ストレスのないコンテンツを求めてー過激派の「次」
YouTuberが職業として確立してから、その中でも様々なジャンルのチャンネルが現れたり消えたりしてきました。
美容系や動物系、商品紹介や大食いなど多岐にわたります。
流行というものは時代の影響が多いとも言われ、テレビに代わるとも言われるYouTubeコンテンツにもまた、流行り・廃りがあります。
今回はその中でも過激派と呼ばれるジャンルの流行と、今後求められるジャンル・コンテンツについて考えていきましょう。
過激派の流行
YouTuberの中でも、初期から一部で爆発的に人気を獲得していたのがいわゆる「過激派」と呼ばれる活動者たちでした。
テレビなどでは放映されない、けれども、昭和や平成初期のバラエティならあり得たようなスリルのある内容が人気でした。
若者のテレビ離れの原因は刺激の少なさだとも言われますが、まさにその「刺激」が求められた結果の流行であると考えられます。
具体例としては、多額のポケットマネーを利用してお祭りのくじ引きの不正を暴いたり、心霊スポットで悪ふざけをしたり、テキーラの直瓶をしたりなど、見ていて面白いけれどスリルのある、YouTubeの中でも内容のパンチが強い、テレビ的な内容です。
事務所所属でなければスポンサー制度がなく、完全にフリーで、YouTubeに消されたり触法行為だったりしない限りは自由に動画を作成・投稿できるのがYouTubeの面白さ。
テレビから消えた面白さや刺激を求めた視聴者のニーズにぴったりと当てはまりました。
迷惑系と呼ばれる人々の出現
過激派の流行に乗る活動者は多かったですが、行き過ぎた行為は警察沙汰や迷惑行為となり、世のYouTuberのイメージダウンにも繋がっていきました。
販売されている生鮮食品を会計前に開封したり、交差点に寝具を持ち込んだりしてお縄になったへずまりゅうが代表でしょうか。
反省の色がないとして、様々な法的ペナルティを負う結果となりました。
また、コロナ禍での30人ほどでの飲み会やコンビニの敷地内でのたむろで報道された人気活動者たちもいましたね。
週刊誌に追われるほどに、今や娯楽コンテンツの中心となっているYouTuberですが、有名である自覚が薄く、それ故に一般人的な感覚で「まあいいか」と行動した結果、とんでもない批判を浴びることになる事案も多いです。
該当活動者のファンは、「迷惑な人を応援している人」と思われることもあるため、声を大にして過激派YouTuberのファンと公言しない・できない場合もあるんだとか。
ストレスを緩和するコンテンツ
それでは、過激派の「次」は何が求められていくのでしょうか。
過激派は、「テレビにない刺激」を求められた結果人気になったジャンルでした。単純な思考ですが、既にYouTubeという娯楽が定着した今は「過激派にないもの」が求められると考えられる気がします。
もちろん、法に触れない内容や人様に迷惑をかけない内容であれば過激派も「刺激」としての需要はあり続けると思いますが、その過激派にないものというのは「安心感」ではないかと思います。
見ていてソワソワしたり、怖かったり、心配したり、そういったことは精神的なストレスと言えます。国民の約半数が普段の生活でのストレスを抱えている日本人*にとって、娯楽でまで更にストレスを重ねたくないと考える人は多いのではないでしょうか。(*厚生労働省国民生活基礎調査2019)
むしろ、日頃のストレスを緩和してくれるようなコンテンツが求められていると考えられます。
実際に、最近勢いのあるYouTubeチャンネルを見てみましょう。
佐伯ポインティのwaidanTV
佐伯ポインティのwaidanTVは、株式会社ポインティが運営するチャンネル。
内容は主に、SNSのフォロワーから匿名で様々な猥談を集め、ピックアップしたいくつかに佐伯ポインティがコメントしていくというものです。
猥談動画は自宅で撮影しており、外出する動画はほとんどありません。
別の活動者とのコラボはなく、内容も匿名での猥談募集ということで、見ていて炎上の不安などはありません。会社として運営しているという点でも、一定の信頼感がありますね。
また、佐伯ポインティはどんな猥談に対しても否定的な言葉やマイナスなコメントをしないこと、「色んな人がいるよね!」という笑顔のスタンスなので、見ていてネガティブな気持ちになることが少ないことも特徴です。
以前にYouTube側から、性的なコンテンツとしてチャンネルを凍結されたこともありましたが、復活して現在も継続して活動しています。
また、同じく株式会社ポインティの運営するチャンネルに「純猥談」もあります。こちらは、募集した猥談などをもとにショートフィルムとしてコンテンツ化した動画を配信しています。短編映画ですね。
短編映像から、テキストで楽しむ「見るドラマ」や、音声をメインに楽しむ「聴くドラマ」などが配信されています。
こちらは完全に活動者の動画ではなく作品の配信チャンネルであるため、ガイドラインに引っかからない限りは映像作品の娯楽として受け入れやすいものと考えられます。
板橋ハウス
板橋ハウスは、板橋でルームシェアをしている男性芸人3人のチャンネルです。
TikTokでバズったことをきっかけに、今非常に勢いのあるチャンネルの一つとして注目されています。
廃止されている動画は主にお部屋の中での3人の「遊び」で、外が写るのはコンビニまでの道中くらいですが、基本的に夜なので画面にはほとんど何も映りません。
コラボは最近増えてきましたが、身内や芸人繋がりなのでトラブルの心配はあまり感じません。
外に出ず、モノを使う時はコンビニへお買い物か、家にあるもので。という内向的な内容と、3人の男子高校生の休み時間を思わせる遊び方と笑顔・笑い声に思わず笑ってしまいます。
あくまで芸人が本業ということもあるためか、大金を使ったり、外で大きな企画をしたりということはありません。
芸人らしく、かつ仲良し男子3人組らしく、とにかく「面白い」「楽しい」を提供してくれるチャンネルです。
安心感を求める視聴者
今回紹介したチャンネルのように、ドキドキや緊張感・スリルよりも、笑いや安心、あるいは作品として確立したものを提供しているチャンネルが勢いをつけています。
刺激的なものが人気になり、暴走する人や炎上を目にすることによって、そういった過激なコンテンツを追いかけることを避ける視聴者が増えているのかもしれません。
それでも娯楽を求める結果として、視聴者は笑いと安心を求めているようです。
まとめ
HIKAKINを筆頭に、娯楽コンテンツとして浸透したYouTubeですが、やはり安心して応援できるというのは視聴者にとっては大きなメリットでもあります。
人や社会に迷惑をかけないという大前提を忘れずに、楽しいコンテンツが増えることを期待するばかりですね。