PS5でも出るゲームのPC版の要求スペックが最近は高くなってしまっている色々な理由とは (モンハンワイルズ、FF16、その他)

PS5でも出るモンハンワイルズのPC版の最低動作環境、推奨動作環境が公開されましたが、必要スペックが高い事で話題になっています。
私が個人で使っているパソコンは二年前にGPUに5万円以上出したのにVRAM容量が今となっては少なくて足切りに。
ずっと二年前に買ったPCのグラフィックカードのVRAM量は4GBと勘違いしていたが、実際は12GBのを選んでいたみたい。モンハンワイルズも一応動く。

モンハンワイルズのPS5版はおそらくフルHDモードだとフレームレートは60は安定して出ず、シーンによりますが45~50fpsに落ちるという感じになるのではないでしょうか。
4kモードだと疑似4k(アプコン)で表現して30fpsは安定して出ず、25fps前後くらいになるのではと。

PS5でも出るはずのゲームのPC版が最近は要求スペックがずいぶんと高くなってきたのにはいくつも理由があります。
それを今回解説してみようと思います。

<ゲームエンジンのPS5やXBOXへの最適化がこの4年ほどでずいぶんと進んだ>

unityやunreal engineは機能追加だけでなくコンシューマ向けの物はそのハードウェアへの最適化が年々進みます。
PS5やXBOX SXは発売からもうすぐ4年くらい経過する事になりますが、その間にunreal engineやunityなどのゲームエンジンはよりPS5やXBOX SXのハードウェアの限界まで性能を使えるよう最適化がずいぶん進んでいったという感じです。

PC版のunreal engineも年々処理の最適化が進んでいってますが、ハードウェア構成が多彩なPCだとハードの限界までゲームエンジンの処理の最適化が行えず、そのGPUのパフォーマンスをフルに出しきれません。

シェーダーユニット数や動作周波数、TFLOPSの値などからPS5のAPUのGPU部分はRTX2070くらいと言われていましたが、今は最適化がずいぶん進んだためもう少し上の性能のパソコン用GPUと同じくらいの性能になっていると思います。

PS2やPS3時代も初期に出たゲームに比べて後期に出たゲームはずいぶんとグラフィックがパワーアップしていましたが、それはハードの限界まで性能を引き出すためのノウハウがたまっていったからです。

unityやunreal engineなどのゲームエンジンもリリースから年月が経過するほどよりコンシューマ機の限界までハード性能を引き出せるようにバージョンアップしていってるのです。


<圧縮データの解凍にPCはCPUやGPUに余計な処理負荷がかかってしまう>

ゲーム用のデータは生データではなく圧縮データとしてSSDなどに格納されます。
圧縮しないとデータ量が大きく膨らんでしまうからです。

PS5やXBOX SXは、SSDから読み込んだ圧縮データを解凍するための専用のハードウェアが搭載されているため、CPUやGPUは余計なパワーを取られません。
しかしPCではそういう専用のハードウェアは搭載されておらず、今のところはCPUやGPUの演算ユニットを使用してデータの解凍をしていくしかありません。
この処理が実は結構負荷がかかってしまいます。

最近のゲームは「データのロードポイントでまとめてデータを読み込む」という昔のような方式ではなく、「ゲームプレイ中に裏で大量のデータをSSDから読み込みまくり」という事がわりと起きやすいのです。

PS5やXBOX SXならCPUやGPUは純粋にゲームの動作に性能を使えますが、パソコンの場合は「SSDから読み込んだ圧縮データの解凍作業」という事にCPUやGPUの演算ユニットを一部使う事になるため、CPUやGPUに余計な負荷がかかってしまうのです。

今後パソコン用のゲームで「SSD必須」というタイトルはずっとこの問題を抱えていく事になります。

PCをこれから買う場合は「CPUは結構性能の良い物を選ぶ」という事をしないと、SSDから読み込んだデータの解凍作業でCPUパワーがそこそこ使われ、CPUがボトルネックになってフレームレートの低下などを引き起こすという事が起きてしまうようになります。


<一つのRAM上でCPUとGPUが同時にアクセスできる方が処理が早くなる>

PS5やXBOXはAPUという形式で、一つのRAMをCPUとGPUが同時に使用しています。
一方PCの場合はCPU用はRAM、GPUはVRAMという感じで使用するRAMは分かれています。

ゲームにおいてはCPUとGPUが同じデータを参照する必要がある時がわりとあり、その作業はAPU形式の方がより早く処理を行えるというのがあります。

<VRAM量が足りない問題>

最近のPS5やXBOX SXのグラフィックリッチなゲームではVRAMとして8~10GBくらい使っているのが多く、PCでVRAM量が8GBとかもっと下だとVRAM量が足りない事によるパフォーマンスダウンが起きてしまいます。

詳しくは以下の記事で解説しました。


最近出たPC版FF16も「重い」という声が多いですが、上記のような色々な理由でPC版は重くなってしまっているのでしょう。
FF16やモンハンワイルズだけでなく、今後PS5やXBOX SXでも出るマルチソフトのPC版は要求スペックはずいぶんと高くなるという事を考慮し、より高い性能のCPU、GPU(VRAMも12GB以上)を金がかかっても選択した方が良いと思います。


以下の記事も良かったら参考に。

マルチソフトのPC版は同じゲームでもPS5版よりゲームのインストール容量がずいぶんと増える事が今後多くなるため、1TBしか搭載していないゲーミングPCは購入時にSSD容量を増加しておくのを強くおすすめします。