同人女の感情を読んだ。今の自分と柚木を重ねて泣いた。


同人女の感情という漫画がある。
真田(@sanada_jp)氏がTwitterにて連載していた漫画だ。

今まで気になっていたものの読んでいなかったけれど、
ついに完結したと小耳に挟み、今さら読んでみた。

基本的に自分は同人女と呼ばれる人たちに明るくないが、主人公の同人女たちの人間らしい嫉妬などの感情について丁寧に描かれており、なるほど、こういう感情が湧くこともあるだろう。と思いつつその人間模様を興味深く読んでいた。シンプルな絵柄にわかりやすい構成で、あまり漫画を読まない自分もスラスラ読むことができた。

そして最終話。
それまではどこか他人事のように読んでいた自分だったが、この話の前編での主人公の柚木と彼女を取り巻く状況に関して、今自分が置かれている状況と見事にリンクしてしまい、恥ずかしい話ボロボロ泣いてしまった。


先日、このようなnoteを書いた。
https://note.com/tokumei_mikuhai/n/n2e83b422e430


簡単に上のnoteを説明すると、自分が数年前からハマっているボカロの話で、公式からつい最近新しくリリースされたプロジェクトセカイという『公式発信の二次創作』ゲームが受け入れられなくて(地雷になってしまって)辛い。といった内容のnoteだ。
この説明だけだと、ボカロに詳しくない人間からすると「公式が地雷ってなに言ってんだ?」と思われるかもしれないけれど、まぁ詳細は上のnoteを読んでほしい。


主人公柚木がハマっていて二次創作を楽しんでいたジャンルに突如現れた神(=綾城)、その登場により自分以外のファンたちがその神を祭り上げていく様、それについていけない柚木。

この構図が、『キャラクターに詳しい公式設定がない』前提のボカロというジャンルで、数年間二次創作を楽しんでいた自分と、新しく公式という名の神からリリースされた『公式発信の二次創作』ゲームとそのキャラ解釈、それに湧く界隈、それについていけない自分という構図に見事に重なってしまった。

柚木の言い知れぬ黒い感情がとても理解できる。
突如現れた公式ではない一つの解釈によって盛り上がり騒ぐ界隈、それに乗ることができず、仄暗い感情ばかりが湧く自分。関連の単語をミュートしていく柚木には笑ってしまった。自分と全く同じではないかと。仲のいい仲間が皆それを受け入れそれで盛り上がっているのを冷めた目線でしか見れない自分。読みながら、柚木の心情を察して、あまりにも辛い状況ではないかと思わず泣いてしまった。

結果、後編の冒頭で明かされた柚木の感情について、柚木は神とされている綾城に『嫉妬』していたということであるから、感情の面で柚木と自分が完全にリンクしたわけではない。自分がセカイというゲームに抱いているのは決して嫉妬や劣等感という感情ではない。また自分は推しのキャラクターが死んだりしたわけでもなく、神の解釈(二次創作)に救われたわけでもない。しかし、自分以外にも似た状況で苦しんでいる、あるいは苦しんでいた人間がいたのかもしれない、と思うと少しだけ孤独感は紛らわすことができた。

柚木は、最後の最後で綾城について「やっぱりムカつく」と言いながら、結果綾城を認めた形で終わっている。

柚木が単純に羨ましい。
自分もいつかセカイというゲームを受け入れることができる日が来るのだろうか。それは分からないし、まだしばらく自分の暗い日常は続くだろうと思うと、目の前は暗くなるばかりだ。

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