私とAとBと、そしてC。

 私の行きつけのブックオフの話である。
 自宅から自転車で南へ20分ぐらいのところにブックオフがある。これをAとする。
 そして、もうひとつ自宅から20分ぐらいのところにブックオフがある。こっちは北へ向かっていくとある。これはBとする。
 それから東へ40分ぐらいかけて行ったところにもある。これをC。
 以上が私の日頃お世話になっている店舗である。立ち寄る頻度はAとBが月に2〜4回。Cは月1回ほどである。
 AとBとC、どれもお店の雰囲気や並ぶ商品の特徴は異なっている。ブックオフヘビーユーザーならわかってくれると思うが、チェーン店でありながらブックオフほど店ごとにバラエティの富んだお店も少ないと思う。如実に地域の性格というものを反映する。

 以下にAとBとCの特徴を書き出してみる。
 まずA、他2店舗に比べ利用客の数が多く、商品の回転率が高い。なので掘り出し物に割と出会える。
 次いでB、いつ行ってもゆったり買い物できる。売りに持ってくる人も少なめ。商品の回転率はあまり高くない。しかしながら古い本も積極的に買い取り売り場に出してくれる。百円均一棚が面白い。
 最後のCは比較的最近刊行された本でも並んでいることが多く、ブックオフの中では珍しく文庫の帯を捨てない店舗(これ重要)。

 私にとって大事なのは謂わゆる「雑学文庫」の扱いである。ブックオフでは小説以外の文庫を雑学文庫として一括に扱う。なのでPHP文庫やだいわ文庫は勿論雑学文庫なのだが、私が主に蒐集する岩波文庫や講談社学術文庫といった学術系文庫も雑学文庫に振り分けられるのである。
 この雑学文庫の並べ方が店舗によって違うのである。
 Aはエッセイや食、科学、社会、歴史、美術、哲学などのようにジャンル別に並べられているのだが、これが特定の文庫レーベルで探している人間からすると探しにくくて困るのだ。ある程度慣れれば特定のジャンルだけに目を通せばことが済むのだが、あまり見ないジャンル(私の場合、自己啓発や人生論など)に探している本が紛れていたりすると見落とす可能性がある。端から端まで全部を見なければならないのは案外体力がいる。
 その点で言えばBとCは良い。Bは完全に出版社別。Cは基本的にはジャンル別だが、岩波と講談社学術、ちくま並びに学芸文庫はその文庫だけで分けて並べられている。丁寧に見るべきところと流し見で済ませるところを分けられるので疲れない。

 私が普段どのようにブックオフで買い物をしているかについては別の機会に譲るとして、私がこれらA、B、Cをどのように使いわけているかについて述べてゆきたい。
 先にAは商品の回転率が高いため掘り出し物に出会いやすいと書いたが、掘り出し物にも大物小物があって、Aの場合は小物が多い。ヒット級の当たりと言っても良い。
 逆にBは商品回転率は低いものの、大当たりをひけることがある。当たりの大きさで言えばホームラン級だ。
 この場合どっちが良いとか悪いという話ではない。要は使い分け方であり楽しみ方の違いである。
 最後のCはAに似て小物が多い印象なのだが、この場合Cだけ遠いため、行く労力に対しての報酬への判断が自分の中でシビアになり過ぎているのかもしれない。

 以上の各々の特徴から私はA、Cでは比較的高価格帯の商品が並ぶ通常棚を、Bでは均一棚を重点的に見ていく。勿論、全ての棚は一度は目を通した上ででの話である(漫画は除く)。
 AとBは同じ日に一緒に合わせて行くことが多い。全く性格の違う店だから続けて行っても全然苦痛にならない。

 この三つの中で一番好きな店はBである。思い出深い掘り出し物が多分一番多いように思う。
 一番の思い出は『ユダヤ古代誌』(ちくま学芸文庫)全6巻の揃いを見つけた時である。自分のこれまでのブックオフ通いの中でもトップクラスの嬉しい瞬間だった。

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