徳間書店児童書編集部

徳間の児童書にまつわるさまざまな情報を発信していきます。試し読みも公開中。https://www.tokuma.jp/kodomonohon/

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マガジン

最近の記事

著者と話そう 前田次郎さんのまき

 今回は、2024年7月刊の絵本『うみの まもの』の作者、前田次郎さんにお話をうかがいました。前田さんは2013年刊の写真絵本『舟をつくる』で、文章を担当されています。 Q どんなお子さんでしたか? A 生き物や木登りが好きで、いつも外で遊んでいました。工作も好きだったので、庭のヤダケや板を使って弓矢を作ったり、「ターザン」が首からさげているペンダントをまねて作ったり…。高学年になると、モノのしくみに興味がわき、壊れた家電を、修理すると言って分解したりもしました。原因をつ

    • 安藤美紀夫『いつか、お母さんを追いこす日』

       この連載では、1980年代に話題になり、今は書店で手に入りにくくなっている作品を紹介していきます。  安藤美紀夫は、野間児童文芸賞、日本児童文学者協会賞、赤い鳥文学賞など幾つもの賞を受けて話題になった『でんでんむしの競馬』(1973年)をはじめ、たくさんの作品を残しています。イタリア児童文学の翻訳家でもあり、児童文学の研究や評論でも活躍し、後には大学教授として後進を育てるなど多彩な活動をしましたが1990年に60歳の若さで惜しまれながら亡くなりました。この作品は、彼の晩年

      • 本を見つける運の力/『旅の仲間』/文:野口絵美

         人よりちょっと長めの中二病(当時はそんな言葉はありませんでしたが)を患っていた思春期の私は、自分にはある「異能」があると信じていました。それは、「食指」ならぬ「読指」とでもいったもの。    図書館や本屋さんで、面白い本を探してこの能力を使うと、たいていうまくいきます。薄暗い図書室では『朝びらき丸東の海へ』がぼんやりと発光しているように感じて「ナルニア国ものがたり」を発見したし、「指輪物語」の第一部『旅の仲間』も本屋で見た瞬間、「運命だ!」と思ったし。    まあ、それなら

        • ちいさいおうち書店(長野県松本市) 

           2023年に創業43年を迎えた児童書専門店の「ちいさいおうち書店」。 店主の越高一夫さん・令子さんご夫妻、娘の綾乃さんにお話をうかがいました。 Q 43年間を振り返ってどのように感じられますか? A 一夫さん(以下、一夫) 開店当時から、松居直さん、松岡享子さん、小澤俊夫さん、吉田新一さん…といった、子どもの本の師となる方々から、たくさん勉強させていただきながら、良質な本を子どもたちに届けたい、という思いでやってきた43年間でした。当店では、お店にいらっしゃるお客様はもち

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        • 「もう一度読みたい! '80年代の日本の傑作」
          7本
        • 私と子どもの本
          8本
        • 子どもの本の本屋さん
          8本
        • 上大崎発読書案内
          7本
        • 徳間のゴホン!
          7本
        • 竹迫祐子の「絵本の魅力にせまる! 絵本、むかしも、いまも…」
          7本

        記事

          子どもの本の店 MURKELEI(ドイツ)

           2023年10月、フランクフルト・ブックフェアに出張に行った際に、少し足を延ばして、ハイデルベルクにある子どもの本の専門店「ムルケライ」を訪れました。ハイデルベルクは、フランクフルトから特急で1時間ほど。古城やドイツ最古の大学があることでも知られる、小さな美しい街です。  お店は旧市街にあり、石だたみの通りに面しています。店主のユリア・シュンデラーさんにお話をうかがいました。 Q こちらのお店はいつ始められたのですか? A 2018年にオープンしました。  その前は私は、

          子どもの本の店 MURKELEI(ドイツ)

