自分の性別に違和感があるとき…メンタルクリニックの選び方/ホルモン注射について
こんにちは、あずとです!
前回の記事で私は女性で生まれ、男性として生活している現在までの自分史を公開しました。
今回は同じように自分の性別に違和感のある方向けに、前半で「クリニックの選び方について」、後半で「ホルモン注射について」書いていきたいと思います。
メンタルクリニックの選び方
自分の性別に違和感を感じて悩んでいたら、どこに相談すればいいのか?どうやって病院を探したらいいのか?何を話せばいいの?と悩みますよね。
まずはメンタル面での相談(カウンセリングなど)を受けたいのか、それとも身体的な治療を望むのかによっても選ぶ基準は変わってきます。
※今の時点で身体的な治療までは望んでいないが、とりあえず診断を受けたいということでも、もちろん利用することは大丈夫です。
①メンタル面での相談をする場合
性別違和(性同一性障害)の診断をしている病院を探しましょう。近くのメンタルクリニックに行っても専門医でないと診断はできないので事前にHPで調べておく必要があります。
私が調べて見たところ、「東京都 性同一性障害」で検索すると以下のまとめサイトがあり、病院情報がまとまっていました。
MEDICALIST(専門医サイト)
東京都だけでも数十件の診察ができる病院がありますが、私がよく聞く有名どころだとこの3つのクリニックは特に有名な印象です。
・はりまメンタルクリニック
・ナグモクリニック
・ちあきクリニック
他にも有名なクリニックはありますが、メンタル面での相談をまずはしたい場合はもし可能なら院長以外がカウンセリングを実施しているクリニックをお勧めします。
もちろんちゃんと話しを聞いてくれる院長も居ると思うのですが、私の経験談では院長や先生はあくまで治療という観点で話をしてくれますがカウンセリングという要素はあまりなかったです。
なので自分の悩んでいるつらい話をまずは聞いてほしいと言う場合はカウンセリングを専門の方が実施している病院のほうが、期待値がズレないかと思います。
余談ですが…、私は初めていったある病院で院長先生が直接カウンセリングも対応されていて、自分が性別違和に悩んでいる事を話しました。
すると先生から「君は性同一性障害じゃないと思うよ」といきなり一刀両断されてしまいました。(まだ自分史とかも見せてないのに...)
※「自分史」とは性同一性障害と診断をする上で、主治医に自分の過去から現在に至るまでの性別違和について記したものです。それをもとにカウンセリングで深掘りをされて、医師が性同一性障害かどうか総合的に判断します。
その時の私はまだ周りの目が怖くて、女性的な服装や髪を伸ばしていたので、見た目だけで判断されてしまいました。
結局、その事で傷ついて 1年近くまた一人で悩み、徐々に髪の毛を短くしたり服装を好きな男性的なものに変えていきました。
1年後に同じ病院に行くと、先生から「だいぶ見た目も変わったね、僕の間違いだったね(笑)」とあっけらかんと言われて性同一性障害の診断がおりました。
正直、20年近く悩んできて勇気を出してクリニックに行ったのに、「性同一性障害じゃない」と言われて、じゃあ自分は一体何なんだと泣きながら帰って、電車に飛び込もうとした日の事を忘れられません。
よく話も聞かないで見た目だけで診断する医者もいますし、医者だからといって必ずしも正しいわけではありません。
ぜひセカンドオピニオンを受けたり、もしLGBTQの友人がいればその人が信頼している病院を紹介してもらうのもいいかと思います。
②身体的な治療を望む場合
まず、身体的治療とは何があるのかですが…
主に以下の2つです。
·ホルモン注射
·性別適合手術
身体的な治療をしたい場合、まずは「性同一性障害」の診断書が必要になります。
「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン(第4版改)」
ガイドラインでは、「2 人の精神科医が一致して性同一性障害と診断することで診断は確定する。」と記載されており、「原則として診断をする精神科医のうち、少なくとも 1 名は GID 学会認定医であることが望ましい。」とあります。
つまり2つの病院を受診して診断書をもらう必要があり、 1つはできればGID 学会認定医(経験や知識から診断に信頼できる医師)が望ましいという事ですね。
私もホルモン治療に入る時や戸籍変更の手続きをするときに、【誰が書いた診断書なのか】という点はよく見られました。信頼のある有名な医師からの診断書であれば話が早く、問題なく手続きが進みました。
なのでできれば、後々の事も考えて認定医のいる病院を選んだほうがスムーズに手続きができる可能性が高いです。
