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PPやPEへの印刷前に行うこととは?
清澄白河にある製版会社、特殊阿部製版所です!
今回は一部のプラスチック製品への印刷前に行う
「前処理」についてお話ししたいと思います。
プラスチックとは
まずプラスチックについてですが、プラスチックというのは石油などを原料とし、人工的につくられた分子量がとてつもなく大きい物質のことで、
「合成樹脂」とも呼ばれています。
プラスチックにはたくさんの種類があるのですが、
以下5種類の代表的なプラスチックを
「5大汎用プラスチック(樹脂)」と呼ぶことが多いです。
ポリプロピレン(PP)
ポリエチレン(PE)
ポリスチレン(PS)
ポリ塩化ビニル(PVC)
ABS樹脂(ABS)
みなさんも聞いたことがありますよね。
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プラスチックは安価かつ大量に生産できるものが多いので、
印刷請負サービスでのお引き合いも多いのですが、
一般的に、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)は
印刷がしにくい(インキが密着しにくい)と言われています。
ポリプロピレンとは
ポリプロピレン(PP)は、プロピレンの重合体です。
重合体とは単量体(モノマー)がたくさんあつまって、
重合(つながって鎖状や網状になる)することによってできた
化合物のことをいいます。
重合体は「ポリマー」といったりもしますので、
プロピレンの単量体が結合してたくさんつながったものを
ポリプロピレンと言うんですね。
みなさんの身近にあるものだと、
食品用タッパーや衣装ケースなどに使われています。
商品を思い浮かべてもらうと
「印刷が施されてる」イメージがないと思います。
プラスチック成形時に凹凸をつけて、ロゴを表現したり、
あるいはシールなどで対応している商品が多い印象です。
ポリエチレンとは
ポリエチレン(PE)はエチレンの重合体のことで、身近にあるものだと、
マヨネーズの容器やチューブ型アイス容器などに使われています。
主に外袋に印刷が施されており、
本体容器には印刷がないことがイメージできると思います。
また、ポリエチレンは牛乳パックにも使われています。
牛乳パックは紙では!?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
あれは〔 牛乳 - ポリエチレン - 紙 - ポリエチレン 〕
という構造になっているんですよ。
商品名などが印刷された紙を
ポリエチレンでラミネートすることによって、
防水性を高めています。
目には見えないところにも使われているプラスチック、
本当に私たちの生活になくてはならないものですね。
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印刷しやすくする魔法?
少し化学的なお話になってくるのですが、
いわゆる「印刷用のインキがのりやすい」
というのは「親水性が高い」という言葉で言い換えることができます。
親水性というのは水となかよし度が高いと思ってもらえれば幸いです
(親水の対義語は疎水/撥水になります。撥水加工の服は水を弾きますね)。
ポリプロピレン、ポリエチレンへの印刷における前処理は
主に印刷したいモノの表面(物質の末端)の構造を変化させます。
この方法、いくつか種類があるのですが、
ここではフレーム処理を例に説明します
(フレームは枠 〔 Frame 〕ではなくて炎〔 Flame 〕です)。
ガスバーナーから青い炎が出ているところをイメージしてください。
この炎をポリプロピレンやポリエチレンの印刷したい部分にあてます。
そうするとこの炎によって目には見えない化学反応が起こります。
すごくざっくりいうと、
印刷したいモノの表面(物質の末端)が
炎によって不安定な状態になります。
一般的に、化学的に不安定な状態というのは、
電子などが動きやすくなりますので、反応性が高くなります。
したがって、印刷したいモノの表面(物質の末端)を
不安定な状態にさせることで、構造を変化させることができ、
印刷しやすい状態、つまり「親水性が高い」状態を
つくることができるんですね。
化学的な反応は肉眼で観測できないものも多く、
言葉で説明するのが少しむずかしい部分もあるのですが、
ポリプロピレンやポリエチレン素材に前処理を行うと
それまでぜんぜんくっつかなかったインキがくっつくようになるんです。
まるで魔法のようです。
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ただ、前処理って手間がかかるんです。
自動化できる機械を持ってる会社さんもあるのですが、
機械がないと手動でひとつひとつバーナーであぶる、
という形になるので大変なんです。なので
「ポリプロピレンやポリエチレンの印刷はお断りしてます😢」
という会社さんも多いのです。
弊社では自社で前処理を行うことも可能ですし、
協力会社さまとのネットワークもありますので、
ポリプロピレンやポリエチレンへの印刷でも基本的にお断りしませんし、
請負実績も多数ございます。
ぜひお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
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