tokumei-kibou
数秒、数分だけでも、君と一緒に人生をサボる為のエッセイ。
第一回エッセイ。
ふと夜空を見上げれば、吸い込まれそうな感覚になることがある。 そう思ってしまう日は、きっと何かに疲れた日。 それに一度気づいてしまったら、布団に辿り着くまでの時間、ずっと落ちていく、どんどん深く、よくない方向に。 布団は守ってくれるけど、僕を助けてはくれないんだね。 誰か助けて。 って、また他人任せ。 自分のことだろ、自分で救えよ。 弱音を吐く自分を言葉でぶん殴る。 明日が今日より、少しだけでいいから、いい日になるといいな。 おやすみなさい。
ただ、生きているだけのような気がする。 そんな風に思ってしまうのは、周りにいるみんなに失礼だ。 人は、一人では生きていけない。できる、できないの話だけではなくて、どう生きても、僕らは誰かと関わってしまうから。 眠れない夜に「死にたい。」と零して、助けて欲しいと願う矛盾。 朝が来るたびに自分に嘘をついて、家の扉を開ける。 わかってもらえないかもしれないけど、きっと沢山頑張っていることがあって、精一杯、少しでもこの生活がよくなるように変えたこともあって、だから、生きてい
僕らはみんな、違うものを持っている。 姿、心、言葉も、違っている。 ひとりになりたいと時々思ってしまうことがあるけれど、そのたびに思う、ひとりじゃなかったおかげで、今の僕はここにいるんだ。 伝えたいことは沢山あったはずなのに、いざ話そうとすると言葉にできなくなるのが悔しい。このご時世、会いに来てとは言えないけど、来てくれた君が、心からここに来てよかったって思ってもらえるような空間作り(感染対策も含めて)がしたいです。 糸くんとの二人展まであと二週間。 届く、届かない
最後の話をしよう。 君は知っていますか? 君の色をした空があること。 そしてそこで泳ぐ鳥が、とても幸せそうだったこと。 海で魚が溺れたこと。 夢を叶えた人が、必ずしも幸せにはなれないということを。 人は弱い生き物だ。 だから知らないことがあると不安になって、勝手に想像して、勝手に決めつける。 名前に意味はないのかもしれない。 言葉に意味はないのかもしれない。 でも、僕は君の名前が好きだ。 君が嫌いと言った、君の名前が好きだ。 思い通りになんて最初からなるわけがなかったんだ。
17歳の頃、同級生が飛び降りて死んだ。 今でも少し、その子が羨ましいと思ってしまう自分がいる、それが嫌で、でも、その気持ちもわかる気がして、僕はまた思い出す。 大丈夫じゃない人に「大丈夫。」なんて言えないし、すでに頑張っている人に「頑張れ。」なんて言えない。言葉で心は簡単に潰れてしまう、よくも悪くも、心は自分が思っているよりも脆いから、慎重に言葉を選ぶ、その結果何も言えなかったとしても、誰かを殺すよりもずっとマシだ。 コロナで色んな調整が行われて、今日から学校の人がどれ
喉の奥に閉じ込めた言葉は、心に戻って、底に沈む。 言えなかった。後悔した帰り道、自分を責める、弱い、情けない、ずるい、そんなことないって、思いたかった。届かなくてよかった言葉だってあるはずだ。思ったことを何でも吐き出していたら、きっと周りに誰もいなくなる、自分勝手だ、それは、だから言えなかったことは悪くないよ、弱くないよ、君は、多分、優しいだけだ。 そんなこと言われても、響かないのは、僕が君のことを何も知らないから。全部綺麗事に聞こえる、嘘に思える、自分だけが悪い、他のこ
絶対に忘れないから。 そう言ったくせに、人は簡単に忘れてしまう。忘れられないことも沢山あるけど、その違いはとても曖昧で、あれだけ嬉しかったことも、あれだけ悲しかったことも、忘れてしまえば、全部同じ、真っ白になる。それが積み重なって心はできているなら、心の色は限りなく白に近い薄い色、でも、そのくらいの方が優しくていいかもね。色が濃いほど重たく、痛く感じるから、どんどん忘れて、最低限の色だけで生きていきたい。忘れたからといって、失くなったわけではないから、色が白く変わっただけで
暑い日に限って職場のエアコンが壊れるのはどうして? 多分それは、普段よりも頑張っているからで、そう思うとなんだか許せてしまう気がするし、ちょっとだけ可愛くも思えてくる。 頑張り過ぎると、人も壊れる。 いつもなら気付けている優しさや愛情に気づけなくて蔑ろにしたり、自分のことばかりを考えてしまったり、単純に体調を崩したり。 頑張ることと同じくらい、休むことも大事。 それが一番難しいね。無理してる人になんて声を掛ければいいかわからない、だってその人は、無理しないといけない