他にも利点としては有名な病院であればそれだけ、パイプや情報もあるので何かあったときに安心です。
例えば2014年に男性ホルモンの原料を製造していたメキシコ工場で爆発があり、一時的にホルモン剤が行き渡らなくなったことがありました。
私の通院していた病院では他の輸入経路をすぐに確保してくれ、注射ができないと言う事はありませんでしたが、小さい病院に通院していた友人はしばらくホルモン注射ができなくなってしまいました。
その後、元どおり供給されるようになりましたが万一の事態に備えると安心出来る病院がいいですよね。
ホルモン注射について
次はホルモン注射を実際にしてみてどうだったか、メリット・デメリットについてもまとめたいと思います。
※私はftm(女性→男性)なので、男性ホルモン注射に関する内容になります。
私はホルモン注射をして、約8年近く経ちます。大体の顕著な変化は最初の2〜3年間くらいでした。※個人差があります
①筋肉
筋肉質に身体が少し変化してきました。筋トレを続けていると明らかに腕が太くなっていて効果を感じやすいです。肩幅も大きくなりました。
②声質
半年後位で声が少しブレる感じが出てきて、低くなってきました。声質が安定してきたのは 1〜2年後くらいです。段々と変化してくるので急激に声質が変わるわけではないです。よく聞くのはカラオケで前まで歌えていた曲(キーが高い)が歌えなくなってくるようです。
③体毛
前はそんなところになかったじゃん・・・という胸毛やらお腹の毛やらが生えてきました。またすね毛や腕毛も以前より濃くなってきます。
④肌質
ニキビができたり乾燥肌になったり、肌荒れが顔や背中に現れます。数年経つと落ち着いてきますが、最初のうちはかなり悩まされました。スキンケアは自分の体質に合わせて行っておくことをお勧めします。
⑤性欲
注射前に比べてかなり強くなりました。一時期悩んでホルモンの量を少なくしてもらったのですが、本当に性欲が減りました。なのでご自身の体調と合わせて徐々に量を調整するのも大切です。
⑥自律神経
男性ホルモンを打つと元気になる、活力が湧いてくる効果があるといわれていますが、あまり私自身は感じませんでした。どちらかというと次の注射を打つ時期(ホルモンが切れかかってきている)になるとイライラしやすかったり、自律神経が少し乱れている感じがありました。
ホルモン注射をするとそれが落ち着く感じもあったので、効果があるのかもしれないし他の要因だったのかもしれないので良くわからなかったです。
⑦髪の毛
5年くらい経過してくると髪の毛が細くなっていき、毛のサイクルが乱れてしまい、抜け毛が多くなってきました。髪の毛が生えてから抜けるまでのサイクルが通常は10だとしたら、5〜7の段階で毛が抜けてしまう感じです。そのサイクルが早くなればなるほど薄毛に近づいていきます。
ホルモンの量を抑える人もいれば、ミノキシジルなどを飲んで発毛させる方もいるので体質にあったやり方をお勧めします。
※ちなみにミノキシジルはAGA治療をしている病院だと3万円以上したりと高額らしいのですが、ジェンダークリニックで先生に話を聞くと、安く(5千円もしない)病院で提供しているところもあるらしいのでまずは先生に相談してみるのがお勧めです。
メリット
・自分の望む身体に近づける
・自分の容姿に自信がつく
デメリット
・ホルモン注射は一生付き合っていかなければならないので、金銭的な負担が大きい。(1000〜3000円/回くらいで、量によって頻度は違うが1ヶ月に1〜2回打つ。また、血液検査が約3ヶ月ごとにあるので追加料金がかかる。)
・多血症の可能性があるので、貧血の人は相性が良いのですが、赤血球がつくられる量が多くなりすぎると要注意です。(血液検査で経過を見ているので基本的にはそこまで心配しなくても大丈夫です。)
・男性ホルモンは尿酸値を上げる作用があり、痛風になる可能性もあるようです。
・体毛を濃くしたくない、髪の毛が減って欲しくない人には逆効果。
メリットが少ないように感じるかもしれませんが、私自身は自分のアイデンティティを守るためにもホルモン注射をして良かったなと思います。大変なことも多いですが、身体的な違和感がある以上そのまま女性の体で生き続けることの方が困難だったので後悔はしていません。
ただし、ホルモン注射をして身体的に変化した後にやっぱり望んだ形ではなかったと思っても身体が元に戻る保証はないので、
よく考えて、医者や信頼できる人の話を聞いてから決断することをおすすめします。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
内容に関しての質問やこういったテーマが知りたい、感想などあればぜひコメントいただけますと幸いです。