評価がずっと下がった状態になって売れ行きを落とし続けるという事になりかねない。
switch版は任天堂の制限でアップデート容量に上限があって難しいかもしれないが、PS版やsteam版などはきちんと動画のビットレートの低さは改善すべき。
この音ゲーの売れ行きを増やすために今回の「スイカゲーム丸ぱくり作品を出してみる」というのを企画したように見える。
今作は値段はそこまで高くないし、以前からスイカゲームに興味があった人などが「こっちの方が魅力的な曲がいろいろ聴ける」という事で買う人もそれなりにいるだろう。
そしてプレイするほどROROの曲にはまり、「この魅力的な曲で音ゲーが楽しめるのか」という事で2月に発売済の音ゲーを買って遊んでみようという人を増やす効果が期待できる。
このゲームの企画者はそういう事を会社の上層部にプレゼンしていただろう事が想像できる。
また、このパズルゲーム単体でもそこそこ儲けを得るだろう。売り上げ面でもおいしい企画だ。
「本家のスイカゲームと違っていろいろな曲が楽しめる」という事を魅力に感じて買う人もわりといて、元々開発費もかかっていないから利益を得やすい。
スイカゲームは今のところswitchとスマホでしか出ていないが、世界でユーザー数が多いPSやPCユーザー達の中にもずっと遊びたいと思っていた人もかなり多くいるので、そういう人達の中で今作を買う人が結構出てきてワールドワイドでは上手くいけば20万本を超えるかもしれない。
このゲームの開発費は200万円もかかっていなさそうなので、それで4000万円以上稼げたらかなり美味しい。
PSユーザーは日本だけでなく世界的に見ると以前書いた以下の記事のように実はゲームをかなり買っていて購買力が高い。
そこに未だ出ていないスイカゲームのクローンゲームを出すと実は結構売れ行きが期待できる。
<このゲームの改善点>
今作は予算をあまりかけずに作ったのだろうが、このまま放置せずアップデートでもうちょっと作品の魅力を増やすとこのゲームの売れ行きが増え、またそれによってガンヴォルトの音ゲーの方の売れ行きも増やす効果が期待できる。
私がプレイして感じた改善すべき点は、「エフェクトのON・OFFを追加し、ONの場合はオブジェクト結合時にもっと気持ちよくなるようなエフェクトと効果音を出す」という事。
今のところオブジェクトがマージ(結合)された時にROROがなんかセリフを言うだけだが、もっとオブジェクト周辺にグラフィカルなパーティクル的なエフェクトを表示し、効果音もデフォルトよりもっと気持ち良い音を鳴らすようにしたらプレイ時の気持ち良さがかなり向上する事になる。
ゲームにおいては「気持ち良さ」というのは何よりも大事だ。これがきちんとしているとユーザーの評価も高くなってより売れ行きが増える事になる。
インディーゲームの中にはこの「気持ち良さ」を軽視している作品が少なくなく、そのせいでプレイ動画でずいぶんと味気ない風に映って売れ行きを大きく落としている作品がわりとある。
あと右下にずっと表示されるROROの顔はタイトル画面とは雰囲気がずいぶん違う。デザイナーの方には悪いがデザインがいまいち。
できればこのプレイ中にずっと見るROROのデザインはもうちょっとタイトル画面に近いキャラデザインに変更できるようにもしてくれたらと思う。
これもオプションで切り替えるようにして。(「デフォルトデザイン」「追加デザイン」みたいな)
今作の企画意図としては「この値段の安いパズルゲームで曲にはまらせて、音ゲーを買ってプレイしたいと思う人を増やす」というのがあると思うが、次はモルフォとかの曲を聴きながらまた別のタイプのパズルゲームが遊べるやつを安く出したらどうかと思う。
そっちの方でも音ゲーの売れ行きを増やす効果が期待できるだろう。