(メンバー紹介)農業とエンジニアリングをミックス。自然を相手にしたロボット開発に充実感
ロボットとAIで持続可能な有機農業の実現を目指すトクイテン。
野々山昭太さんは、ロボット開発でビジョン実現を支えるハードウェアエンジニアです。
自動車部品の設計・試作を手がけるエンジニアでしたが、農業への思いが高まりトクイテンへジョインしました。
農業とエンジニアリングを融合する野々山さんに、トクイテンでの仕事内容や思いを聞きました。
ー今の仕事内容を教えてください。
僕はハードウェアの開発がメインです。
今作っているロボットは収穫用の「ティターン」と人が乗る「Tライド」。光防虫機という虫を捕まえる装置を載せ農場を自律走行するロボットの3種類です。これらを設計したり、デザインしたり、製造したりしています。今の時点では、これまで作ってきたロボットを改造しています。例えばバック走行したいという要件が加わると、新たにセンサーを取り付けたり外装を取り付けたりという感じです。
ほかにも、トマトの収穫を吸引式とできないか検討していて、収穫時のダメージを軽減するための仕組みも開発しています。
トマトの栽培はこれまで、人が作業するために最適な方法が研究されてきました。ですが、僕たちはロボットで作業するということで、ロボットが作業しやすい栽培方法や設計も模索しています。
(ティターン)
(Tライド)
ーこれまで開発したロボットの「注目ポイント」を教えてください!
ある程度悪い路面でもコンパクトに走れるところですね。
実はそのようなモビリティはなかなかありません(あるけど高価です)。そこを差別化して開発した点で注目ポイントです。
駆動方式として「スキッドステア」という方法を採用しています。戦車や建設機械で見られるような方式です。ティターンには合計4輪のタイヤがついています。前輪と後輪のタイヤをベルトでつなぎ仮想的に2輪とすることで、その場で回転できるようにしました。
路面の悪さでタイヤが地面から浮いてしまっても、運動を続けられます。走破性が高い特徴を持っています。
-トクイテンに入社する前は大手企業で自動車部品の開発や設計に携わっていたそうですね。その経験がロボット開発に役立ったのでしょうか?
前職は部品設計が長かったのですが、同時に試作品製作も多かったんです。この試作品製作が役に立ちます。
あとは、自動車は長く使い続けるために部品交換をしやすくしています。今のティターンでも、駆動部分や電子・電機系をモジュール化していて、部品交換したい時にはパパッとできるようにしました。自動車設計っぽいなと感じますね(笑)
ー大手企業とスタートアップでは、開発の現場に違いはありますか?
あるとすれば、メカの要件を決めることから手を動かす…上流から下流までを一人でやれるところがスタートアップの特徴です。大手にいてはなかなか経験できないことだと思いますね。
自分の裁量が大きいということは、やりがいにつながります。
ーロボット開発のスタートアップは数多くあります。中でもトクイテンを選ばれた理由は?
元々、両親が花の農家で小さい頃から農業へのなじみもありましたし、社会人になって豊橋技術科学大学で植物の勉強もしていました。
その中で、持続的な環境づくりに興味があって、農業を自分の畑でやっていました。「自分の食べる作物は自分で作りたいな」と思ってお米や野菜はほぼ全部自分で作っています。
けど思ったんです。農業ができない人には食料が回らないな、と。自分で食べるものを自分で作ればいいかもしれないですが、それでは他の人たちは持続的な食料は手に入らないと感じました。
ちょうどその時に、社長の豊吉さんが「有機農業×ロボット」でコンセプトを掲げていて声をかけました。僕自身が次のステップに進みたい、ということもありトクイテンへジョインを決めました。
ートクイテンに入る前後でギャップはありますか?
難しい質問ですね(笑)。
僕、創業間もない頃から関わり始めたので、何もなかったんです。
強いて挙げるとすれば、思ったより早く物事が進んでいくなと思いました。
トマトを栽培するビニールハウスが立ち、ロボットが完成し…という物事のスピードが想像以上に早いなと。こういう点がいいですね(笑)。
ソフトウェアが毎日、毎週のように変わっていくと、ハードウェアの要件も作りながら変わっていくんです。そうするとどこでバージョンを区切るか、という判断が難しいんですね。
ー早さの理由はどこにあると思いますか?
農場を自分たちが持っている点だと思います。ソフトウェアが毎日、毎週のように変わっていくと、ハードウェアの仕様も変わっていきます。
ですが、自分たちで農場を持っていないと、自由自在にハードウェアを検証することが難しいです。自分たちの農場があるからこそ、開発が柔軟にでき、意思決定を早くすることに繋がっていくと思います。
ー普段、野々山さんはどのように働いていますか?
CADを使った設計やデスクワーク、メーカーとの打ち合わせはできるだけ自宅で取り組んでいます。ロボットは農場にいるので、実際に触るときは農場にいることが多いですね。週に3ー4日は農場で、週1ー2日は自宅にいるような働き方です。
農場にいると太陽が沈むまではロボットの性能を評価して、日が落ちてからは家に帰ってドキュメントを整理しています。
時間も結構自由です。何時に農場にいかないとという縛りがないので、渋滞に巻き込まれることもありません(笑)。
一1人のエンジニアとして、これからどのようなスキルを伸ばしていきたいですか?
直近で欲しいのが流体力学の知識です。吸引方式の収穫装置を開発していて、トマトを気流に乗せて動かすような技術に取り組んでいます。トマトがホース内で暴れてしまうので、うまくコントロールできるようになりたいですね。
流体力学みたいに、思ってもみなかったことが必要になることがあります。自然が相手になるのでエンジニアリングの常套手段が使えないこともあるんです。
ートマトを掴むハンドを開発していたら、市販の調理用ハンドが最適だった、という話もありましたね(笑)
僕が3Dプリンターを使った設計が得意なので、いろいろ試作品を作っていました。3世代目まで作っていたのですが、たまたまホームセンターで買ったトングを試してみたら最適で(笑)。
膝を突いて「トングでした」とみんなに言って、そっと取り付けました(笑)。
ー常識や常套手段が通じないからこそ、エンジニアとしては面白い環境かもしれないですね。
僕はそこが好きでやっています。
工場用のハードウェアをきっちりつくることと対照的に、常に変化する環境を相手に設計できるのは楽しいですね。
ー野々山さんはどんなメンバーと働いてみたいですか?
領域を横断したコミュニケーションができる人がいいなと思いますね。
例えば農家さんとエンジニアが話すときは共通認識が異なるので、自分の立場にこだわらずに会話できることが必要です。社内でも、デザイナーやエンジニア、農業といった役割を超えた連携が必要です。
僕たち自身、農業とエンジニアリングをミックスしているので、領域を横断できるコミュニケーション能力があると活躍できるイメージが湧きますね。
ー最後に、トクイテンをどのような会社にしていきたいですか。
どんどん農場を広げて、たくさんトマトを作っていきたいです。
僕たちの目標は、有機農業の面積を広げることです。ですので、自分たちの農場を広げていき、トマトをたくさん作っていきたいですね。
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