こわいものはみたくない いたいことはききたくない さびしいと死んでしまう くるしいと泣いてしまう すぐに、こわれてしまう こころ あたたかい やわらかい もろい でも、ここにあって欲しい 僕が生み出したもの全てに溶けていて欲しい きっと優しいだけじゃない 嫌な思いをさせてしまう時もある でも、 それが僕だ 言葉だ 心だ だから君も大切にして 弱い自分のことも 愛してあげて 傷つけてあげて。
普段言えないようなことも、ここなら話ができる気がする。天国に一番近い場所、僕の世界の果ては、街のど真ん中にあった。目的地としてではなくて、漂流してしまったみたいに辿り着く、何もないと思っていた心の中に風が吹く、それで何かが変わるかどうかはわからないけれど、部屋にこもっているよりはずっといい。時間が解決してくれない悩みばかりが残って重くなっていく。生活、気づかないくらい少しずつ、よくない方向に、どうしたらいいんだろう、このままじゃ駄目だ、それはわかっているけど、わかっているだけ
僕は写真を撮ることが好き。 上手いか下手かで言えば下手だと思う。現像してもらったものを見ると、大体自分がイメージした写真とは違うから、本当に写したかったもののことを考える。でも、そんな写真が好きだったりもする、下手かもしれないけど、確かにそれは僕が見ていた景色で、そして僕が知らなかった景色だから。愛おしい。 写真も絵も、きっと文章も、下手は悪いことじゃない。 写真を撮るという行為は日常的なことだけど、やってることはとても特殊だ。視界に映るものの方が鮮明ではあるけれど、写
波の音も、潮の匂いも、なんだか懐かしい感じがする。帰ってきた。特に海に対して強い思い出があるわけじゃないのに、そんな風に思うのは、人間の本能なのかな。 砂浜に打ち上げられた鯨の中身は、人が捨てた大量のゴミ。水族館で綺麗に展示されている魚を見て目を輝かせるくせにね、それこそ飼い猫と、野良猫の違いと一緒だ。大事にするのは、自分の為に生きてくれている命だけ、あとは全部軽い、簡単に流されてしまうくらいに。 帰るべき場所があるのは幸せなことだね、もし命の最果てが海だとすれば、最終的
神様は思っていたよりも適当なやつだった。 多数決がこの不条理の正体で、それこそが正義なら、きっと私達の世界は平和にはならない。電話が鳴る度に、心をナイフで刺されたみたいな感覚に襲われる。 やましいことがあるとか、ないとか関係なく、突然鳴ったことに驚いたわけでもない。その無機質で、一定のリズムと音程によって作られた冷たい音が、私はとても怖かった。殺人犯の心臓の鼓動は、こんな音をしているのかもしれない、なんて馬鹿みたいな想像をする。 私はいつものように、心の中でだらだらと意味の
当たり前になることが怖い。 失う恐怖を忘れて、自分の身体の一部みたいになっていく、色んなこと、もの、自分の身体だっていつかは失うのに、そのことは考えないで、知っている芸能人の訃報を見た時、僕は何を思う。 こんな日々でも続いているだけマシだ。死んでしまうことは特別じゃないから、愛していたい、これからも。生きることは難しい、初めて経験することの連続だから、心も身体も精一杯、でも、そんな中で、大切にしたいと思えるものは、やっぱり僕の身体と同じくらいの重さでここにあって、かけがえ
これくらい自由に生きてみたいと、一緒に住んでいる猫を見てると思う。好きな時に好きなだけご飯を食べて、好きな時に寝て、甘えたい時に甘えて、飽きたら離れて、お腹が空いたら嘘みたいに媚びて、媚び倒して。かわいいは正義だ。何をしたって許してしまう、怒るけど、一瞬で怒りは消える、「にゃあ」って言った、かわいい。 夜中に家の外から激しい猫の鳴き声が聞こえた。多分野良猫同士が喧嘩しているのだと思う。僕は猫が好き。でも、大雨が降っても、強い風が吹いても、寒い雪の日でも、野良猫は家の中には決
こうして偉そうにnoteを書いているわけだけど、読んでくれる人が誰もいなかったら、これは全部独り言になる。本も、グッズも、個展の開催も、自分以外の誰かがいるからできること、当たり前だけど、その当たり前が、僕にとっては特別で、宝物です。 僕を作家にしてくれて本当にありがとうございます。 自分の中でまた一区切りしたつもりです。これから先、自分自身にも、世間的にも何が起こるかわからないけど、多分ずっと、僕は何かを書き続けていると思います。いつの間にか、そうやってしか生きていけな