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スマホ依存と承認欲求

SNSと承認欲求に関する論文が発表されました。


「承認欲求とソーシャルメディア使用傾向の関連性」というタイトルで、発表したのは加納寛子准教授です。


今回はその論文が一体どういう論点で書かれているのか、そしてその論文を更に掘り下げた質問への回答を踏まえて、解説していけたらと思います。


まず、ソーシャルメディアを使ってトラブルが起きることが最近よく話題になっていますが、ソーシャルメディアを利用してトラブルが起こることを実際に体験している人がいるようです。
ただし、「ソーシャルメディアを利用してよかった」という意見は日本で7割を超え、実際にトラブルが起きたという人は2割にとどまっています。
こうした内容から、トラブル経験よりも魅力的であるソーシャルメディアについてアンケートを取り、分析を行なっています。

加納准教授は、「つねに誰かとつながっていないと不安でしかたがない.つねに周囲から認められていないと耐えがたく,その関係から外されることに恐怖さえ覚えてしまう」と引用しており、人間が人とのつながりを求める普遍性が、ソーシャルメディアの「いいね」ボタンによって承認欲求を満たす手段となっていると指摘しています。


また、「いいね」を押す際には、本当に心からいいと思ったものにだけ「いいね」を押すのではなく、相互承認の可能性があることを指摘しています。
「いいね」には、相手との関係性や思いやり、気持ちなど複雑なものが関連して「いいね」を押すことにつながっているのではないかという考えです。
しかし、これは関係性がある周囲の人々とのソーシャルメディアにのみ適応される考え方で、赤の他人である不特定多数は、真に「いいね」と思わなければ「いいね」ボタンを押してはくれない。


「いいね」をする投稿は、他の人と違って目立っていたり、面白かったり、派手であったり、美しかったりしなければならないために、ソーシャルメディアを利用する人々は過激なものを求めてしまうのではないかという推測をしています。


論文の内容としてはソーシャルメディアの使用率と承認欲求の高い・低いについてアンケートを取った結果が記されています。
アンケートは22人の学生から取っており、様々な項目から承認欲求の高い低いを炙り出し、Twitterや instagram、YouTubeやLINEを利用するなど、事細かなアンケートが取られています。

このアンケートの結果から、承認欲求が低い人はソーシャルメディアを使用しない傾向にあることが分かりました。
調べ物をする際にはスマホを触りますが、Twitterや instagramなどを利用することはありません。
対して、承認欲求が高い人は調べ物以外でもスマホを触ることが多く、Twitterや instagramなどをよく見ています。
これは「いいね」をされているかを見たり、「いいね」をしなければならないと感じている人が多いのではないかと推測できます。
なぜなら「いいね」をするためには、常時スマホを見ていなければならず、実際に承認欲求の低い人はスマホをあまり触らないというアンケート結果が出ました

現実では満たされない承認欲求をソーシャルメディアに求めて、インスタ映えなどを狙っている人が多くいるのです。
このスマホ依存を克服するためには、現実世界で、自己実現や勉学、仕事などで満たすことが大切だと述べられています。


ー 22名を対象に決めた理由を教えてください。

授業を受けていた人はもう少しいたんですが、回答したのが22人ですね。


ーその22名はどういう人でしょうか?
可愛い人でかっこいい人でオタクな人など

覚えてないですね。
授業中受けてる感じでは、みんな普通の子だな、という感じがしました。

ーもし、その22名に再度調査したら結果はになっていると思いますか一緒になっていると思いますか?

わからないですね。
多分それぞれだと思います。


ー人間は1年あったら変わると思います。もしくは時を経ると自分のタイプなどが変わるのではないでしょうか。

不安を感じている人が不安でなくなるということはないので、変わらないのではないかと思います。
ただ、就職した際に学生時代と同じようにSNSに書き込んでいたら、上司に呼び出されてクビにされそうになったのでSNSから足を洗ったという人はいましたね。

ー承認欲求が高い人でスマホを触らない人は何をやっているのでしょうか?

アンケート結果を見ても、高低で際立った違いは見られません。

予測では起業したり芸術的なことに打ち込んだりして、自己実現するのではないでしょうか。

ーインスタグラムとTwitterの属性についてはどう違ったのでしょうか?

instagramはリアルで自己実現している人がしているように思いました。
Twitterでは、リアルで満足していない人がネットで色々書いているのではないかと思います。
ただ裏付けとして、アンケート項目への回答がある訳ではありません。

ーTwitterでの承認欲求とinstagramでの承認欲求は違うと思うのですが、アンケートではどう違いましたか?