          物語が根ざした場所/『島暮らしの記録』/文:編集部 上村 令

           この原稿を書いているのは8月9日、作者の誕生日にちなんで「ムーミンの日」とされている日です。ムーミンのキャラクターには、グッズやアニメを通して親しみがある方が多いと思いますが、作者であるスウェーデン系のフィンランド人、トーベ・ヤンソンについては、案外知られていないのではないでしょうか。  トーベは1914年に生まれ、45年からムーミンの物語やコミックスを発表していました。『島暮らしの記録』は、50歳になる64年に、クルーヴハルという孤島に小さな家を建て始め、92年に、島で

          物語が根ざした場所/『島暮らしの記録』/文:編集部 上村 令

          『遠い言葉』に魅せられて/『少年少女世界文学全集19 ドイツ編(2) グリム童話』/文:櫛田理絵

           5歳のとき、祖父が亡くなった。私にとっては、身近な人がいなくなるはじめての経験で、悲しいのと同じぐらい、不思議な感じがした。    その後、祖母は叔父夫婦の家に引っ越すことになり、その手伝いで、母といっしょに一週間ほど祖母の家で過ごしたときのことだ。叔父の家に送る荷物の中に、古い子どもの本を見つけた。中を開くと、字がぎっしりつまっていて、目次には、お話の題名がずらりと並んでいた。「知らないお話がいっぱい!」私は、宝物を掘り当てたみたいにうれしくなって、わくわくしながら読みは

          『遠い言葉』に魅せられて/『少年少女世界文学全集19 ドイツ編(2) グリム童話』/文:櫛田理絵

          なぜ、たたかっているの?/『みどりのトカゲと あかいながしかく』/文:編集部 上村 令

           大判の絵本の最初の場面を開くと、いきなり「みどりのトカゲと あかいながしかくは たたかっていた。」という文章で、お話が始まります。左側のページには、みどりのトカゲの大群。右側のページには、赤い長四角の大群(!)。トカゲ一匹一匹にそれぞれ表情や個性があるのは、まあ当然として、右側の、顔も手足もない文字通りの「赤い長四角」たちにも、サイズや角度によって、個性が感じられます。  次の場面では、トカゲたちが大勢で大きな長四角を押し倒そうとしますが、長四角たちも負けてはいません。さ

          なぜ、たたかっているの?/『みどりのトカゲと あかいながしかく』/文:編集部 上村 令

          目白のえほんや にこにこ書店(東京都新宿区)

           2019年10月に開店した絵本専門店「目白のえほんや にこにこ書店」。店主の岩田亜紀さんにお話を伺いました。 Q 奥行のあるお店の片面の壁一面に原画が展示されています。いつもこんなふうに原画展をされているんですか? A はい、ありがたいことに、出版社さんからご依頼をいただいての開催がほとんどです。原画展によってお店の雰囲気も変わるんですよ。当店は表通りに面しているので、外から絵を見て来店される方もいらっしゃいます。絵本が好きな方だけでなく、これまで興味がなかった方も、絵本

          目白のえほんや にこにこ書店(東京都新宿区)

          「固定観念を突き破れ!」/ザ・キャビンカンパニー

           ランドセルを背負って走る男の子、横にはブロック塀の上に蒸気機関車!? 物陰には獰猛そうなワニ!? 2023年の日本絵本賞を受賞した『がっこうにまにあわない』は、表紙から不穏な雰囲気が漂ってきます。扉には、汗だくで走る逼迫した表情の男の子が、見開きいっぱいにクローズアップで描かれ、別の場面では、斜め下から、真上から、真横から、視点は大胆に変化し、おかげで読者の心はさらにザワつきます。  7時47分から1分きざみで8時まで、読者を追い立てるように絵本は展開します。学校までの道

          「固定観念を突き破れ!」/ザ・キャビンカンパニー

          新庄節美『夏休みだけ探偵団 二丁目の犬小屋盗難事件』

          この連載では、1980年代に話題になり、今は書店で手に入りにくくなっている作品を紹介していきます。  1987年に講談社児童文学新人賞に入選した作品を単行本化したものですが、とても新人とは思えない物語づくりのうまさと文章力に圧倒されます。  主人公の「オレ」の名前は、和戸尊(わと たかし)。探偵小説が大好きな双子の姉妹が、「和戸君の名は、つなげて読むとワトソンだね。」と言ったことから、クラスの仲間からワトソンと呼ばれています。 「シャーロック=ホームズの助手の名だね。」と

          新庄節美『夏休みだけ探偵団 二丁目の犬小屋盗難事件』

          おかげさまで、30周年!