アンケートでは違いはないのですが、仮説としては、instagramはリアルタイプ、Twitterはネットタイプなのではないかと思います。
どこどこに、遊びに行ったとかリアルが充実してることをアピールしたい人がinstagramを利用しています。

また、instagram利用者は、食事の食べ方が汚い人に対して嫌悪感を抱いていることがアンケート結果から分かりました。
知ったかぶりをする人や空返事をする人に対しても、嫌悪感を示してるようです。

ーブログを書く人は承認欲求が高いと踏んでいます。その子は基本的に高群に入りましたか?

ブログを書く人は一人しかいなかったのですが、高いと回答しています。
だからブログを書くんではないですかね。


ーfacebookを利用する人で承認欲求が高い人は、友達が多いのではと思います。Twitter、インスタでも同じようなことが起こりましたか?

Facebookを利用している人は承認欲求は別に高くないですね。
Twitter、instagramの利用者はYouTubeを利用している人が多いです。

ーLINEを利用しない人でメール利用する人はどういうタイプの人だったのでしょうか?
また、なぜLINEを利用しないのか?
どれくらいの頻度なのか聞きたいです。

メールも利用してないですね。
何か検索する時ぐらいしかネットは使わない。
おそらく現実社会でコミュニケーションが完結しているのだと思います。


ー承認欲求が低い人は何に依存してるのでしょうか?

現実のサークルとかのコミュニケーションを取ってるのではないでしょうか。

ー承認欲求とネット検索(常時)における関連性は基本的にないと思うんですが、何故関連性を作ったのですか?
大学生は勉強時やレポート提出時になんでも調べてスマホで論文を書こうとする人もいます。

私は関連性があると思っています。
承認欲求が高い人は色々情報に過敏なのかなと思って、ネットを常に使って、承認欲求が低い人はあまり使わないと思ったりしたんだけれども、さほど関連性はなかったということでした。

ー承認欲求とネット検索の関連性についてはどういうところが関連するのでしょうか?
例えば承認欲求が高い人はインスタでオタクアカウントを所持しているなど

承認欲求とネット検索については、やはりさっき言ったように承認欲求が高い人がネットをよく利用するのではないかと思いました。

オタクアカウントを持ってるような人は、恐らくたくさんのアカウントを持っているような気がします。
アカウントを複数持つことは、現実世界の関係性を保つためのアカウント、オタク活動をするアカウント、いわゆる裏垢と呼ばれる自分の愚痴や悪口を書くアカウントと分けている人が多いのではないかと推測できるのです。


ー承認欲求が高い人低い人でSNSの誹謗中傷された経験はどう違うのでしょうか?
逆に傷つけた経験はある人がいたのか?その人は承認欲求が高い人ですか?それとも低い人ですか?

ネット上でいじめを受けたことがあるから、ネットでは一切承認欲求を求めない人がアンケート結果にはいました。


ー加納先生がこの論文を書こうと思った経を教えてください

若者には承認欲求が高い子と低い子がいるなあと感じていて、ネットをほとんど利用しない子も夜寝る前にずっとネットをやってるという子もいて、その子たちがどう違うのかについて知りたいと感じました。
あとは、少し前の事件になりますが、秋葉原無差別殺傷事件について犯人が事件についての予告を詳細にネットに書き込んでいた事実が残っています。
彼はおそらく誰かに止めてほしい、反応してほしいと思ったにも関わらず、誰からも反応がなかったことから事件を実際に起こしたのではないかと。
そんなに人のことをネットで見ている人はいないのに、自意識過剰だったことは承認欲求が高いことを示したのかなと思ったからです。


ーまた同じジャンルの調査をして欲しいのですが、次に調査するとしたらどのような調査をしますか?

ネット上での承認欲求は調査しましたが、リアルの承認欲求、例えば会社だったり人間関係での承認欲求は調査していないので、そのことについて調査したいです。 


まとめ


承認欲求の高い低いはスマホの利用時間とソーシャルメディアの利用率に深く関連があり、承認欲求を現実世界で満たせない人々がスマホ依存に陥りやすいということが分りました。

こういった関連性について深く考えることで、自分自身の承認欲求とも上手く付き合っていけると思います。
今一度、ソーシャルメディアとの関係性が問われています。

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