          徳間書店児童書編集部は、1994年5月に児童書の刊行を始めました。みなさまのご愛顧のおかげで、今年で30周年を迎えることができました。感謝の気持ちをこめて、いままでの児童書編集部の足跡をご紹介いたします。 【1994年 児童書創刊】 徳間書店は1993年に児童書の編集部を作り、児童書創刊の準備を始めました。それまでもすでに、『となりのトトロ』など、アニメ絵本を出版していましたが、さらに本格的な児童書を出版するため、態勢を整えたのです。 この決断をしたのは、「子どもの本

          おかげさまで、30周年!

          著者と話そう 長友恵子さんのまき

           2023年3月に刊行した『ブックキャット 〜ネコのないしょの仕事!』の翻訳をされた長友恵子さんにお話をうかがいました。 Q どんなお子さんでしたか? A 大人になってからは、自己主張が強い、と言われますが、子どものころは内気で、友だちの少ない子どもでした。それにはわけがあって、小学校6年生まで夜尿症で、いつも布団に地図を描いていたんです。それで内にこもってしまい…。学校の成績はよかったので、両親はさほど気にしていなかったみたいです。六年生の修学旅行は不安で、行かないことに

          著者と話そう 長友恵子さんのまき

          著者と話そう 小沢さかえさんの巻

           今回は、2023年8月に刊行した『このすばらしきスナーグの国』に挿絵を描いてくださった、小沢さかえさんにお話をうかがいました。 Q 子どものころから、絵がお好きだったんですか? A はい、好きでした。でも、ずっと絵を描いていたというわけではなく、手芸なども含め、手を動かして何か作るのが好きな子どもだったと思います。学校の授業では、図工が大好きでしたね。育ったのは滋賀県の自然豊かな郊外だったので、外でもよく遊びました。木登りをしたり、田んぼで遊びを見つけたり…。  絵本も、

          著者と話そう 小沢さかえさんの巻

          本の中から出てくるのは…?/『本だらけの家でくらしたら』/文:編集部 小島範子

           本をふると、中からその本の登場人物があらわれる…そんなことができたら、素敵だと思いませんか? 『本だらけの家でくらしたら』(N.E.ボード 作/柳井 薫 訳/ひらいたかこ 絵)の主人公のファーンは11歳の女の子。両親は仕事熱心できちょうめん すぎ、ファーンからすると「タイクツ」な人たち。父親は庭の芝生のことばかり気にしているし、母親はバーゲンのチラシばかり見ています。でもファーンは、見た目も両親とまったく似ていないうえに、「すごく変わった子」。小さいころから、身の回りでは

          本の中から出てくるのは…?/『本だらけの家でくらしたら』/文:編集部 小島範子

          【子どもの本の本屋さん 番外編】    ミュンヘン国際児童図書館 訪問記

           2022年10月、フランクフルトブックフェアへの出張の際、少し足を伸ばして、ミュンヘン国際児童図書館に行ってきました。今回はその様子をご報告します。 〈ブルーテンブルク城へ〉  イェラ・レップマンによって1949年に創立されたミュンヘン国際児童図書館は、世界最大規模の児童図書館として、世界中の子どもの本を収集・所蔵し、さまざまな企画展、原画展を行っています。一般の方も利用でき、また、児童文学研究を支援する図書室も備えています。  この図書館があるのは、ミュンヘン郊外の「ブ

          【子どもの本の本屋さん 番外編】    ミュンヘン国際児童図書館 訪問記